第20話 今を大切に
羽山さんの過去の彼女の話を聞いてしまった私は凹んで、具合が悪いと嘘をついて今日はゲームを休む事にした。
しかし、こっそりログイン状態を隠して、ゲームの中にいた。
何か気がまぎれることを探していた。
いつも遊んでるサーバーだと見つかる可能性があるから、いつもいかないサーバーに行った。
全く雰囲気が違う。
私達がよく遊ぶサーバーはプレイヤーが少なめだ。
今いるところはワイワイしている。
よく行く町だけどフラフラ歩いてみた。
そしたら、私と全く同じ、エルフの女の子で、髪型も同じのキャラがいた。
装備を見た感じ、初心者だと思った。
そのキャラを見ると、まだこのゲームを始めたばかり事を思い出した。
あの時、ハヤテと出会って、ドキドキとワクワクの連続だった。
まさか上司だとはつゆ知らず……。
あの時ハヤテと出会わなかったら、私はどうしていたんだろう。
たぶん、途中で飽きてやめていたかもしれない。
ゲームを始めたばかりの、ただ楽しく冒険していた時に戻りたいなーと思い出に浸っていたら、そのキャラが近づいてきた。
ちゃちゃ『その装備かわいいね』
声をかけてくれた。
ゲームだけど話しかけてもらえるのは純粋に嬉しい。
あまる『ありがとう!もしかしてゲーム初心者?』
ちゃちゃ『うん、今日始めたばかり』
よし、私も誰かの役に立ちたい!
余計な事考えたくないし!
あまる『よければサポートするよ』
ちゃちゃ『ありがとう!うれしい!』
よし!先輩として頑張ろう!
と、気合を入れて、そのキャラを全力でサポートした。
しかし、割とそのキャラはゲームが得意みたいで、大して役に立てなかった。
私ってゲームセンスないのかも!!
また落ち込んでしまった。
あまる『あまり助けにならなくてごめんね』
ちゃちゃ『ううん!一緒にプレイしてくれて楽しかった!ありがとう!じゃあね!』
あまり役に立てなかったけど、楽しんでくれたならよかった。
一人になった時、無性にハヤテに会いたくなった。
いないだろうけど、二人の家に戻ってみた。
羽山さんの元カノの事は気になるけど、今は私を好きだと言ってくれてる。
それだけでいいんだ。
やっと気持ちを切り替えられた。
その時、ふと目の前にハヤテが現れた。
そしたらスマホに着信がきた。
『なんでいるの??』
羽山さんの声に安心してしまい──
「会いたかったです……」
泣いてしまった。
そして、羽山さんに本当の事を話した。
「気にはなると思うけど、過去の事だから。今は瑠美が好きだし」
「はい……」
羽山さんから直接聞けて少し安心した。
「それより……鈴木が瑠美に手を出そうとしてる事が気になる」
「私は羽山さんが好きなんで、気にしなくていいですよ」
寝る前にハヤテに会えてよかった。
やっぱり二人でエタクエにいる時が一番安心する。
「……クリスマス、どっか行くか?」
「え!?」
まさか、羽山さんから誘ってくれるとは思わなかった。
「いいんですか……?」
「この辺だと見られる可能性もあるから、遠くでいいところ探そうかと」
嬉しい。
羽山さんといられるならどこでもいい。
「ありがとうございます!楽しみです」
あまるとハヤテはそっとキスをした後、私達はゲームから出た。
二人の初めてのクリスマスに想いを馳せた。




