二人
少しだけ展開が動きます。
岸部はその日、何の気無しにいつもなら買わない、コーヒーを飲んでいた。
岸辺はコーヒーが嫌いだった。だが時折、無性に飲みたくなってくるときがあるのだ。
そしてそれが今だった。
「挽きたて」と書かれたパッケージに、なるほどと感じる。確かにかぐわしい香りだ。鼻腔の奥をくすぐって、脳髄に甘美な誘惑のようなものを感じる。岸辺が買ったのはホットのブラックだ。
最近流行っているような微糖というものは気に入らない。そもそも「微」という字が入っていることが気に喰わないのだ。微妙とか、曖昧でぼかしたような言い方は好きではない。例え、その意味がまったく無くても、その字が持つイメージなんていうものは簡単に払拭できるものではない。
そして岸辺もまた、皮膚が呼吸困難にでもなりそうな熱帯夜に熱いブラックで上塗りして、目を背けて曖昧にしたい物があった。
昼の殺人現場だ。
男性のひき潰されたような変死体。全身から流れ出た血が、「立ち入り禁止」の黄色いテープで囲まれたあの場所に、皮膚をくすぐって、何かが這い回るような感覚すら想起させるようなむせ返った死の臭い。
岸辺はその目で戦場は見たことはないが、あの死体のあった場所は戦場であったような気が、漠然としていた。
酷い殺され方だった。だが、それは戦場では日常の風景なのかもしれない。もしかしたら自分達の与り知らぬところでどこかの国とどこかの国が戦争をしていて、それにあの運転手の男性は巻き込まれてああなったのではないか、そう思えて仕方がない。
思えるが、そんなわけが無いと自嘲気味に笑う自分もいる。
だが、そうやって非日常が被害者を殺したと考えるほうが岸辺にとっては楽だった。
あんな殺し方をする人間がいるものか、いやいてはならないという感情。もし、そんな化け物じみた人間がいて、自分達はそんな怪物を追って、捕まえなくてはならないという現実があるのなら、そんな現実は犬にでも食わせてしまえばいい。
そんな現実はあってはならないのだ。
ぎり、と胃が痛んできた。頭に一瞬、全身毛むくじゃらで、緑色の巨体がたるんだ肉を引きずりながら、長大な鉈を持って歩く姿が点滅した。恐らく、昔見たホラー映画か何かのモンスターの焼き増しであろうが、岸辺にとってそれはスクリーンの中だけの怪物ではもう無いのだ。それと目を合わせて、さらには話も狭苦しい部屋で聞かなくてはならない。そう考えるときりきりと胃が痛む。
岸辺はそれを紛らわせようと、一気にブラックのコーヒーを缶まで飲み兼ねない勢いで胃に流し込んだ。
瞬間、ぐわ、という不自然な音が腹から響き渡る。何か、熱いものが喉元に向けてせりあがってくるのを感じる。岸辺は、それを喉に引っかかる寸前、思い切り上を向いて喉を鳴らし、飲み込んだ。
それで少しは胃の痛みもましになった。
「よう、何してんだよ」
その時、不意に後ろからかけられた声に岸辺は振り向いた。見ると佐伯がコートのポケットに手を突っ込んで近寄ってきた。
「ほーう、コーヒーか。うまそうだな」
佐伯は近づくなり、右手に握られたコーヒーを見ながら岸辺に何か期待するような声で言ってきた。
「……おごりましょうか」
「おう、いいのか。すまないな」
全然すまないと思っていない、待っていましたといわんばかりの口調で佐伯は言った。岸辺は佐伯に分からないようにため息をついて、自動販売機の前に立ってどれがいいかを佐伯に尋ねる。
「微糖にしてくれ」
佐伯は言った。岸辺はボタンを押し、出てきた微糖の缶を佐伯に手渡す。佐伯は一礼してそれを受け取ると、プルタブを開けるなり一気に飲み干した。
「やっぱ微糖だな。この舌に僅かに残る甘さがたまらん! そうは思わんか、岸辺」
