【幕間? 第十七王女タリア専属特別研究員・ウラニアの視点】
【幕間? 第十七王女タリア専属特別研究員・ウラニアの視点】
日誌。
今日もまたタリアさまの奇跡を見た。これで国からの援助と献金はまた跳ね上がるんじゃないかな。
この大きな街は各国から貴族の子とか研究者とかも来てるわけだから、全てを無傷で救ったのはでかすぎる。逆に守れなかった場合を考えると怖いくらいだ。
襲撃される場所と時間が分かってても大変だったろうけど、タリアさま抜きの場合はあれを勇者さまも聖女さまもボクの道具も無く不意打ちで食らうわけでしょ。結構凄い人達も居るけど、さすがに厳しすぎると思う。
けど、やっぱり代償も大きい。勇者さまの被害は本人から事前に聞いていた話と違いすぎる。あんなの許されるわけが無い。自分のせいで素晴らしいカップリングの二人が両方大怪我したと知った時のあの感情。あのパニック。もう本当に二度と味わいたくない。
「勝手にカップリングするな。中央のお嬢さん方もなんかやってたが、生モノ同人はやばいってこっちの世界では通じないのか?」
「事前に聞いていた話と違うって……ヤマトさん……?」
「怪我して高熱が出るとは言った」
……でも……でも、正直に書き記すと、愛する人の為にギリギリで駆けつけたマリウス王子に感動もした。
自分のせいで無ければ勝手に創作物が複数出来上がっていたと思う。それも含めて心がおかしくなってる。
耐え難いほどの後悔と、絶対そんなこと考えてよい立場じゃないからこそ。いや、もう、ほんっとうに絶対ダメだからこそ、心の奥のどこか本音に背徳感で抑えつけられた燃えたぎる感情がある。
「おい。正直者過ぎるだろ。そんなもの日誌に書くな。おい。」
「多分、ウラニアさんはものすごく集中力が高いんだと思います。全然聞こえていない。だから創作欲も許してあげて欲しいです。」
「だからの後が話と繋がってないよね?それはアネモネの欲だね?」
償いきれない罪の対価にボクがエロ同人みたいに性欲のはけ口になるのはもう構わないけど、だからこそ性欲にも縛られない真実の愛はマリウス王子のものだ。その上で敢えて二人がエッチな事するのもまた深い。
そういうのも有りだと思う。
「無いよ。無い。思ってたよりとんでもないぞこいつ。カップリングの合間に何か挟まっても逆に燃えるタイプかよ。寝取り界隈とはまた別方向にやばいぞ。」
「なるほど……そんな考え方が……」
「なるほどじゃないんだ。いやとんでもないなこいつら。片方なんか王子だぞ。ほんと不敬罪みたいなの緩いなこの世界は。」
薬と魔法で安静に眠ってもらっているマリウス王子を除けば、やはり真っ先にダウンして気絶するように眠ったのはタリアさまだった。
あんまり体力も無いし、自分がミスったら大勢死ぬと自覚しているので、動き始めてからボクじゃ分からないほどの重責を背負い続けてきたんじゃないかな。一応こっそりブラ盗んで警戒しておくので、ゆっくり休んで欲しい。
「文脈が凄いな。予想がつかない。日誌をなんだと思ってるんだ?」
「タリア……私が守らなきゃ……。」
タリアさまは幼少時代をあまり語ろうとしない。
ボクはタリアさまより年下なので余計に詳しくないけれど、話に聞く限りではとても暗く、無感動で冷めた子だったらしい。
「……これ聞いて大丈夫なやつ?そもそも人の病室で書きながら音読するな。」
「静かにお願いしますヤマトさん。本当に。これ絶対に聞きたいです。」
それも当然だ。なんなら今もタリアさまはスポーツや普通の学問が苦手だ。仕方がないと思う。
試合する前から結果が分かるスポーツに熱中するのは難しい。
答えの分かっている勉強をするのは苦痛だろう。
「ああー…。」「なるほど……?」
