勇者の力の代償
川をかなり下った開けた場所。
そこに、力を使い切った勇者が落下してきて、それをマリウス王子が受け止めたらしい。
……焼け焦げて倒れている甲冑姿の男と、発光し体の一部が魔石化している裸の男が、それぞれ王子と勇者であっているのならば、多分そういうことだ。
駆け寄ろうとした私と救護班が思わず怯むほど周囲が凶悪に熱い。怯むというか、目や喉が灼けそうな恐怖でこれ以上近づけない。この灼熱を人が放出していると考えただけで嫌な汗が吹き出る。
確かに、戦えば勇者が傷つくとは言っていた。だがまさかこれほどとは。
一瞬足がすくんだ私に、焦げた王子が顔を上げて声を絞り出す。
「…川でっ!冷やしていいですか!?し、自然放熱と、どっちが!?」
「……っ!か、川、流水!!」
私の、というより私の能力の反射的な解答を聞くと、焼け焦げたマリウス王子がよろよろと立ち上がり、何度か転びながら倒れる発光体に駆け寄って必死に抱き上げる。
私はなぜか救護班の一人に腕を引っ張られて近寄るのを禁じられ、数人が回復などの魔法で王子を支援しはじめる。
「お、おい、バカ!?一人に無茶させるな、皆で!?」
まさかここまで酷いことになっていて、まさか王子の部隊が王子一人に任せるとは。確かに近寄れない熱さではあるが、状況についていけない。
「申し訳ありません王女…!マリウス様の邪魔だけは…!どうしても…!」
震える手に掴まれたまま、王子の足元を指さされる。
……どうやらヤマトの体は発光して灼熱を放つだけではなく、信じられないほど重いらしい。踏んだ岩が割れるほどに。
なる、ほど。下手に代わって受け取れば、鎧を焦がす熱と重さに何も出来ず落とすだけだと。力のないものが、余計な邪魔だけはしちゃダメだと。…王子や王女とか関係なくマリウスに頼る場面なんだと。
知らなかった。第一王子の力の詳細も、その思いの強さも。
どうやら今のマリウス王子の持つ身体強化の力は確かに学問の国にあるまじき強さのようだ。私が見る限り甲冑は大した性能じゃないので、耐熱も彼自身の魔力による強化だと思われる。
相当鍛え続けてきたのか、これなら多分他の国でもトップクラスなんじゃないだろうか。そういえば武術系の加護がどうこうで学問の世界では肩身が狭いみたいな話を前にも思い返していた。
だがこれは誇るべきものじゃないのか。力も、その使い方も。
「ぐっ……!!うううう……!!」
ジュウウウウウという蒸発音と王子の苦痛な声が川岸の浅瀬から響く。熱い蒸気の直撃を受けてもマリウス王子の手はヤマトを抱え続け、まるでそれを支援するかのように強い風が吹き始める。
誰かの魔法かと思ったが、見る限りは皆必死の回復と支援魔法がメインで、ちょうどよい風速での空冷みたいな器用な魔法を使っている人間は見当たらない。
「……おい、警備でも王子の兵でも、誰でもいいから映像記録しててくれ。」
ぺしぺしと私を掴んでいた兵を払いのけ、私も応急処置に参加する。
「き、記録!?そんなこと言ってる場合じゃ」
「今後の治療と、二度と気軽に勇者の力を使わせない為に必要だと賢者が言っている。ごめんよ、私のミスなんだ。手伝ってくれ。」
「は、はい!」
気分が悪い。たまにある、こういう事も。
『正解』や『最適解』というものは別に人に優しくなんてない。
一番犠牲を出さない最適解が、身近な友達の犠牲で成り立つくらい別に何もおかしなことじゃない。そういう正解なんてよくある話だ。
あるいは。
この世界の人間を誰も傷つけない解決を願った賢者が過去に居たら、この勇者召喚を簡単に編み出せるだろう。定義に対する完璧な答えだからな。じゃあ別世界の人間を犠牲にすればいい。
私もやりかねないから、気分が悪い。いや、やりかねないどころじゃない。私は恐らくその理論に今回不本意ながら協力してしまったようだ。なかなか不愉快だ。