岸辺はいきなり尋ねられて一瞬戸惑ったが、
「そうですね。僕もそう思いますよ」
と、曖昧な笑顔を浮かべながら答えた。
答えてから、これだから自分は駄目なのだな、と思い岸辺は少し項垂れた。
「なぁ、ハルカさんよ。あんた、なんで俺の家にこんなに頻繁に来るんだ?」
画面の中で大門がジャンプしながらパンチを繰り出して聞いた。それを避けつつ、ハルカは大門の顔を不思議そうに見た。どうしてそんなことを訊くのか分からない、といった風な顔だった。
「だーかーらー」
まったくわけが分かってないハルカを見て苛立たしげに大門が必殺技コマンドを繰り出す。すると画面の中の筋肉隆々の大門が掌を体の前で合わせ、そして開くと掌が青く輝くと同時に、熱線のような何かが放たれた。
「あ、ビーム」と、攻撃を喰らいながらもハルカが嬉しそうに身体を揺らした。
「違う、波動拳だ」と大門がすかさず訂正する。
その攻撃が終わると同時に青いチャイナ服を着たハルカは仰向けに倒れ、大門は腕を天高く伸ばし勝どきを上げた。
その結果にハルカは不服なのか、紙風船のように頬を膨らませ、もうイッカイ、とコントローラーを再び構える。
「って、話を聞けよ!」
大門はついに我慢できずにゲーム機本体の電源ボタンを押した。すると、先ほどまで数十人のキャラクターの顔が蜂の巣のように展開されていたセレクト画面は消えうせ、かわりに「ビデオ1」の表示が斜め右上に展開されただけの殺風景な青い画面となった。
その青い画面を見て、ハルカは一瞬あっけに取られた表情をしたが、すぐに大門がゲーム機の電源を切ったという事実を呑み込み、抗議の眼差しを向けた。
「そんな目する前に、俺の話を聞け」
言いながらハルカの視線を無視し、大門はてきぱきとゲーム機を片付ける。テレビに備え付けられたビデオデッキの裏に、灰色のゲーム機が片付けられていくのをハルカはまるで異国へ旅立っていく友人を見送るかの様な寂しげな眼差しで見つめていた。
大門はひとまず話をしようとハルカの真正面に正座し、じっとハルカを見下ろした。ハルカも自然と大門の真似をするように正座をした。
「えーと、まずあなた様は何だって、俺の部屋に毎日のように来て、それで仕事部屋でゲームをやりだすんだ?」
「オモシロそうだったから」
あまりの簡潔なその答えに大門は一瞬、言葉を失う。しかし、すぐに平静を取り戻しもう一度、今度はゆっくりと言った。
「あのな、お前は、何のために、俺の部屋に来ているんだ? パスポートを作るためだろ? なんだって、依頼人であるお前と、俺が、ゲームをしなきゃならんのだ?」
「オモシロそうだったから」
大門は頭を抱えた。恐らく目の前の少女は頭の螺子が何本も抜け落ちた大変な人なのだと思うしかこの現実を抜けられそうに無かった。
ハルカは、急に頭を抱え亀のような姿勢で俯いた大門を不思議そうに眺めていた。
その時、大門が急に思い立ったように、ばっと顔を上げた。それにハルカは驚いて思わず姿勢を崩す。
大門はそんなハルカを尻目に立ち上がり、応接用の長い机の上に置かれた何枚かの紙を持って、それをハルカの前に、見せ付けるように差し出した。
ハルカは戸惑いながらもそれを受け取って、目を通す。そこにはハルカの依頼したパスポート作りが、まだ半分も進んでいないことを示していた。
「分かっただろ、遊んでいる場合じゃないんだよ」
大門は紙の端を掴んでいたハルカの手から荒々しく紙をひったくり、机の上に勢いよく置いて、言い放った。
「帰ってくれ!」
ハルカはしばらく呆然と大門を見つめていたが、やがて言葉の意味が分かったのか、大きく見開いた目が突然に潤み始めた。
「え? お、おい。ちょっと待てって!」
