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困難の行く末に
はじめて見たここのあさぼらけは 清らかだった。
澄みきった、水彩画のような空から、
太陽がやさしい光を放ちながら、わたしの凱旋を出迎えた。
安心させるような、やわらかくて、あたたかい光明。
一面に敷かれた、ふんわりとした翠の芝生の絨毯。
数え切れないほどの咲き乱れる花々のブーケに、朝露のきらめく木の葉たち。
聖母さまがいらっしゃる――美しい、楽園。
――ここに 来たかったんだ。
もうこの銀色の羽で わたしは翔べない。
嵐のなかで、風にたたきつけられ、
矢となった雨に体を貫かれ、稲妻にも容赦なく殴られた。
1枚1枚、日に日に散っていったけれど、
それでもただ、この陽射しが見たくて、この場所に憧れて、
ただただ、たどり着くことだけを目指して、
荒れた空を一心に舞い続けてきた。
小鳥たちの奏でるファンファーレが響きわたる。
――おかえりなさい――
聖母さまにやさしくつつまれたとき、
わたしの羽は金色に輝き、どの天使にもないような、荘厳な羽に変わった。