表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/51

第八話 雷哉と苅砥と珪晶

 演習開始から二時間半が経った。陽が落ち段々と空気が冷え込んでいく。

 茂みの中で真神雷哉まかみらいや傷代苅砥きずしろかると鹿深珪晶かふかけいしょうの三人は一度も鬼と遭遇すること無く過ごしていた。

「何かこのまま終わっちゃいそうだね」

「油断するなよ。まだ30分もある」

 雷哉の言葉を苅砥が嗜める。

「退学もありえるから見つからないに越したことはないけれど、これはこれで退屈だね」

「退屈でもいいよ。このまま誰にも見つかりませんように」

 珪晶の言葉に雷哉が気弱に応える。

「残念ながらそれは叶わないな」

 その会話に四人目の声が割り込む。いつの間にか彼らの傍に亜麻色の髪を持つ青年が立っていた。顔には鬼の面を着けている。

「私の名は笹舟理界ささぶねりかい、元風紀委員委員長で今は唯の鬼役だ」

 笹舟の言葉に雷哉は身震いし、苅砥は舌打ちをして、珪晶は目を細める。

「貴様らは中々隠れるのが上手みたいだが、私は動物が発する微弱な電磁波を感知することが出来る。この能力で何人も捕まえてきた。次は貴様らだ」

 笹舟が言い終わる前に苅砥は動き出していた。笹舟に向かって鎌を振りかぶる。

「良いぞ、判断が早い」

 笹舟はそれを金色の十手で防いだ。

「真神君、手前達も行くよ」

「あっ、うん」

 遅れて珪晶と雷哉も武器を構える。

「影踏み!」

 苅砥が笹舟の影を踏んで叫ぶ。すると笹舟の動きが途端に鈍くなる。

 その隙に珪晶と雷哉が挟撃を仕掛ける。

 しかしその瞬間、笹舟の周りに電撃が走った。三人は感電して動けなくなる。

「良い連携だ。私も多少本気を出さざるを得なかったよ」

 笹舟は手錠を取り出し苅砥に掛けようとするが、雷哉の双剣が閃く。

「ほう、あれを喰らってまだ動けるのか」

 笹舟は咄嗟に後ろに飛び退き呟く。

「電気には耐性があるんです」

 雷哉は左右の手に持つ小太刀を駆使し追撃する。

「そうか、貴様も私と同じ属性なのだな」


「鹿深、動けそうか?」

 雷哉と笹舟の剣戟を見ていた苅砥が言う。

「もう少し掛かるね」

「そうか、俺は真神に加勢する。お前は電撃の届かない位置から援護してくれ」

「了解したよ」

 動けない珪晶を残して苅砥は笹舟に向かって駆け出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