第一話:お疲れ様です
「なんだこの企画書は? 今までなにを習ってきたんだ! 来週までに全部やり直してきてくれたまえ」
部長の怒鳴り声がオフィスに響く。
僕はただひたすらに、すみませんと平謝りを続ける。
こんなのいつものことだ。
ガックリと肩を落としながら自分のデスクに戻り、大きな溜息をはいた。
それを見かねたのか右隣の木村先輩が話しかけてくる。
「まぁ元気だせって、俺も最初の頃はよく怒られたものだよ。 それに部長は可愛いやつほどよく叱るんだよ。 ようは期待されているってことだ!」
どうやら励ましてくれているようだ。 木村先輩はいつもここって時に頼りになるとても尊敬できる人だ。
「どうだこれから一杯やるか? もちろんおごるぞ」
こういう面倒見のいいところも尊敬できる一つの理由だ。
だが、お誘いを受けるわけにはいかない。
「すみません これから残業しないといけないので…」
今の僕にはやらなければならないことが多すぎる。
「そうか残念だな…今度はちゃんと付き合えよ! じぁあ、お疲れさん」
「お疲れ様です。」
木村先輩はポンと僕の肩を叩いて帰っていった。
そのおかげかどうかは解らないが、少し元気がでた…
ー――――
時間がすぎるのは早いもので四・五時間ぐらい前に部長に怒られていたのが、つい先ほどの事のように思える。
とりあえず仕事も片付き、会社を後にする。
就職するために上京してきてもう三年になる…… 色々とあったような 無かっようなそんな三年間、その間に自分は何か成長できたのだろうかと自分で自分に問いかける。
「グゥ〜」
腹の虫がなった。
こんな時でも、腹はすくものだ。
「途中のコンビニによって弁当でも買って食うか」
そんな独り言を言いながらコンビニに向かった。
――――――
「合計982円になります。」
「えっと……はい」
「1,002円お預かりいたします。 20円のお釣りです。 ありがとうございました。」
コンビニを出て行く僕
外は少し寒い、もうすぐ冬なのだと思うと何故か心が寂しい感じがするのは僕だけだろうか…… こんなことを考えながら帰る帰り道、気がつくと家のアパートに着いていた。
部屋が二階なので階段を昇ろうとした時、鳴き声が聞こえてきた。
「ワン」
あまりにも突然の出来事に一瞬気のせいかとも思ったが、すぐにまた鳴き声が聞こえてたので辺りを見回してみた。
そしてそれは僕の後ろの方でちょこんと座っている。
茶色い毛皮をまとい、赤い首輪をしてつぶらな瞳でこちらを見ていた。
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