勇者やマリウス王子の協力でテンションが上ったのは普通なら簡単に揃えられないチート戦力だからだ。普通はダメそうな理想論でも、ずるいほど強い戦力が揃ったら平和に叶えられたっていいじゃないか。よりによってなんでこいつらだけが理想じゃなくて現実部分を背負うんだ。
この二人は私が集めて私が頼った。彼らの今日の傷は私がつけた傷だ。
賢者の力は思ってるよりバカだ。普通なら「犠牲を必須条件にするなよ!」ってなるだけなのに、油断して浮かれてるとすぐこういうことになる。
現実的な最適解を出す為に、「実現が難しくて非効率的な選択」を気軽に捨ててしまう。いきなりそういう無駄を省いた正しい答えに行ってしまう。頼むから捨てる前に私の心に見せてくれ。
勇者に頼った当事者になればなるほど、何度も何度も理解させられていく。アネモネの正しさを。これは絶対にやっちゃいけないことだった。
上空には大竜巻がまだ暴れ狂っていて、恐らくもう敵の欠片も残らないだろう。
その大魔法を行使し続けてる上で、恐らくこの空冷用の風魔法もアネモネだろう。
ごめんアネモネ。私にはあんまり出来ることがない……。
まだ止めたそうにする奴らを制止してマリウス王子とヤマトに駆け寄り、腰の袋から魔法石をジャラジャラと取り出す。
近づいた瞬間はまだかなり熱かったが、私が動けるように風の流れが熱の方向をズラしてくれる。
「タ、リア、様、水冷継続で、あってますか!」
「あってる。あと少し頑張ってくれマリウス王子。私はとりあえずヤマトの痛みを軽減させる。」
近寄ると二人の惨状は本当に酷い。
灼熱の重い落下物を受け止めきったのであろうマリウス王子は、火傷だけじゃなく打撲や骨折もかなり酷い。
そしてヤマトは……体の内部から超高温の魔石が肉と皮膚を突き破って出てきていて、顔も半分魔石になり無事な方の片目も黒い結晶で埋まっている。
そしてそれを勇者の力が内部から強引に治癒し続けているようだ。燃え尽きた皮膚が戻りそうになってまた燃えたり、飛び出た魔石が体に戻ろうとして、その度に激痛が走るらしく体が反り上がったり硬直している。
体が燃えたり石になっても生きている勇者を川の深い所に落としても死にはしないと思うが、マリウス王子は不意に暴れる体を完全に抑えつけて離さない。
「マリウス王子、他の皆も、私はこれから結構集中するから、難しい質問に答えにくくなる。賢者の判断が欲しい時は、なるべくハイかイイエで答えられるような簡単なのにしてくれ。」
自分のぼさぼさ緑髪を小さい手芸ナイフで一房切って、簡易な魔法陣の回路に代用する。やっぱり私が一番魔力を扱いやすいのは自分の体だが、髪の手入れをサボりがちなので妙な癖っ毛が微妙に面倒くさい。
ふわっと浮かび上がった髪の毛が、頭がおかしくなりそうなややこしい順番で私の右手に何重にも複雑な形で巻き付いていき、握りやすい小さめの魔法石を幾つか握り込んで、簡単な即席魔法道具が出来上がる。
地味だし、普通に工場とかでちゃんと道具作ったほうが良いに決まってるのであまり凄さが伝わりづらいが、魔法道具の一流開発者であり賢者である私のまぁまぁ凄い秘密の奥義である。
ややこしい手作りの杜撰な回路にややこしく魔力を送るので脳みそがめちゃくちゃ疲れるのだが、その苦労も凄さも伝わらないのが口惜しい。
いや秘密の奥義を褒められても困るが。他の人が迂闊に真似すると危ないから秘密なので、どちらかというと怒られる気がするし。
「……あっっち!!まだちょい熱い!!」
ヤマトの体の中から生えている魔石部分はまだまだ熱く、比較的無事な部分もうっすら発光したままだ。
なんとか触れても大丈夫そうな二の腕あたりに魔法道具状態の右手を押し当て、しばらく耐えてみる。髪の毛が燃えたら困るがさすがにここはそこまでの熱さじゃないようだ。
