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オンラインゲームのフレンドが直属の上司だった件  作者: 七転び八起き


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第27話 裏切り

 ──加藤沙織


 俺の同期だ。


 明るくて容姿が良くて仕事もできて、同じ営業職をやってて、差がだんだんと開いていった。

 同期だったけど、憧れていた。


 それは、仕事だけではなく、異性としても。

 でも同期として、他のやつらも一緒に仲良くやってた。


 3年後、俺は違う支店に異動になった。

 その時、偶然あいつも同じ支店に異動になった。


 知らない土地に突然引っ越してきた二人。

 知っている人はいなく、話し相手はお互いだけだった。

 そしたらだんだんと距離が近づいてきて──俺と沙織はそういう関係になっていた。


 二人で休みの日に色んなところにでかけた。

 すごく幸せだった。


 ──結婚しようとも思った。


 異動して二年経った時、プロポーズをしようとしていた。


 沙織との関係は順調だった。

 でも、仕事は順調ではなかった。


 上司がとにかく合わなかった。

 俺はその時は、はっきり気持ちを言う人間だった。

 何度もぶつかった。

 その度に上司に罵られた。

 俺は何とかそれでも仕事を続けた。


 でも、先輩や後輩達は、辞めていったり休職したり、とにかく入れ替わりが激しかった。


 俺も少し参っていた矢先、仕事が終わって職場に戻った時に、暗いオフィスの中から沙織の声が聞こえた。


 ──嫌な予感がした。


 そっと覗いたら、クソ上司と沙織が抱き合っていた。


 その後の事はあまり覚えてなかった。

 まず、今までのあいつの痕跡を何もかも抹消した。部屋からもデータからも。


 それでも辞めなかった理由は自分でもよくわからなかった。

 ただ、あの二人のせいで自分が引き下がるのが耐えられなかった。

 逆に居座るつもりだった。


 俺が変わったのはそれからだった。


 上司の罵倒にも、沙織の縋り付く姿にも、何も感じなくなっていた。


 心を完全に閉ざした。

 ただ無駄な感情を殺して仕事をしていた。


 いつの間にかその上司は降格されて異動になった。

 沙織と俺はその次の年、バラバラの場所に異動になった。

 あの日から会話は仕事以外何もしなかった。


 俺と付き合っておいて、俺が毎日上司と揉めてるのも見ておいて、強かな女だ。俺が勝手に美化して勘違いしていた事にやっと気がついた。

 仕事に無駄な感情はいらないと、その時決めた。


 俺は昇格して、異動先では部下ができた。

 正直、上司という器ではないが、会社からの命令だからこなしていた。

 でも、色々なストレスが一気にきて体調を崩しかけていた時、部下の一人に声をかけられた。


「羽山さん大丈夫ですか?」


 それは、まだ入社して三年目くらいの営業事務の女子社員。

 もう女はこりごりだった。

 でも何故か、そいつを見るとホッとする自分がいた。


 仕事ができる方ではない。

 見ていると人見知りで、人と話すのが苦手そうだった。

 沙織と真逆なタイプだ。


 一人で何かずっと考えていたり、突然顔を押さえていたり、ニコニコして歩いてたり。

 話してなくても行動だけでわかる。

 計算ができないタイプ。


 だからきっと惹かれたのかもしれない。

 でもそれ以上の感情は湧かなかった。


 ある日、鈴木に誘われたオンラインゲーム。

 ゲームは昔はやっていたが、最近は全然やっていなかった。

 試しに適当にやって、飽きたらやめようと思っていた。


 最初は一人でやろうとしていたが、なんとなく誰かとやってみたいと思って、フレンド募集を見ていたらでてきた“あまる”というプレイヤー。

 レベルが近く、大体同じ部分を攻略しようとしてるのが分かったから、適当に遊んでみようとしただけで、それ以上の気持ちはなかった。


 軽く話してみたら気楽で、久々に知らない人とじっくり話せた。

 利害関係が全くなく、ただ楽しめる世界はとてもよかった。

 なんとなく、ずっと旅をしてくれそうだと思った“あまる”。


 だから誘った。

 あの星空を見せたくて。


 それが、俺の“あまる”への、ずっと一緒に旅をしてほしい気持ちの表現だった。


 瑠美だとわかった時はかなり驚いたけれど、嫌じゃなかった。

 逆に、安心した。


 そして、不覚にも側にいて欲しいと思ってしまった。

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