知らない子
ある日、クラスで「知らない子」という都市伝説が話題になる。
1,学校で5人以上のグループを作ってはいけない。なぜなら、いつの間にか"知らない子"が混じってい
るから
2,もし"知らない子"に気づいてしまったら、そのグループは一人ずつ消えていく
3,"知らない子"の名前を呼んではいけない
噂を聞いた直哉と、幼馴染の翔太、美咲、由梨の4人は、面白がって調べ始めた。
ネットで検索すると、掲示板やまとめサイトに「"知らない子"を見た」という書き込みがあった。
『最初は気づかなかった。でも、気づいた瞬間、もう遅い。』
「こんなの、絶対作り話だろ!」翔太が笑いながら言った。
「でもさ、"知らない子"ってどんな顔してるんだろうね?」美咲が興味津々に言う。
由梨がスマホを見つめながら、「…やってみようか。」と呟いた。
4人は"知らない子"を探すために、放課後の教室や校舎裏で写真を撮ったり、動画を撮影したりしてみた。しかし、何も映らない。
「なんだよ、つまんないな。」翔太がつまらなそうに言う。
しかし、その夜から、奇妙なことが起こり始める。
夜、直哉のスマホに知らない番号から着信がある。電話に出るとかすれた声で「……しってる……?」と囁かれた。
美咲の部屋の鏡に、知らない制服の子供が映る。振り返ると、誰もいない。
由梨の撮った写真に、見覚えのない5人目の影が写り込んでいる。
そのことを報告し合った4人は「気のせいだ」と笑っていたが、いやな汗が背中を伝う。
予感が的中した。
翌日、翔太が学校に来なかった。
心配になった3人は翔太の家に行くが、翔太の両親は「翔太なんて子はいない」と言う。
「何言ってるの!?昨日まで一緒にいたのに!」
美咲が声を荒げた。
しかし、スマホの写真も、SNSの投稿にも、翔太の存在が消えていた。
混乱する3人は、もう一度ネットを調べた。
『"知らない子"の名前を呼んではいけない。"知らない子"がいると気づいたら、5人目として数えられてしまう。』
「もしかして…翔太が"知らない子"だった…?」
違う、そんなはずはない。翔太はずっと一緒にいた。でも、もう翔太を覚えているのは、3人だけだった。
「このままじゃ、私たちも…」
だが、その時。
「ねえ、何見てるの?」
背後から声がした。
振り向くと、見知らぬ女の子が、そこにいた。
「だれ…?」美咲が震える声で聞いた。
「なに言ってるの?ずっと4人でいたじゃない。」
由梨がスマホを取り出し、震える手で画面を確認する。
そこには、4人で写った写真があった。
—直哉、美咲、由梨、そして"知らない子"が、笑顔で写っていた。
もう、4人の中に"知らない子"はいなかった。
だから、次に消えるのは—