第25話 大雪により
羽山さんの家は、駅からさらに15分くらいの場所だった。
思ったより積もった雪。
交通渋滞もすごい。
そして──
やっと羽山さんの家のマンションに……!
羽山さんについて行って、玄関に入ったら、羽山さんの世界がそこに──
思ったより相当シンプルな空間だった。
必要最低限のものだけというか。
家のぬいぐるみ天国と大違いだ。
「座っていいよ」
私はソファに座った。
緊張する……!
流れで羽山さんの家に来てしまった。
でもそれを期待してた。
ふと見たら、ゲーム機とエタクエのパッケージを見つけた。
「羽山さん!ハヤテ操作したいです!」
何としてもこれだけはしたかった。
羽山さんはゲームを立ち上げてくれた。
画面いっぱいに広がるエタクエの私達の家と──
「ハヤテだーーー!!」
泣きそうな程嬉しかった。
「ハヤテ好きだよ〜」
画面に向かってハヤテに愛を伝えた。
「俺達、不思議な関係だな、本当に……」
羽山さんが温かい紅茶をくれた。
それを飲みながら、気の済むまでハヤテで遊んだ。
でも──
「雪、全然止みませんね……」
「もう泊まっていけよ」
「え?」
泊まる……。
それはつまり、朝まで一緒ってこと?
それはちょっとまだ心の準備が!
「えーと、ちょっと緊張するんで、それはまた次の機会にします……」
その時、隣に羽山さんが座った。
「じゃあどうやって帰るんだよ」
「あ、歩いて帰ります……」
羽山さんが深くため息をついて俯いていた。
「何もしないから」
羽山さんが落ち込んでいるのを見て、申し訳なくなってきてしまった。
「やっぱり泊まります。羽山さんともっと一緒にいたいです」
一緒にいたいのは本当なんだ。
ただ、羽山さんと一線を超えてしまうかもしれないことが、少し怖かった。
「すみません。嫌という訳ではなくて、そこまで踏み込んだら、もう戻れない気がして」
その時羽山さんの手が私の手に触れた。
真剣な眼差しから目を逸せなかった。
「俺はもう戻れないよ」
優しく私を抱きしめてくれた。
知らなかった頃にはもう戻れない。
知ってしまったら、もっと知りたくなってしまう。
羽山さんと離れたくない。
悲しませたくない。
私は羽山さんにキスをした。
それは、私からの答えだった。
そのまま私は、羽山さんの温もりの中に溶けていった。
◇ ◇ ◇
──翌朝
早く目が覚めて、窓の外を見たら、雪は止んでいた。
ベッドを見ると、羽山さんがすやすや寝ている。
私が見た事ない顔。
まじまじと眺めて幸せに浸ってから、こっそりゲームを起動して、またハヤテを操作しようとした。
「何やってるんだよ……」
羽山さんが起きてしまった。
そのまま、またベッドの中に引き戻されて、羽山さんの腕の中に格納されてしまった。
とうとう羽山さんと一線を超えてしまった。
そしたら、もっと心の距離が近くなったような、そんな気がする。
「もう帰るの?」
羽山さんの低く甘い囁きが脳に響く。
「いえ、まだここにいようかと……」
額にキスをされた。
そのまま二人で戯れながら、二人の時間を堪能していた。
この後二人を揺さぶる暗雲がくるとも知らず──