大門はあまりの唐突な出来事に取り乱す。待てという言葉は通じず、ハルカの目は段々と悲しみに揺れて、しゃくりあげるような声と共に、ハルカは遂に泣き出してしまった。
大門は目の前で泣き出した少女をどうしたらいいか分からず、おろおろと誰かに助けを求めるかのように手を宙に漂わせた。
とりあえず鎮めようと思い立ち、大門は部屋の端に置かれたティッシュを何枚かつまみ、ハルカの前に恐る恐る差し出した。
差し出されたティッシュを見て、ハルカは何度もティッシュと大門の顔を交互に確認する。大門は何とかハルカの機嫌を直そうとできるだけ「怒ってない」という顔をした。
それを読み取ったのか、ハルカは警戒しながらもティッシュを手に取り何回か涙を拭って、ついでに鼻もかんだ。
大門はその様子を見ながら、自分はパスポートも作らず何で少女の機嫌を取っているのかとやるせなくなってひとつため息をついた。
「オコッテない?」
ハルカが大門の顔を俯き気味に覗き込んで言った。まだ瞳は潤み、鼻の頭は真っ赤になっていた。
大門は自分が折れるしかないと悟ったのか、
「ああ、そんなことは微塵にも考えてない」と言った。
しかしハルカは「微塵にも」の意味が分からなかったのか首をかしげた。
その日はそれで帰したが、ハルカは飽きることなく次の日もその次の日もやってきた。しかしハルカは特別何かをするために来ているわけではなさそうであった。
最初はパスポートの進行状態が気になるのかと思ったが、どうやら違うらしい。大門が来客用の部屋に通し、椅子に座り、まずいコーヒーを出している途中、
「キョウはゲームしないの?」と、両手を握り締めファイティングポーズを取りながら言った。
しません、と大門がきっぱり言うとハルカは残念そうに肩を落とした。
そして座ってハルカが何を話すのだろうかと思っていると、大抵、世の中のどうでもいい話を口にするのである。
例えば、昨日の会話では、
「ダイモンサン。コヤギユミコ、って知ってる?」
「は? 何、子山羊?」
ちなみにダイモンサンと言うハルカの言い方のアクセントは「大門さん」ではなくむしろ「大門山」である。
「違う、ヤギ違う」
ハルカが首と手を同時に振りながら否定する。正直、そんなに否定しなくても分かる。
「私、が言っているのは、ユミコ。コヤギはファミリーネームなの」
大門は話半分で聞きながら最近のハルカの日本語がかなり上達してきていることを知った。発音やアクセントが段々と日本語らしくなってきているのだ。どうでもいい話は困るが、ハルカの日本語の上達は、なぜだか微笑ましかった。
「へー。で、その人がどうかしたのか?」
「フリンなの」
「は? 不倫?」
ハルカによると、鼓八木とかいう女優が不倫したということがその前日のワイドショーで言っていたらしく、それを話題したのだ。
とてもではないが仕事にはまったく関係がない。
さらに、ハルカに何か自分のことを探ろうとする意図があるのかと思ったが、ハルカが聞いてくることといえば好きな歌手は誰だとか、誰某は最近駄目で、誰某が最近人気の俳優だしかしダイモンサンはどう思うだとか、好きな映画はなんだだとかで、まったく大門自身の素性には興味は無いらしい。安心していいのか、と大門は思ったがしかし自分のような人間にパスポート作りを依頼してくる人間なのだ。まともであるはずが無い。
簡単に警戒心を解くわけにもいかず、大門は終始どこか落ち着かない感じで、ハルカの前に座りコーヒーをすすっていた。
ハルカも同じようにコーヒーをすすっている。ただしこちらの表情は大門とは対照的に終始リラックスした笑顔だ。
「ねぇ、ダイモンサン」
「なんだ?」
大門が妙に上ずった声で聞いた。
「ダイモンサンって、イクツ?」
