第3話 初めてのフレンド
チャットが届いた後、文字の打ち方がよくわからない私は、ゆっくりと文字を入力した。
あまる『ラピスの村にいます』
送信したら、すぐに返信がきた。
ハヤテ『何番のサーバーにいますか?』
えーと……適当な場所に入ったけど何番だったかな。
メニュー画面を見ていろいろ調べていたらわかった。
サーバー番号を伝えてしばらくしたら、私のキャラに近づくキャラがいた。
そのキャラが、私にあいさつのジェスチャーをした。
「おー!」
つい声が出てしまった。
現れたのは、人間の剣士の男キャラクターだった。
ハヤテ『よろしく』
チャットがきた。
あまる『オンラインゲーム初心者です。よろしくお願いします』
私はもたもたしながら入力した。
ハヤテ『俺も最近始めたばかり』
よかった!お互い始めたばかりの方が気楽だし、楽しめそう!
ハヤテ『水晶の塔のボスを倒すんだよね』
あまる『はい!』
ハヤテ『じゃあ一緒に行こう』
“ハヤテ”がどんな人なのか気になった。
でも、あくまでゲームで遊ぶだけの関係。
深入りしてはいけない。
その後少しゲームについてハヤテさんと話したところ、ハヤテさんは水晶の塔はもうクリアした場所だけど、手伝いたいからついて行くと言った。
ありがたい……!
ハヤテ『装備、変えた方がいいよ』
そうハヤテさんに言われたが、私は町で最新の装備にしていた。
ハヤテ『町で買うより、プレイヤーが作った装備品の方が追加効果があって強いよ』
なんと、その後ハヤテさんは、私のために新しい装備を買いそろえてくれた。
あまる『ありがとうございます!何ゴールドですか?』
ハヤテ『俺が言いだしたことだから払わなくていいよ』
なんて優しいんだ……。
至れり尽くせり。
私はすごい恵まれている。
その後、足りないメンバーはレンタルして、水晶の塔に向かった。
ハヤテさんは旅の道中、エタクエオンラインのシステムを色々教えてくれた。
その他にも、いつ頃ゲームを始めたのか、今までどんなゲームをやったか、そんな話もした。
話し方や距離感が心地よくて、この人となら楽しくゲームができそうだと思い、初めてフレンド申請をした。
ハヤテ『え、いきなり?』
驚かれてしまった。
なにかマナーがあるのかな……?
あまる『ごめんなさい』
ハヤテ『いや、あとで申請しようとしてたから大丈夫』
その言葉がとても嬉しかった。
しかし、水晶の塔の前に着いた途端、急に眠気が襲ってきた。
あまる『ごめんなさい。眠くなったので続きは明日でもいいですか?』
自分から募集をかけたのに、申し訳なかった。
ハヤテ『いいよ。じゃあまた明日』
よかった……。
あまる『ありがとうございます!』
ハヤテさんは手を振るジェスチャーをしてくれた。
たかがゲーム。
でも、人間同士のコミュニケーションがそこにはあった。
◇ ◇ ◇
──次の日。
私はどうしても見たい資料があって、資料室で必死に目的のものを探していた。
ない……どこにもない。
でも先輩は「ある」と言っていた。
ありとあらゆる場所を探して、もう無理だと諦めかけた時、重心が傾いて乗っていた脚立ごと倒れそうになった。
「わっ!」
やばい、この体勢はダメージがでかい!
床に倒れると思ったら――
誰かに受け止められた。
振り返ったら、羽山さんだった。
「……気をつけろ」
またもや助けられてしまった。
「度々すみません……」
「何探してるんだ?」
「えーと、昨年の会議資料を……」
羽山さんも一緒になって探してくれた。
「これか?」
見つかった!
「ありがとうございます!」
羽山さんは、思ったよりいい人だ。
「羽山さんもこちらに用事があるんですか?」
「いや……通り過ぎようとした時に、見かけただけ」
その後、羽山さんはすぐにどこかに行ってしまった。
少し垣間見た優しさに、なぜか心が揺れた。