学校は学び方を知る所だ。でもタリアさまには学ぶという行為が普通には出来ない。問題を見たら答えが分かってしまうし、どうしてその答えになったか聞かれるのを今も普通に嫌がる。
それはそうだ。正解だから正解なのに、どうしてと言われてもね。
だから、理解する喜びを知らなかった。努力が報われる喜びも知らなかった。挑戦に意味を見出せなかった。
ボクが出会った時には元気なタリアさまだったので想像しづらいけれど、全知全能の力を得たら確かに人生は絶対つまらなさそうだ。
そういう経緯もあってなのか、ある時期からタリアさまは自分を全知無能と定義して、周りにもそう呼ばせるようにした。驚くべきことに本当にアホになったので、自分で呼ばせてるくせにそう呼ぶと怒る。
……その転機になった魔法が、ヤマトさんに使っていた鎮痛魔法だ。正直驚いた。まさかあんな魔法だったとは。
「えっ!?あれなんか特別な魔法なのか」
「私も見たことは無いです」
生まれてすぐ父親が亡くなっていたタリアさまにとって唯一の肉親だった母親は、ある病気の死亡例の最後の一人になっている。
「あっ!おい、ちょっと待て、本当にここで書くな。そして音読するな。やばいって、これ内緒で聞いちゃダメなやつだろ。」
「病室では静かにして下さいヤマトさん。」
「力つっよ!!動けねぇ!重い事情聞きたくないよ俺!」
発症してから死亡まで数日もない危険な病に対し、まだ若すぎたタリアさまはそれまで見たことないほど必死に駆け回って母親を助ける魔法を編み出そうとしたのだが、賢者の力の出した答えが鎮痛魔法だったと気づいた時にはもう時間が来ていたという。
「う、うわ……やめろって……そういうのいいって……!」
「静かに……!」
「むぐぐ……!!」
痛みは人それぞれの感覚や神経も混ざってくるので研究が難しく、薬でも魔法でもどうしても限界があるのだけれど、賢者の編み出したその鎮痛魔法は安全かつ完璧に痛みをコントロール出来たらしく、安らかに眠ったそうだ。
だがそれは当然タリアさまが望んだ結果ではなかった。まだまだ子供だった筈で、最適解というものの無慈悲さを知る試練にしてはいくらなんでも厳しすぎる。
その後わずか数ヶ月で病への復讐が果たされた事は誰もが知る事実と功績だが、あの人が怒りを原動力に動けるような人間じゃないのをボク達はよく知っている。
遺言かなにかがあったのか、他の誰かがまた死ぬのが怖かったのか、いずれにせよ想像するだけで胸が詰まる理由だったんだと思う。
「……」「……」
……それからも助けられた人とそうでなかった人がいっぱい居たらしいけど、あまり詳しく教えてくれないし、大体分かるからいい。賢者だろうと王女だろうと、意味もなくあんなに資金が集まったりしない。
悪路だろうと高速で駆け抜ける馬車や、次から次へと生み出される新たな医療道具、豪邸が買えるレベルの防壁魔法などなど、改良を重ね続けてる研究開発業務の対象が言葉よりも雄弁に何をしたいのか物語っている。
──問題があるのは、語り草になっていたその鎮痛魔法の方だ。
「前フリが長くて重すぎる……」
「思ってたより本当に重くて言葉が出てこないです……」
「アネモネは自分の意志で聞いてたから全然自業自得だからね」
ボクはそんなに共感力高く無いと思うし、論理的で秀才なスーパー研究者なので多分感情とか薄いから、タリアさまの鎮痛魔法の話を聞いてもちょっと涙腺が変になるくらいだ。
どう考えても本人から詳しく聞ける内容じゃないから深堀りしようとも思わなかったし。
「この流れで『感情ないんだよねボク』系まで患ってんのか……涙目で何言ってんだこいつ……」
……でも、てっきり何か強力な麻痺の応用だと思っていた。まさか『痛撃の反転』なんて意味不明な魔法だったとは。まず痛撃の仕組み自体が謎なのに。
