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【大体主人公が見てない所で頑張ってるイケメン王子の視点2】


【大体主人公が見てない所で頑張ってるイケメン王子の視点2】




信じられない。彼の右手の甲に輝いているのは勇者の紋章。ゴブリンの英雄がゾンビ兵器で勇者!?なんだそれ!?



ヤマトくんが放つ輝きと全く同じ。ヤマトくんの紋章と全く同じ。何度も見てきた。僕が見間違える筈が無い。彼もまた本物の勇者だ!よりによって魔物が!?



未知の仕組みで、誰も知らない呪文だった。あのタリア王女も知らないと言った。だからヤマトくんのオリジナル魔法とさえ思っていた。でも大昔のゴブリンが使うとなると古代呪文だったのか?



バカな、目の前で起きたことが信じられない。例え古代の呪文だったとして、何がどうなったらそれをゴブリンが使えるんだ。まさか彼もあの酷い儀式をされたのか?



「お前がバカ!ひょろなが族なのにこの呪文の意味も分カランとは!!」



凄まじい勢いで突っ込んでくる英雄ゴブリンゾンビ。だ、駄目だ、強すぎる!棍棒と魔法の連撃を防ぎきれない!間違いなくバフが掛かっている!僕と同じバフが!



「教えてくれ!なぜその魔法を使えるんだ!!」

「バカ!呪文聞いて分カラナイならバカ!!」




思わず振るった苦し紛れの反撃が小さな丸い盾に弾かれて体勢が崩される。これは、パリィ!?



「バカこそ去れ!」

「ぐがっ!!!?」




パリィでよろめいた所に渾身の一撃を食らって吹き飛ばされる。片手の棍棒でこの威力……!保護魔法付きの鎧が歪んだ……!?




「……勇気ダ!誰かジャナイ!勇気ナンダ!!そうだよな!……そう、アイツ…?」




何か混乱しているようにキョロキョロしている。


喋れる生命体の死骸を兵器にした大昔の人はこれを見て何も感じなかったのだろうか。まさか自我を残したまま異種族の英雄まで道具にしていたなんて。死者の冒涜どころか種族への冒涜だ。



ヨロヨロと立ち上がる。僕が甘かった。ゴブリンだと侮ったが、相手が英雄で勇者なら僕にとっては遥かに格上じゃないか。最初から強敵とは言われていたのに。




「……その魔法を、どうして使えるのか聞かせてくれないか」


「なぜアイツと同じヒョロナガが分からナイ!?勇気ハ誰かに教わるものか!?」




強烈な連続攻撃。今度は受け切る。




「ナンダ!?急ニ強ク……!?」


「……僕は今、君が怖い。君が強いから。けれど前に出る。戦う。これでどうだ?同じ勇気として認めて貰えないか?」




何かを感じ取ったのか飛び退きながらの魔法連弾。耐える。




「オレが認めるもんじゃないダロ!?なんなんだお前!?」

「勇者は、一人の称号では無い。……駄目だ、勇気があれば誰でも使えるって意味では無いのか?」

「しつこい!めんどう!勇気は言葉では無い!勇気ダ!」




魔法を撃ってからそれに合わせての近接連撃。耐えられない。吹き飛ばされる。




「ナゼお前の勇気をオレに聞く!?オレの答えはお前の答えか!?アイツは、勇者ハ!お前みたいなバカと違う!!違ッタ!!だからオレも!!…オレも?」




吹き飛ばされた所にマジック・ミサイルとやらの猛烈な連撃が降ってくる。めちゃくちゃ痛いが、こっちは耐えられる。耐えられないのはゴブリン勇者による説教だ。痛すぎる。



自分で考えて自分で動けって話は別にそんな珍しく無いさ。でも僕の勇気を主題にされてしまうと、踏み出さなかった一歩しか脳裏に浮かばない。




もう取り返せない一歩はどうやって踏み出せばいい?




敵に教わってでも勇者になりたい。もうかつての自分とは違うのだと誰かに認められたい。その甘えがもう勇者では無さそうだ。



なにより、彼が僕みたいなバカじゃないと叫ぶ勇者という存在に、ヤマトくんの背中やタリア王女の駆け出す姿が脳裏に浮かぶから。あの人達と何が違うのか指摘されているみたいだから、痛い。


別に分かっていなかった事を言われて驚いているわけじゃない。分かってる事を言葉にされて痛いやつだ。




──それで?それでどうするんだ僕は。痛くてダサくて恥ずかしくて、それで、引くのか?諦めるのか?重要な手がかりを。僕にとっても、世界にとっても。



どうやら彼がかつての勇者と知り合いだったのは間違いない。そしてどういうわけかこの英雄ゴブリンはかつての勇者を尊敬し、勇者の呪文から勇気を認められている。



「僕はバカだ。懇切丁寧に教わってもなかなか分からないバカだ。学問の国の王族の恥だ。……でも、絶対に引けない。迷惑を許してくれとは言えない。ごめん」




全身から赤い光が吹き出す。




「お前!?ソレハ……そうだった!」



何かを思い出したようにゴブリン勇者も同じくオーラのようなものを発する。残念なら向こうのほうが圧倒的に大きい。ヤマトくんやアネモネ様に似た、ハッキリとした力強いオーラ。



「……勝ったら、教えてくれ。どんな手を使っても君に勝つ。恥ずかしながら本当に今の情報だけじゃ僕には何も分からない。だから無理やり分かるまで聞き出す。確かにこんなのは勇気じゃない」


「怖イ!教えるとかソウイウのじゃないって言ってるダロ!」

「詳しい事情を聞かせてもらうだけでいい!」




懐に突っ込んでの剣と棍棒の殴り合い。今度は粘るが、まだ普通に押し負けている。息が続くまでお互い無呼吸での連続攻撃をしつづけ、限界で一旦お互いに飛び退く。




「ナンダ…!?何をヤッテイル!?おかしいぞ!?」



まだだ。まだ足りない。後のことを考える余裕なんてこの相手には無い。なんせ勇者だ。そして恐らく、お互い真の勇者を友に持ったライバルとも言える。



だったら、負けるわけにはいかないだろ。対価も無く教えを乞うだけの失礼さと愚かさは自覚している。敵に甘えて縋り付いている今の僕なんてバカにされて当たり前だ。でも絶対に情報は聞き出す。




「強力な媚薬を飲んでいる。今までの限界を超えて」

「ナゼ!?怖イ!!」



僕は限界を超える。このゴブリンを今回の最重要の相手だと認める。



今ここで全力を出し切る。切り札はここで使う。




「行くぞ……感度100倍だ!!」


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