プロローグ
僕たち大学生五人は、卒業旅行として南米を一か月かけて回ってきた。
マチュピチュ。
ウユニ塩湖。
アマゾン川。
そんな卒業旅行も終盤となった。最後に選んだ観光スポットはウロス島。
観光地を走り回る旅も楽しかったけれど、最後くらいは何も考えず、のんびりしたい。
そこで見つけたのが、ウロス島だった。
写真を見る限り、バリ島のようなロッジになっていて、ゆっくり過ごせそうだった。
そして今、僕たちはその島の宿に泊まっている。
ウロス島の夜は静かだった。
夕食を終えた僕たちは、宿の外に出ていた。
島には街灯がほとんどなく、空には雲が広がっており、雲の隙間からほんの少し星が見えた。
「せっかくだし、島を探索してみない?」
誰かがそう言った。
この島の宿泊客は、僕たちだけだ。
他に人の気配はない。
だから、少し冒険してみたくなった。
僕たちは懐中電灯を持って、宿の裏の方へ歩いていく。
しばらく進むと、古い倉庫のような建物が見えた。
「なんだこれ」
扉は半分壊れていた。
中に入ると、乾いた藁の匂いがした。
倉庫の中には、藁が山のように積まれている。
「昔の農具とかかな」
そう言いながら、誰かが藁を蹴った。
その瞬間、白いものが転がり出た。
石……?
そう思った次の瞬間、そこにいた全員が息を呑む。
それは石じゃなかった。
骨だった。
指の骨。
腕の骨。
そして――頭蓋骨。
藁の下には、人骨が埋まっていた。
僕たちは慌てて宿に戻った。
帳場の上には、チェックインの時に書いた宿泊名簿が置かれている。
僕は震える手でページをめくった。
そこには何十人もの名前が書かれていた。
僕はスマートフォンで、その名前の一つを調べる。
数秒後、表示された文字を見て、背筋が凍った。
行方不明者。
もう一つ調べる。
それも。
また一つ。
それも。
宿泊名簿に書かれている名前は――
全部、失踪者だった。
僕たちは顔を見合わせた。
ここは、ただの宿じゃない。
ここは――
「……逃げなきゃ」
その時、遠くの方で床のきしむ音がした。その音はどんどん近づいてくる。




