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第1章◇高校入学と導入<2>

前回、無計画に投稿してしまったため、読み返してみたらかなり尻切れトンボでした。なので、前話の最後から書き出します。


「…………へ?」

楓は思わず気の抜けた声を出したが、流れ日はもはや聞いていない。一人でウンウン頷き、勝手に納得して話を進めていく。

「今まで世話になった分、俺もお前を応援するからな!」

「え…や、ちょっと」

「で、お前は誰が好きなんだ!? ご近所つったらやっぱ」

「ちょっと!ストップ、ストォーップ!!」

ん?と、怪訝そうに話すのを止める流日。楓はそんな兄に目眩すら覚えた。

実は、これまでにも何回か思いを伝えようとしたことはあった。それとなくアピールもしている。

だから、流日の鈍感さに気づいてはいたのだ(例えば、流日の机の上にラブレターを置いた事もあったが、部屋にやって来た彼が教えてくれたのは数学の問題の解き方だった)。

だが、まさか。

(勢いに任せた告白だったとはいえ、ここまでストレートに言って伝わりさえしないなんて…!!)

正攻法も搦め手も通用しないラスボスを前に、目の前が真っ暗になる楓。

コントローラーをほっぽり出し、電源を切ってしまえば楽になるかもしれないが、そんなに簡単に諦められればこんな苦労はしない。

……一般的な攻略本では無く、『裏ワザ』にたよってみようか(ダーク楓スイッチ、ON)。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


流日玄人は戦々恐々としていた。

楓から、何か近寄りがたいオーラがでている。

話にストップをかけられてから、かれこれ10分が経過していた。学校までの道のりも、半分をきったくらいである。

(…俺、何か変な事言ったっけかなぁ?)

自分としては、それなりに良いこと言ったつもりだったのだが。

「ねぇお兄ちゃん。」

「は、はい!?」

何の前触れも無く、いきなり話かけられビクる流日。振り返った楓は、どこか吹っ切れたような顔をしていた。

彼女は言う。

「これから、妹かロリ系以外のエロ本は禁止ね、お兄ちゃん。」

「そんな特殊な性癖は持ち合わせていませんが!!?」

身長150センチ。胸囲に自信の無い楓であった。

「私、高校一年になっても、正直あんまり成長してないよね」

「あ、あー……。…うん」

「だから、お兄ちゃんの趣味の方に変わって貰おうかと」

「それでお前に何の得が!!?」

「条件に合致しないブツを買ったらねー、」

「人の話聞けよ!おい!」

「お兄ちゃんを読み終わった袋とじみたいにしてあげるから☆」

「袋とじ!? 読み終わった!!?」

「物理的に」

「物理的!? 俺アジの開きすか!!?」

とまぁ、愉快なやり取りを続けていた二人だったが。

よく見たら、学校に近づくにつれ増えてきた学生達がヒソヒソ話全開である。

まぁ、美少女とエロ本の話で盛り上がっていれば、こうなる。

うわー俺の高校生ライフがー!!?っと、半狂乱に陥る流日。だが、何かのスイッチが入った楓は止まらない。

「そもそもさぁ、お兄ちゃんがエッチな本を買うのって、生きてて、こう、たまるモンがあるからでしょ?」

「ごふっ!?」

顔色一つ変えずに言う楓。てか、つくづくこの娘キャラ安定しねーなー(他人事)。

「そうだよねー。健康さんだもんねー」

「そろそろそのR指定のかかりそうな台詞をやめろ!! お前本当にどうしちゃったの!!?」

「だったらさぁ…(当然の如くスルー)、」

一拍置いて、彼女は言った。


「私が毎晩全裸で部屋に出張しようか?」


頭頂部をひっぱたいた。

人として、兄として。

「ふぁ!!? (ダーク楓スイッチ、OFF) あ、あれ、さっきまでの私、なんか変だった…?」

「おぉ、元に戻ったか!いやぁ良かった、さっきまでのお前ときたら何て言うかもう…ってアレ?」

周囲の白い視線が、一段階キツイ、絶対零度に近いものになっている。

「…アレぇ?」

困惑した流日は、自らの状況を省みてみる。

……。

………。

彼は自分が、美少女に際どい話を片っ端からさせたあげく、その頭に拳を叩き込んだ最低ゲス野郎に見える事に気づいた。

「…………」

冷や汗。

「……………。俺、何にも悪いことしてないよな…?」

「してるわよ、思いっきり!!!」

「!?」

返答があった。流日は、その可愛らしいがトゲは全開の声に振り返る。

そこにいたのは、金に近いような茶髪をロングに伸ばした、身長164センチ程の美少女だった。勝ち気そうな瞳には不機嫌さをたたえ、長く細い足は 黒いニーソックスに包まれている。

胸は残念だった。ロリを自認する(せざるをえない)楓と、負の意味で張り合えそうな「そこ、うるさい!!!」すみませんですったぁ!!

………いちを作者なんですけど、僕。

「おいおい、誰だアンタ。お前みたいな美少女知らんぞ」

突然独り言を叫んだ彼女から距離を取りつつ、流日は尋ねた。対する美少女は、

「私は亜音木ほのか。私だってアンタなんか知らないわよ、知りたくもないし」

「…美少女に初っぱなから嫌われてるとか、地味に傷つくぞ。」

「100%自業自得じゃないの? 女の子にあんな事言わせて、挙げ句の果てにはぶん殴るなんて、アンタ男として恥ずかしく無いの?」

「コイツが勝手に言い出したんだよ!叩いたのはまぁ、兄として将来が心配になったからで、」

「それにしては手加減が無さすぎる威力だったよね」

「そ、そうか?それは謝るけど…。でもお前、突発的にあんな事言い出してたら、嫁の貰い手が無くなっちまうぞ?」

「私としてはお兄ちゃんに貰ってもらえばそれで…」

「そういう事を言うなってんだ!」

とにかく、と流日は続けて、

「で、亜音木ちゃんはいったい何をしに来たんだ?」

「簡単な事よ、アンタを殺しに来たの」

「ハァ!?」

「いかなる理由があっても、女の子を殴る男にロクな奴はいないわ。…それに、さっきから兄がどうとか言ってるけど…、アンタ達、本当に兄弟なの?」

「今、露骨に容姿比べやがったな!!? 上等だ、ぶっ殺してやるよクソアマ!!」

主人公として言っちゃいけない類の暴言を吐く流日。

とまぁ、こんな感じで、魔法系学園バトルパートの始まり始まり。

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