またもどうでもいいことをハルカは大真面目で聞いてくる。大門は何だか警戒していただけに拍子抜けした。
「二十三だ。もうすぐ四になる」
言ってコーヒーを口に含んだ。心を解きほぐすような甘さが、口の中に広がる。大門は砂糖を多めに入れる人間だった。
ハルカはというと質問の答えに、へぇと感嘆の声を漏らしていた。大門は自分だけ聞かれては何だか不公平な感じがしたので、
「お前は? 何歳なんだよ」
と、何の気無しに聞いてからしまったと思った。依頼人のプライベートに関することは極力干渉しない主義であったのに無神経にも聞いてしまった。
ハルカと話していると、自分に課した戒めさえ忘れてしまうような一瞬がこれまでも幾度かあった。もしかしたら自分は目の前の少女に心を許しているのかもしれない、と思うこともある。
大門は手に持ったカップをテーブルに戻した。
ハルカは問いに答えようとしているのか、何秒間か考えるように呻りながら宙を見て、それから、
「ワカラナイ」
と、片言の声で言った。
分からない、とはどういうことなのかと大門は思ったがそれ以上干渉することはせず、返事もしなかった。
その後、しばらく双方無言の状態が続いた。大門は先ほどまでは話しかけられると困ったり、警戒したりしていたが、急に沈黙の時間が流れると逆にどうしていいか分からず、頻繁にうまくもないコーヒーを口に運んでいた。
その時である。
「――あ」
出し抜けにハルカが声を上げた。大門はそれに驚いて危うくコーヒーを吹き出すところだった。
ハルカが羽織っていたジャケットのポケットを探っている。そして携帯電話を取り出し、開け、その画面を大門に見えるように晒した。
コレ、とハルカは画面を指差す。指差したところにはニューステロップと同時に、事件の起きた現場の写真が写されていた。
ニューステロップの文字を大門は心の中で読み進めていく。
「連続怪死事件六件目。犯人像未だ見えず」というタイトルの下、詳しい状況が記載されている。
本日未明、N市郊外の教会付近で男性の変死体が発見された。身元は運輸業者に勤める敷島大吾さん(三十二)と判明。当時、現場は暗くまた犯人らしき人物の目撃証言も無い。警察は死体の状況から一連の「連続怪死事件」と同等の事件と見て捜査している。
――写真は事件現場の風景だろうか。童話に出てくる森のような深い木々が生い茂っている。横には被害者の顔写真も添えられていた。少し屈強なイメージで、事件に巻き込まれるとは絶対に思わないような感じの顔だ。
教会の場所は大門も知っていた。なので、あの場所がどれほど暗く、また人通りも無いことは分かる。森で殺された六人目の被害者、それがこの事件の猟奇性をより高め、なおかつ日常に浸食する確かな狂気として人々の心に刻まれるだろう。
しかし――、と大門は疑問に思った。
なぜ、ハルカは一度ならず二度までもこの事件に関心を持ち、自分に見せてくるのか。大門はちらとハルカの顔色を伺った。ハルカは真面目な顔をして、
「イツマデツヅクンデショウネ」
と抑揚のない、やけに無感情に訊いてきた。大門はそれに無表情で答えた。
「さぁな」
あまり笑える話じゃない。人がこの街で立て続けに六人も死んでいることもそうだが、何よりも他人の家に毎日同じ時間に訪ねてきて、二回も同じ事件について質問をする。それも偽装パスポート作りを依頼している人間が、だ。
パスポートがいるということは国外に行くか、永住するか。しかしハルカは居候している。恐らくは住む分には困ってはいない。
ならば国外に逃げる線が妥当だろうが、それならばなぜ、こんな小さな都市の事件を気にする必要があるのか。なぜ、この場所に毎日来るのか。
一瞬で考えを巡らせてみる。
監視――何のために?
