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ちょっとしたオープニング
4月7日、午前6時。今日から高校生1年生となる流日玄人は、ベッドの上で惰眠を貪っていた。寝顔故ゆるんだ顔をしているが、起きても中の下程度の顔だろう。黒い髪は寝癖でボッサボサだ。
厳密に言えば、4月1日の段階で既に高校生なのだが、そこはご愛嬌。
絶賛爆睡中の彼だが、もし起きていれば怪訝に思っただろう。5時50分にセットしたはずの目覚まし時計が、今なおその沈黙を守っているからだ。
Q.何故か。
A.電池が入っていないから。
もちろん流日はそこまでのマヌケではない、真犯人がいるのだ。
その真犯人、すなわち彼の妹は。
6時3分、早朝目覚ましフライングクラッシュを兄の腹部に決めていた。