手は真っ赤になっていくし、もう普通に熱いというか痛いが、王子みたいに火傷しまくる程では無い。
そしてさすが私。効果はてきめんだ。激痛でこわばっていたヤマトの体から無茶な力が少しずつ緩んでいく。
勇者は毒や病気に耐性あんまり無いけど、症状が出るとすぐに自己治癒される。
事前にそれを知らなければ、こいつに麻酔が効かない事に気づかず大変だっただろう。効かないというか効いた後すぐ目覚めるのが余計に怖い。
そして幸か不幸か、性癖と態度が終わっていたのも良かった。私はこいつにこの場面で一番大事な魔法石がしっかり効くのも事前に確認済みだ。『痛撃』の石つぶてをしたことあるからな。
──私、知っているんだ。反転魔法も。『痛撃』の反転の使い方も。前にやったことあるし。
…あまり好きな魔法では無いが。痛みを抑えるしか無いような状態なんて、ならないほうが良いに決まってる。
こいつがこれで安らかに死にでもしたらトラウマになっちゃうから、痛みが引いている間にさっさと無敵の力で治って欲しい。
大丈夫。私が救護班も連れて来た時点で、助かるに決まってる。……助からない場合の賢者の判断の無慈悲さもよく知ってるし、今回はきっとそうじゃない。
考える。よく考える。心でも、理論的にでも正しいように。
水冷はする。空冷も来る。この国で今一番凄い治療魔法が使えるのは勇者自身だから、無理して強引に病院に連れて行く優先度は低い。
大事なのは補助。放熱の補助と、自己治療の補助。完全に無痛はダメで、不快さが分かる程度の状態を維持。
頭の中で思考が加速し続ける。
体から飛び出ている魔法石は本当は除去すべきだが、ヤマトを傷つけずあれを破壊出来るものは今ここに居ない。再び体の中に取り込まれてしまうが、今は放置。
内臓に一部問題があるが、これはここでの応急処置終了後に病院で私が対処する。今は放置。
…マリウス王子が必死に抱え続けるしか無かった重さと熱が、多少まともになってくる。良好。
……下半身及び下腹部の大部分の魔石化が殻のように剥がれ始めて、人間の体に戻って来る。ヤマトのヤマトが見えてくる。放置……はダメかも知れない。
「……うおお!?見たくないもの見えそうになってる!誰か服…はまだちょっとまずいけど何かでいい感じに隠せ!そんなこと言ってる場合じゃ無いかもだけど本人には大事かも知れないからふんわり隠せ!!」
「は、はい!」
「マリウス王子もあと数分で誰かと代われ!!もうすぐ代われる!!はい皆準備!!」
「あ、え!?僕はまだ……!」
「「「は!」」」
余計な邪魔をせず支援魔法に徹していた涙目の奴らが私の号令で一斉にわたわたと動き始める。
本当に意外だった。貴族オブ貴族の第一王子とその配下というセットで「私がやります!」「うんたらかんたらでダメ」「でも!」みたいな余計な礼儀やりとりが一度もなかった。私が止められた時くらいか。ここわりと平和な国なのに、王子と兵の緊急時の信頼関係がやたら強い気がする。
あれかな、前の邪竜戦にも居たとかいう話で何か変わったのかな。邪竜っていうかトカゲだったらしいが。
ちゃんと現実が見えていて、具体的に出来て具体的にメリットのある行為だけをやっていた。
難しいよな。私の賢者の力の冷たさもだけど、答えだけ追えばいいってもんじゃないし、敬意とか感情だけに従えばいいってわけでもない。
なんなら王女の腕を掴んで引き止めるとか普通は絶対出来ないしな。いや、そういうのに理不尽に怒るバカじゃないと信頼されている私も凄い。偉い。
反転痛撃の当てる場所を、二の腕から心臓の近くへ変える。
恐らく勇者の自己治癒は乱暴で、痛みを伴う治癒が走る際に強く抵抗してしまって余計に辛さが長引くのだろう。そのうえでこいつの体は魔力にそもそも耐性が無いので治癒魔法の発動にも拒絶反応が起こり、更にそれを強引に治して……という悪循環に見える。