誰か別の部署で再現研究してるのかも知れないが、もしかしてあの人また難易度を読み違えてるんじゃないか。
魔法の反転。
メモした言葉を思い出す。
『本来あるべき魔法陣の多層的な反転で一見意味不明だけど、羽付きヤモリが分かってて私達に解けない魔法なわけないんだよな』
……勝手に『私達』扱いされている事に戦慄する。ボクは得意な事だけが凄く得意ってタイプなだけなので、苦手科目の存在しない賢者と一緒にしないで欲しい。
少なくともボクは魔法陣を多層的に反転なんてしたことはない。というより普通大体の回路は反転なんか出来ない。モーターを逆回転させる程度ならまだ分からなくは無いけど、魔力を発生源側に逆転させて何の意味があるのか。
魔法陣や回路を見ただけでどれが何の信号かまで分かるのは普通じゃないと何度伝えても理解出来てない気がする。
ボクが分かったのは古い設計とか使ってるテンプレであって、生体部品の中身まで把握なんて出来っこない。
基盤にエネルギー源が複数貼りついてて、どれかが壊れても一時的に補い合うっぽい魔法陣になっていたら、誰だってどこを壊すべきかなんとなく分かると思う。
でも壊したものと同じ回路を作れと言われてもそれは無理だ。同じ部品があって部品の中身や仕組みが分かってても大変なのに、部品どころか未知の配線素材までゼロから作らなきゃダメなんだから。
「今度は怒涛の重要情報で止めづらい。こっちはちゃんと聞いてたほうが良さそう。反転魔法ってちょっとかっこいいし。」
「ちゃんと聞いてるけど全然何言ってるか分からないです。」
大体調子に乗ってペラペラ喋ってるときに、本人も意味が分かってないとんでもない情報を口走るのでメモが欠かせない。
恐らくだけど、反転というのは上下左右とか表裏みたいな簡単な話では無いと思う。
まさか反物質とかの領域じゃないとは信じたいけど、賢者が自分の体を通してまで複雑すぎる意味不明な生体回路を通すのだから、並の素材と並の設計で単純化出来る魔法だとも思えない。
「反物質!?魔法の世界で!?うわ絶対に聞きたくなかった!!萎えるわー!」
「反物質ってなんですか?」
「う、あー、今度ウラニアにこの世界の講座開いて貰おう。絶対聞きたく無いけど聞く必要がある。中世風ファンタジーが割と近世なのはよく話題になって知ってたけど、下手したら発展の違う同時代とかいっそ近未来じゃないかここ?」
複数の問題点と重要な応用。
・タリアさまの能力が断言した多層回路の正体
ボク個人としては『こちら側』と『あちら側』の多層の可能性を感じる。
勇者召喚にせよ、敵の襲撃にせよ、AとBの地点を繋げる魔法なのだから検索ポイントか目印に出来る何かが必要な筈。多層とは基盤や回路の積層ではなく、例えば世界に跨る回路とか、いっそ世界自体の重なりの話だったりするんじゃないのかな。
この街が襲われたのは偶然じゃない。だからこそ賢者の力が完全な解答を見せた。逆に偶発的な事故だったらタリアさまであっても全ては救えないんだから。
先にターゲットを検索して目印の杭を打ち込んでるとか、そもそもこちら側にある何らかのアーティファクトや昔の遺跡を利用してるとか、可能性は無数に思いつく。
この案だけに囚われてはいけないけど、こちら側をチェックする理由としては十分だと思う。タリアさまの権限で遺跡や特殊文書を探した方が良いかもしれない。
まぁ何もなかった場合悪魔の証明に近くなって無駄足を踏み続けかねないけど、その場合はタリアさまが最初からやらないか勝手に別のものを見つけてくれる。
「これは逆に……皆に聞かせなきゃダメじゃないか?めちゃくちゃ重要な話だぞ。」
「目印……」
・反転魔法の応用
これが現実的に発動できるということは、勇者さまも本人がされた召喚魔法を反転するだけで帰れるんじゃないのだろうか。
