表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/69

第十話 終幕

 演習終了の鐘の音が森に響く。


 涼と錬次は地面に座り込んでいた。二人の手には手錠がかけられている。

 あの時、錬次の攻撃を喰らった煤炭(すすみ)は倒れなかった。そして彼は力を使い果たした二人に手錠をかけて姿を消した。

「煤炭先輩、強かったな」

 錬次の言葉に涼は答える。

「ああ、悔しいなぁ!」

「もっと強くなろう」

「そうだな、次は負けない」


「おや?理界君、そんな所で何を考え込んでいるんだい?もう演習は終わったよ」

 風切栞瑚が笹舟理界にそう声を掛ける。

「栞瑚か。いや何、今年の一年も面白そうなのが入って来たと思ってな」

 理界は鬼の面を外しそう答えた。

「うわ珍しい。理界君が妹以外の人に関心を持つなんて。それとも兄として妹の同級生を見定めているのかな?」

 栞瑚が意地の悪そうな表情でそう言う。

「栞瑚、しばらく黙れ」


 勿朽は何も言わずに去っていった。今も離れた場所でぽつんと立っている。顔は見えない。怒らせただろうか?宙飛はじっと勿朽を見つめる。

 どれくらいそうしていただろうか?鐘の音が鳴ってしばらく経った頃、森の方から足音が聞こえた。

 音のした場所には真神、傷代、鹿深の三人が居た。皆ボロボロだけど手錠は着けていない。

 僕は三人に駆け寄り言う。

「良かった。捕まらなかったんだね。でもその傷大丈夫?」

 傷代が答える。

「戦闘中に鐘が鳴った。あと少し鐘がなるのが遅かったら危なかったな」

「皆揃ったな」

 そこで竜胆先生の声が響く。

「無事生き残りが出たようじゃな。他の組も何人か逃げ切れたようじゃぞ。健闘御苦労。では、これにて演習を終了とする」


 それぞれの想いを連れて夜は老ける。僅かばかりの余韻を残しながら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