熱の方も同じく悪循環で、水冷で一気に冷えたというより過剰な電力が熱を生みそれが余計な傷を作り、それを治すために余計な電力が使われて……みたいなのの魔力版が熱を奪うだけでも劇的に改善されていったような感じだ。
とにかく設計というか開発思想が悪い。
治癒魔法と言うと優しい魔法っぽくなるが、これだって自爆の可能性が高いけど強力な武器に傷薬を添付するようなものだ。威力を落としてまで自爆対策するより性能面でもコスト面でも優秀な対応ではあるよ。実装も簡単だ。モラルさえ気にしなければ完璧な対応だろう。
機械だろうと魔法だろうと食材だろうと、安全性を高める事ほどコストの高いものは無い。
じゃあ非効率的で弱くても安全にすべきだったのかと言われれば、結局この力に救われた私達の立場で後から反論しても説得力が無いだろう。
でもダメなものはダメだ。
問題点が見えた後からこれ問題ですなんてそりゃもう誰にでも言える。事前に防げるのが賢者だろうに。
……悶々と今更な後悔に溺れている間にも勇者の自己修復は進んでいく。
数分後、浅い水辺でヤマトの体を保持するくらいなら他の人間でも出来るくらいにはなり、マリウス王子がゴネながらも交代して治療されていく。
病院に行かせるべきだが本人が断固拒否するし、急にまたヤマトが発光したら王子に頼るしか無いと思うので、もうしばらく待機してもらう。
「多分、あと三十分くらいしたら皆で病院に移動ね。」
「わかった、ありがとうタリア王女。」
「昔は絶対そんなキャラじゃなかったろ貴族王子。私にまで態度がくだけるとは。」
「僕には僕の物語があったんだよ。一旦終わったと思っていたけどね。」
「じゃあ知らん物語に感謝しとく。友達を傷つけた謝罪は無事治ってからにする。」
軽く手を降って感謝を伝え、王子を休ませるように周囲の人間に促す。
倒れ込む友達想いの熱い奴と、まだ倒れたままの物理的に熱い奴を複雑な気持ちで眺める。どうみても勇者の力だけで作られた関係性ではない。だから、勇者ではなくヤマトになっても大丈夫なんじゃないかと思う。
ようやくまともな呼吸に近づいてきたボロボロの体に向き直る。
酷いことをする。幾つかの飛び出ている特殊な魔法石の鑑定で、異世界召喚とは別部分の、『勇者作成魔法』単体が嫌でも理解出来てしまった。推測はしていたが、推測より酷い。
──鑑定する。飛び出た魔石や、傷から見える魔法を。もうこいつのこういう姿は見たくないので、ここで可能な限り診ておく。不愉快だが私がここで調べるのも賢者の力が誘導していた最適解の一つだと思う。本当にごめんヤマト。
……私は聖女と聖剣を探しに行って勇者を見つけてきたが、どうやら聖乙女の短剣以外は全てここにあるらしい。最初から全部見つけていたようだ。
神をおろす巫女のように、死者を憑依させる口寄せのように、数々の英雄の力を人間の中に挿入する。剣の形の魔力道具で、物理的に。
ウラニアは英雄の力の再現道具を腕に装備させようと考えたが、昔の人間はお腹の中に装備させたわけだ。取れたり奪われる心配は無いけど、もっと他に心配すべき事があるだろ。
……さっきまでの重さはその収納先の封印の扉が全開になっていたせいだと思う。
手に負えない凶悪な魔神を亜空間に封印するような大魔法。それを小さいけど容量がすごくでっかい便利な容れ物みたいなノリで人間のお腹にねじ込んでいる。
千年単位で異様な量の魔力を収集凝縮させた聖剣達は、持ち上げるだけで王になれるとか地面に刺されているのを抜ければ英雄になれるとか、英雄譚にありがちな逸話にぴったりのシンプルに重すぎる剣だったのかも知れない。
でも人の体にそれを全部締まっちゃおうなんて発想は本当に聞いたことがない。
勇者の素材を異世界から誘拐する魔法にも膨大な魔力が必要だと思うから、もしかしてその余りを有効活用してるのか?
