表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/77

11. 説教は命がけ

「あー、動物愛護団体のチャラチャラした奴らー。今日はお前らに言いたい事があるぅぅぅ。よぉーく聞――」

「本家ですら最近やってねぇネタ異世界で試すなぁぁあぁああ!!」


俺の突っ込みが戦場全体に響き渡った。


「……おい、私の魔法をアホな事に使うのなら、協力しないぞ?」

「すまん、つい」


コリスに言われて俺はアイズからそれをひったくった。

俺のセリフで張り切ってくれるのはいいが、暴走は困る。


アイズからひったくったのはただの石のようなものだ。というか、元はただの石だ。

コリスがこれに魔法をかけてマイクのようなものにしてくれた。


大体、さっき俺が突っ込んだのだって、これを使って本家並みのマイクパフォーマンスをされたら、石が砕け散るんじゃないかと懸念したからであって、決してツッコミ魂に負けたからではない。ここ重要な。


「にゃんとらー愛護団体の諸君、俺から二三言いたい事があるので聞いて欲しい」


前線と魔物の間に立っていた奴らが一斉にこちらを向いた。

恐らく真面目に議論する相手が来たと思ったのだろうが、そのつもりは俺にはさらさらない。

説教(SEKKYOU)相手に正論は意味がない。まずは、揺さぶりをかける。


「お前らのやってる事は無意味、どころか逆効果だ」


ざわつく愛護団体側。

俺がやる事なんて詐欺師と同じだ。とにかく一旦驚かせて動揺させ、思考を止める。

せっかくなので、反論が出る前に続きを言ってしまおう。


「お前らが介入したせいで、にゃんとらーが俺たちに圧勝してしまえばどうなると思う?」


静かな湖面に石を投じれば、波紋が広がる。当然、荒れた湖面よりもはるかにスムーズに。


「神様に、にゃんとらーが強力な魔物として認識されて、個体数が減らされるだろうな。最悪、二度と生み出されないかもしれない」


石が投じられた意味を、石が湖に沈むかのごとく、深く理解させる。


「それはお前たちにとっても不利益じゃないか?」


そこからは、爆発したかのように動物愛護団体内での議論が始まる。

しかし、ゆっくりと話し合って他の答えなんて見つけさせてやるもんか。


「だからって殺せって言うの!? 酷い!!」


真っ先に帰って来た反論は、幸いにも俺の想定内の言葉だった。むしろ、今から説明する内容の核心をついていて都合がいい。


「もし、殺さずににゃんとらーを倒す事が出来るとしたらどうだ?」


さらにざわつく彼ら。


「そんな事……出来るわけがない!」

「騙されるな。モン○ターボール使いの人でも、“祭り”の魔物を生け捕りには出来ないんだぞ!」

「モフーッ!!」

「どうすんのか言ってみなさいよ!?」


ざわつく彼らに、隣に立つアイズを示してやる。


「こいつのチートを使う」


一斉に愛護団体の視線にさらされるアイズ。しかし心なしか、その表情には余裕のようなものが見え隠れしている。


「何よそいつ? モン○ターボール使い?」

「違うな」


どちらかと言うと邪気眼使いだが、言わないでおいてやろう。

俺はアイズにマイク代わりの石を渡した。ちゃんと決めろよ、と言って背中を叩いてやったら、いつにもまして真剣な顔で静かにうなずくアイズ。


今までの彼とは違う。


今回の事で成長したのだろう。その姿は確実に、落ち着いた大人の雰囲気に近付いている。

その証拠に、アイズは敵意をあらわにする愛護団体の奴らを前にしてなお、堂々と胸を張り、臆する事なく口を開いた。



「俺のチートは、エター○ルフォースブ○ザードだ!!」



空気が死んだ


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