「おあっ!?いきなりゴールが召喚されたぞ!?情緒とか盛り上がりが無視されるとこまでRTAすぎる!」
「あっ、あっ!?私の人生捧げた旅が急に!?」
ただ……
「「ただ……?」」
大地だって常に動いてるし、星だって銀河だって常に高速で動いてる。召喚した場所にそのまま戻したら宇宙に放り出されたりしないのかな。
「待った。本当に待ってくれ。さっき書いてた事を思い出せ。目印探そう。本当に。」
「……良かったですヤマトさん。タリア達に会う前に帰還魔法見つけてたら私、きっと強引に……」
「こっわ!」
「勇者様の治療魔術とかもそのままで宇宙に送っちゃったら、もしかして永遠に……」
「こっっっわ!!!」
それに、やっぱり何よりもまず世界に穴を開けるデメリットを見つけなきゃダメだ。
「俺には既に結構デメリットでかいよ?」
勇者召喚を廃れさせる為にこちらの世界の力だけで強く効率的かつ人道的に戦えるようにするのは正しいと思うし、やれると思うけど、これはあくまで勇者を目的にした魔法の抹殺だ。
わざわざ膨大なコストを払って下位互換かつ非人道的な兵器を作らせないようにするだけならボクがより強くて便利な魔法を開発するだけでいい。ここまでは正直普通に出来ると思う。
だけど戦闘力以外を目的にした異世界人の誘拐とか資源強奪は止められない。帰還側の魔法もいつか別世界を侵略したり危険物質の不法投棄に使われるのが目に見えている。
勇者さまと聖女さまは良心的な使い方でも許すべきじゃないという一見厳しい意見を持っているけれど、愚かな人や悪い人はそもそも法律や良心では止まらない。バカでも躊躇するような分かりやすいデメリットが無いと絶対大変なことになる。
「悪用を企てた人を全員殺すんじゃダメなのかしら」
「タリアやウラニアと先に会って本当に良かったよアネモネは」
そして世界に穴を開けるデメリットは、別世界からの侵略を邪魔する抑止力にもなる筈だ。多分結構大事な部分だと思う。
ボクらがまだ知らないだけで世界への穴あけ行為に重大な問題があるならそれを見つけて公表するだけだし、無ければボクが先に作ろう。
防衛にもなるし悪用も防げるので、急ぐ価値も広める価値も大いにあると思う。
──例えば、世界と世界を繋ぐゲート的な場所に門番のような強力な魔法生物を……
……ん?
「……。」「……。」
いや、そんなわけないか。
ボクらは侵略されて、身を守る為に反撃しただけの正当防衛の筈だ。
その正当防衛の為に全然正当じゃない別世界からの誘拐と非人道的な兵器化までやらかしてるのに、もしもあれが侵略や攻撃じゃ無く何らかの警告や反撃だったら……
「……。」「……。」
全然ありそう。全然よくある話な気がしてきた。
やばい。本当に急いで調べたほうがいいと思う。
まず勇者召喚からして倫理観が無いわけで、もしかしたら大昔にとんでもない罪をやらかしまくってるかも知れない。なんなら逆に何もしてない可能性の方が少ない気がしてきた。
「俺もそう思う」「私もそう思います」
やっぱりアネモネさまとの協力が鍵だ。急にインフレしまくってるから、既存の設計じゃきっと間に合わない。緊急で次世代に入る必要がある。
「アネモネ?」
「私?」
今もまだ夜空には沢山の流れ星が落ちていると思う。
「え……?あ、本当だ!すげぇ幻想的!」
「あ、ファイアボールのことかしら」
「は!?」
ボクは例のふわふわ切り札と最初のファイアボールだけで勇者さまの力に匹敵する大魔法だと思っていた。
「ファイアボールって魔法は無いってアネモネ言ってたじゃん!マジ!?使えるの!?……いやちょっと待てよ、大魔法……?」
やっぱり投石は人類の基本にして奥義だと思う。さすがは勇者直伝のファイアボールだと思った。
「投石!?魔法の話は!?」