潜入捜査? ならば素人にアジトが割れるような馬鹿はしないだろう。大門は密かにハルカの様子を見やった。ハルカはコーヒーを啜りながら、行儀よく座っている。やはり、目の前のこの少女が捜査員だとは考えにくい。
では本当に偽装パスポートが必要なだけか? いや、それならば不可思議な点が多すぎる。
ならば目的もなく、ただ自分の下に来ているだけの、家出したい願望を持っているけどできない少女だとか……、ならばなぜ、偽装パスポートが必要になる?
「――ダイモンサン」
自分を呼ぶ声に、大門は急に現実に引き戻された。ぼんやりとした頭で声の主を認める。
ハルカがこちらを見ていた。先ほどの想像のせいか、なぜかいつも笑っている人畜無害なハルカの眼が、実に空ろな虚構に満ちた眼に見えた。
目が合うと、ハルカはいつも通り笑ったが、その笑顔が完璧に信頼できるものではないことを、大門はうすうす感じ始めていた。
「じゃ、マタネ」
五時になっていた。ハルカは決められた動作をこなすからくり人形のようにすっと立ち上がると、迷わず玄関に向かい、あっという間に帰っていってしまった。
バタン、と無機質な音を立てドアが閉まるとひとり部屋に取り残された大門は、機械的な動作でコーヒーの入っていたカップを片付けようとした。
片付けようとしてふと手が止まってハルカの飲んでいた方のカップを見た。
大門は目を見開いた。機械的な動作に感情が加わり、危うくカップを取り落としそうになる。
ハルカの飲んでいたはずのコーヒーは、カップから一滴たりとも飲まれた形跡がなかった。
大門は気味が悪くなり、コーヒーを片付けるのを止めてそのままの姿でソファに寝転がり、目を閉じた。
眠れば何も考えずにすむ。そう思ったのだ。しかし、嫌なことは例え瞼を閉じ、呼吸さえ止めたとしても付いて来るものである。大門は唐突に、あることを思い出し、ソファから起き上がった。
そして今度は本当に感情を挟まずに機械的な動作で玄関に向かい、慣習的に身についた滑らかな動きで玄関に備え付けのポストの中の、いらない新聞やダイレクトメールをより分けて、目当ての便箋を手に取った。
いつも通り、一通の飾り気の無い、気味の悪いくらいに清潔な白い便箋。
裏面を見る。いや、本当は見るまでも無い。
差出人もいつも通り、「ミヤザキレイコ」。
大門はその便箋の封を切った。そして中のいくつかの手紙を取り出す。そこにはいつも通り、次に殺される連続怪死事件の被害者の詳しい状況と、そしてそれにそぐわない明るい内容の手紙が入っている、はずだった。
ところが今回は勝手が違った。いつもの手紙より一枚多く、何かが入っていた。写真のようだ。大門はそれを手に取る。
その瞬間、大門はまるで巨大な鉄を臓腑に打ち込まれたかのような衝撃を覚えた。それに従い、身体がだんだん重くなっていく。しかし頭だけは対照的に今にも浮遊しそうなほど軽い、いや正確には軽くなっているのではなく、意識が飛びかかっている。
ぐらぐらと世界が揺れている感覚に陥る。息が荒くなり、一呼吸、一呼吸と、呼吸法を思い出すように呼吸しているうち、四度目の深い呼吸で、胃が熱くなり、大門は玄関で蹲り、吐いた。
――なんで、こんなものを……。
意識が飛びそうになる。それを抑えながら大門は写真をもう一度見据えた。もしかしたら見間違いかもしれない、そう思って。
しかしもう一度見ても結果は同じだった。そこには先ほどハルカの携帯で見た連続怪死事件の被害者が上半身のみで地面に仰向けになり、血を大量に流している写真があった。