第5話 星空
その日の午前中は電話対応が多くて、あっという間に時間が過ぎて、疲れて休憩スペースで一人、ぼーっと窓の外を眺めていた。
そしたら、向こうから羽山さんが歩いてきた。
二人になるのは、なんだか緊張するな……。
「お疲れ様です」
私が言うと、
「お疲れ」
羽山さんは軽く頷いて答えた。
羽山さんはスマホで何か文章を打っていた。
私はその隙にそこを離れてオフィスに戻ろうとした時、スマホに通知が来た。
ゲーム専用のアプリからの通知だった。
開いてみたら、メッセージが来ている。
ハヤテさんからだった。
『今日、また続き一緒にやろう』
ハヤテさんから誘ってもらえて、すごく嬉しい……!
画面を見ながら歩いていると――
「また誰かとぶつかるぞ」
羽山さんに後ろから声をかけられた。
羽山さんが私の横を通り過ぎる瞬間、ちらっと私の顔を見て、少し微笑んだ。
そ、その表情……刺さる……!
普段あんなに無表情なのに!
反則だ……。
だんだんと羽山さんと近づく距離に、ハラハラドキドキの連続だった。
そして、私はその日も急いで帰った。
急いでご飯とお風呂を済ませて、またゲームにログインする。
フレンドリストを見ると、ハヤテさんはまだログインしていなかった。
ハヤテさんが来るまで素材集めでもしようと、フィールドをうろうろしていた。
でも、なかなか来ない……。
だんだん眠くなってきた。
その時、チャットがきた。
ハヤテ『遅くなってごめん!今何してる?』
ハヤテさんがやっと来て嬉しいんだけど眠い……。
あまる『素材集めしてたんですけど、眠くなってしまったので、そろそろ落ちようと思います。ごめんなさい』
そう言ってゲームからログアウトしようと思ったら――
ハヤテ『じゃあ、最後に少しだけ、来てほしい場所がある』
そう言われて、「最後に少しだけなら……」と、ついて行った。
そこは、海辺の町だった。
ここはどこなんだろう……。
ハヤテさんに導かれるままフィールドを進んで行くと――
そこには、満天の星空が広がっていて、流れ星がたくさん見えた。
あまりの綺麗さに驚いた。
こんなところがあるんだ……。
グラフィックがすごく綺麗……!
たぶん一人だったら気づかずにスルーしていた。
あまる『ハヤテさん、ありがとうございます!』
ゲームの中だけど、こんな素敵な場所があるなんて、すごいな……。
私が感動していると、
ハヤテ『ハヤテでいいよ』
とチャットがきた。
え、呼び捨て?
なんか緊張する……!
でも、仲良くなりたいと思ってくれているなら、それに応えたい。
ハヤテ『俺もあまるって呼ぶから』
ゲームのキャラクターだから表情はわからないけど、なんとなく穏やかそうな人だと思った。
あまる『わかりました!』
ハヤテ『敬語じゃなくていいよ』
あまる『うん!じゃあ私そろそろ寝るね』
ハヤテ『おやすみ。あまる』
やっぱり呼び捨てにされると、すごく恥ずかしい……。
あまる『ハヤテ、おやすみ!』
落ちたら直ぐに寝ようとしたのに、ドキドキして眠れない。
一体何なんだこれ……。
毎日あの人と会うって、ちょっと……。
ゲームどころじゃなくなるんですけど!!
ストーリーを進めたいと思いつつ、ハヤテさんとのコミュニケーションに戸惑う私だった。




