第39話 初対面
羽山さんにプロポーズされたあと、入籍日を二人で考えた結果、私達がエタクエで初めて会った日にすることにした。
──休日
私はその日、羽山さんの実家に二人で向かっていた。
電車に揺られながら、緊張しっぱなしだった。
身だしなみを、人生で一番悩んだ日だった。
どうしよう……反対されたら。
私が悶々と考えていると、羽山さんが肩を叩いてきた。
振り返ったら、ほっぺを人差し指でつつかれた。
「緊張しすぎ。大丈夫だから」
「そんな事私わかりませんし!」
胃がキリキリしてる状態で、羽山さんの実家の最寄駅に着いた。
その後、羽山さんのお父さんが車で駅に迎えにきてくれた。
「哲治〜」
優しく手を振っている。
なんだか少し羽山さんに似ている。
少し安心した。
車に乗ったあと「私、天川瑠美と申します!羽山さんの部下で、まだまだ未熟者ですが、精一杯哲治さんを支えます!」と気合を入れて言った。
「それは家に着いてからにしようか」
羽山さんのお父さんに少し笑われた。
やばい、緊張しすぎて先走ってしまった。
羽山さんは顔を背けて声を抑えて笑っている……。
──ひどい!!
その後、羽山さんの実家に着いたら、優しそうなお母さんが出てきた。
「哲治お帰りなさい。いきなり結婚するって言ってびっくりしたわよ」
羽山さんのお母さんは私の方を向いた。
「瑠美さん、初めまして、ようこそ」
「は、初めまして!」
羽山さんの実家に入ったら、小さな犬が何匹かいて、私の周りを嬉しそうに取り囲んでいた。
犬は大好きだから撫でてあげてたら、周囲を包囲されて全く動けなくなり、羽山さんに救出された。
「うちの子たち瑠美さんを気に入ったみたいね」
羽山さんのお母さんは微笑んでいる。
そのあと、私たちはリビングに通された。
羽山さんの両親と対面で座り、背筋が伸びる。
「二人はどんなきっかけで?」
と、羽山さんのお母さんから鋭い質問が。
オンラインゲームがきっかけなんて言えない。
「俺の趣味で偶然瑠美に会って、それから付き合ってた」
なるほど、それは間違ってない。
「瑠美さん、哲治は会社ではどうだい?」
羽山さんのお父さんに聞かれた。
「とても素敵な上司です!部下の事をちゃんと見ていて、仕事もできて、すごく評判もいいです!」
自信満々に答えた。
羽山さんのお父さんはうんうんと頷いていた。
「瑠美さんはきっと頑張り屋さんなんだね」
羽山さんを褒め称えたのに、なぜか私が褒められている。
「うん。たまに空回りしてるけど、凄い頑張ってるよ」
空回りは余計だけど、羽山さんに褒められることは純粋に嬉しい。
「瑠美さん、これから宜しくね。何か困った事があったらいつでも言ってね」
羽山さんのお母さんが穏やかな笑顔で言った。
なんて優しいお父さんとお母さん……!
「不束者ですが、宜しくお願いします!」
羽山さんのお父さんが羽山さんに近づいた。
「哲治、幸せにしてあげるんだよ」
「うん。何があっても守るよ」
嬉しい。
こんな素敵な人と結婚できるなんて思わなかった。
神様、ありがとうございます。
私は幸せを噛み締めていた。
その後少し雑談をしてから、私と羽山さんは実家を後にした。
それぞれの家に向かおうとした時、「早いけど、もう家探そうか」と羽山さんに言われて、また嬉しくて腕にしがみついた。
羽山さん大好き。
幸せに浸っていた。
──次は私の実家が待っている事も忘れて。




