第24話 初詣
その日、あまるとハヤテは、エタクエのカウントダウンイベントに参加していた。
あまりのサーバー負荷に何度も落ちまくって、何とか迎えた新年。
空に花火が上がる。
イベントでゲットした着物を着て、二人で花火を眺めていた。
「あけおめ」
会話はスマホでしていた。
「あけおめって、羽山さんの用語にあったんですね」
意外過ぎて笑ってしまった。
「俺は何なんだよ、瑠美の中で……」
それは──
「謎めいた仕事できる上司だけど、ゲームだとアクティブで素直な人です」
羽山さんは少し笑った。
「アクティブか。瑠美は人見知りのコミュ障が丸見えだけどな」
辛辣な言葉!
「流石上司ですね……」
二人でこうやって和んでいるのもいいけど、やっぱり会いたい。
「羽山さん、どこか初詣行きませんか?」
お参りしてお守り買うだけでもいいから行きたいな。
「うーん、雪が降るって予報にでてる」
雪──
「じゃあ、初詣はもっと天気が安定している時でいいです」
「……いや、行こう」
「え、雪が降るのに行くんですか?」
「家の近くに割と大きい神社あるから」
「羽山さんの家、どこなんですか?」
そういえば聞いた事がなかった。
「そっからだと30分くらい」
そこまで遠くはない。
それだったら最悪雪が降っても帰れるかも。
「私行きます!」
「じゃあ、明日行くか」
やったー!
私はハイテンションのままログアウトして、ワクワクしながら寝た。
◇ ◇ ◇
翌日──
窓の外を見たら、思いの外すごい雪が降っていた。
楽しみにしてたのに……。
激しく落ち込んだ。
その時羽山さんから着信があった。
「今日はやっぱりやめとくか……」
そうするべきだ。
でも、私は諦めきれなかった。
「積もってるわけじゃないんで行きます!」
羽山さんが何か言ってるけどそのまま通話を切って、すぐに着替えて外に出た。
雪は地面につくと、何もなかったように溶けた。
よし、これなら大丈夫!
私は羽山さんの家の最寄駅まで急いで向かった。
しかし、雪はどんどん降り続き、外がだんだん白くなっていく。
この地域では雪が積もるなんて滅多にない。
だから完全に油断していた。
窓の外が見えなくなるくらいの雪が降ってきて、電車が徐行運転になってしまった。
勢いで来ちゃったけど、帰るのも苦労しそう……。
でも、だって、羽山さんに会いたいんだよー!
マスクをして、いつもと違う髪型にして、他の人にバレないようにしてきたし。
そして、待ち合わせ時間の三時間後に駅に到着した。
「申し訳ありません……」
深々と頭を下げた。
「いや、俺は大丈夫なんだけど、帰りの事もあるから早く行って早く帰ろう」
もっと長く一緒にいたかった。
でも会えただけでも嬉しい。
雪道を歩きながら相合傘をして神社まで行った。
神社でお参りをして、お揃いのお守りを買って、今日の目的を達成した。
「羽山さん、ありがとうございます。無理やり来てしまったんですけど、嬉しかったです」
私達はまた駅の改札に行って、私は帰ろうとしたが──
雪の影響で交通機関が麻痺し、かなり大幅な遅れになっていた。
「………家にくるか?」
「え?」
「雪落ち着くまでいていいよ」
羽山さんの家!
「ありがとうございます!」
とうとう羽山さんの私生活が見られる!
私はドキドキわくわくして羽山さんについて行った。




