番外編 私の愛の証明2
Tシャツネタが続きます。
あの日から羽山さんが、
『瑠』 『美』 『命』
のインナーシャツを毎日会社に着て行ってくれて、私は嬉しい。
離れていても愛されてるような実感が湧く。
私も、伝えないと。
私の愛を──
そして私は"それ"を注文した。
「うん、悪くないかも!」
私は"それ"をこっそり隠して会社に行った。
会社に着いて暫くしたら、羽山さんに呼び出された。
「お前なんでそんなTシャツ着てるんだよ!同じ部署の奴らに揶揄われてるんだぞ俺は」
羽山さんは何故か怒っている。
「えーそんなの気にしなくていいじゃないですか。羽山さんの業務に支障ないですよね?」
私のTシャツに
"Tetsuji Love"
アルファベットで胸元にプリントされてる。
パステルカラーでアルファベットの部分は白だし、ちゃんと読まないとバレないはずなのに。
「なんでバレたんですかね」
「読もうとするだろ、気になるやつは。一人わかったら広まるんだよ」
「私これ結構気に入ってるんですけど」
デザインもかわいいし。
「頼むからもうやめて。やり過ぎるとまずい」
確かに、他の人が同じ事をしたら、呆れるかもしれない。
「わかりました。これは休みの日だけ着ます」
ちょっと落ち込んだ私はそのままデスクに戻ろうとした。
その時羽山さんに肩を掴まれた。
羽山さんはTシャツのアルファベットを指さした。
「それ、家で言って」
そう告げた後、何事もなかったかのように行ってしまった。
私はうずくまって悶えていた。
「天川さん大丈夫!?」
通りかかった他の社員の人に心配された。
「大丈夫です……ちょっと胸が苦しくなっただけです」
──帰宅後
羽山さんが全然帰ってこない……。
愛を叫ぶ準備は万端だった。
その時スマホにメッセージが届いた。
『ごめん、鈴木に割と真剣な相談されて、ちょっと聞いてから帰る』
鈴木さん、余計な事しないで!!
今は毎日会えるけど、それでも平日はあまりゆっくり話す時間もないのに!
私は悲しくてもう寝てしまおうとした。
暫くしたら、玄関のドアが開いた音がした。
ゆっくりと羽山さんがベッドに近づいて来た。
「瑠美」
私は亀のように布団にくるまっていた。
「遅くなってごめん」
「……別に大丈夫ですよ」
その時思い切り、布団を剥がされた。
「え!?」
羽山さんは──
酔っている。目が虚だ。
「ねぇ、言って?あの言葉」
それを言う約束はしたけど、私は今それを言う気分じゃない。
「また今度、言えそうな時に言います……」
酔っ払い羽山さんが覆い被さってくる。
「言って」
耳元で囁いてきた。
私の思考は溶けてしまった。
「哲治、好き……」
恥ずかしい、顔を覆って耐えていた。
「俺の目を見て言って」
両手を掴まれてしまった。
これは拷問……!!
なぜ待たされた私がこんな目に!
「哲治、好き」
「もっと言って」
酔っ払い羽山さんは許さない。
「哲治好き!」
「だめ。もっとちゃんと、心を込めて言って」
これ以上どうすれば!
「羽山さんはどうすれば満足するんですか?」
いつのまにか羽山さんがワイシャツを脱いで『瑠』『美』『命』のシャツになっている。
「何も言わなくても瑠美が勝手に言うようになってほしい」
羽山さんは普段は冷静沈着なのに、ふとした時に愛を確かめようとしてくる。
その理由はわかってるんだけど。
でも!
「羽山さん、私あのTシャツ着てる時点でわかりませんか!?正々堂々と『Tetsuji Love』してます!」
これも私の愛の証明だ!
「そうだな。瑠美はちゃんと俺への気持ちを表現してくれてる」
羽山さんが安心した顔をして、私も安心した。
「じゃあ、俺からの愛を受け取って」
「え?」
◇ ◇ ◇
その後、羽山さんからしっかり深い愛を受けとった。
二人ともTシャツを着てなくても、ちゃんと心は通じ合っている。
「瑠美、ちゃんと言えたね」
羽山さんの怪しげな笑み。
「羽山さん……シラフですよね?」
「どっちでしょう」
たまに私の事を揶揄ったりもしてくるけど、私しか知らない羽山さんを毎日独占できるだけで、私は幸せだ。
──fin
まだこのネタを引きずります。