基本設計自体はシンプルだ。結局はこれも異世界召喚と似たような技術の流用に過ぎない。別の世界や別の空間に繋げる魔法を、過去の人間は乱暴に使いすぎている。
聖剣とかって基本的には後付けで聖なるものと呼んでるわけで、実際に当時に使っていた儀式道具は聖剣なんて呼ばれてなかったと思うが、いくらなんでも普通はここまでグロくない筈だ。
なにより、こんな事をして作り上げられた最強無敵の勇者が、誘拐の恨みと激痛の復讐をしない保証がどこにも見当たらない。
善意を悪用しきった狂気の魔法なのか、ヤマトに行われた勇者作成儀式が未完成だったのかは判別出来ないが、ここまで念入りに理性的に狂ってる魔法だと、恐らくこの勇者は未完成品の方だ。多分儀式の途中で非人道的な流れに気づいて強引に慌てて止めたんじゃないだろうか。
「……ぉ……お……」
「うわっ無理に喋るな!」
どうやら意識を取り戻したヤマトが、焼けた喉から掠れた声を出す。
「……ぁんまり、痛くない」
「魔法で鎮痛してるだけだ。まじで絶対安静だから、動くな。喋るな。」
もう少ししたら病院に運んでも良い状態になると思うが、まだ待って欲しい。
「……あっち、か、川の、下流……落とした、撮影した、白いの、さがしといて」
「おまえ!活躍しすぎるなって!!」
慌てて警備の一人に目で合図して、魔力探知出来そうな人を集めて探索を始めてもらう。白い、魔法石?河原で探すのは大変そうだがさすがに絶対やってもらう。
こいつ、あの緊急時にただ戦ってただけじゃなくて何かを探っていたらしい。ダメだ、この勇者は本当に優しくて賢くて便利過ぎる。
やはりこいつにだけは勇者をやらせてはいけない。異世界から来た英雄の犠牲に依存する世の中であってはならない。気軽に頼ってしまった代償を私は支払わなければ。
マリウス王子にもだが、こいつにこそ最大の感謝と謝罪を示さなければならない。
「……っ!……!!」
「なんだ?どうした?」
まともな人間に戻ってきた顔面にやっと普通の白目と黒目が帰ってきて、段々動かせるようになってきたらしい手が私の顔と白衣を往復で指差す。人に指を差すな。
「めがね…白衣…!」
「今更何言ってるんだ。お前のせいだろ。記憶が混濁してるのか…?」
手のひらを左右に動かす。違うというジェスチャーだと思われる。じゃあなんやねん。
自分の胸をとんとんと叩くジェスチャー。なんやねん。どういう意味?
「めがね博士…の!ノーブラ白衣濡れ透けぺたんこおっぱい…!!あり、がとう!!」
「死ね。」
死ね。
振り上げた拳を振るうわけにもいかず、怒りをぶつけることが許されない。これが罰か。
お礼を言うのはこっちの方なのに。