「えへ。そういえば私出来ましたよファイアボール。」
「違うよ!多分絶対違うよアネモネ!またちゃんと聞いてなかっただろ!」
でもまさかその日の内に聖女式の強化型ファイアボールを見ることになるなんて。
あれは狂ってる。発想も、発動方法も、それを行使できる能力も、全てがおかしい。勇者さまより先に敵を殺すと断言するだけはある。あれを見た後では全てが過去の魔法になる。
「えへ。」
「えへじゃないが。なぁ全然照れる感じの流れじゃないっぽいよアネモネ。全然意味が分からんもん。」
空から降る敵を一切地上に落とさず粉砕した黒いグロい竜巻。多分街の皆は勇者さまの力だと思ってるだろうけど、ボクは違うと知っている。
ボクの認識が甘かった。手作りメテオを敵に当てる程度で大魔法だなんて、アネモネさまの前では浅すぎた。隕石を当てようなんて悠長な発想からしてもう甘すぎる。
──真のファイアボールは敵自体が流れ星になるんだ。宇宙の塵になって。
「……何を言ってる?ごめん本当に何を言ってるんだ?」
「でも粉々にしすぎちゃってあんまりファイアボールにならなかったんです。」
「知りたいけど聞きたくない感じになってきた。もう明らかに解釈違いだし。」
聖女ってなんなんだろう。なぜかタリアさまでもよく分からないみたいだし、何がどうなってるのか。
「今まさに俺も聞きたい。」
「私もう聖女やめてダークナイトになろうと思ってます。」
「おお……もう……どうしたら……」
サプライズ詫びプレゼントだから絶対秘密だけど、明日エロトラップダンジョンの同人手に入れて、例のむちむちサキュバスさんにモデルとか色々相談して、そのついでにちょっと色々調べてみようと思う。
「エロトラップダンジョン同人誌!!?例のむちむちサキュバスさん!?!?!?」
「ヤマトさん」
子供達の大事な大会すら中止なのにエロ同人オンリーイベントなんて無理に決まってるじゃんとは思うけど、結局これもタリアさまが次の襲撃タイミングをどう読むか次第だ。
実際の時期もだけど、タリアさまが判別できていない状態が一番危なくて動きが停滞する。ボクはボクで手一杯だし、人手を募ってとにかくタリアさまに情報が集まるよう動いてもらおう。学問の国の戦いは本番が来る前が本番なんだ。
「俺ウラニアの事全面的に信じるし応援するよ。」
「ヤマトさん」
明日から調べるものが整理出来てスッキリした。やっぱりモヤモヤした時は書き出すに限る。
勇者さまの病室が超高級で良かった。誰も侵入してこないし声も漏れない。ボクが秘密の日誌をつけるのにも便利すぎた。
「機密に関する重大な問題を見落としているけどね?」
別に見られたり聞かれてもボクは構わないんだけど、
「あ、そうなんだ」
機密保護魔法は結構無慈悲だから、一般人がうっかり知ったら危ないもんね。
……パタンと日誌を閉じる。
「うおおおおお!?死霊!?精霊!?」
「あ、こいつら催眠魔法を放ってます。食らうと記憶障害になるやつかも。」
「倒して倒して!俺まだ本調子じゃない!」
『死者は死ね』
「あっすごい前も聞いたよくわからん呪文だ!それ霊体に剣刺さってるのと呪文とどっちが重要なの?」
一仕事終えて振り返ると、背後ではアネモネさまがどこからか湧いてきた死霊か何かを瞬殺してるシーンだった。さすが勇者と聖女、いつ見ても凡人には分からない活躍中っすね。
「……ウラニア研究員」
「なんすか勇者さま」
「お前は賢いけどバカだよ」
「なんで!?」
突然罵倒されてビックリする。しかもまさかボクがタリアさまと同じ評価される日が来るとは。
「……今タリアを連想したろ。それもバラすからお仕置きされろ。」
「ああ!?どうして全てが筒抜けなんすか!?」
勇者やばい。まさかタリアさまに匹敵する鑑定能力まで…?
「ちがう」
違うらしい。




