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Survivor   作者: 神田竜人
8/8

⑧Survivor(最終回)

ステルス戦闘機を投入し敵国深くまで爆撃した我が国は、勝利をほぼ手中に収めていた。


だが最後は地上部隊が占領制圧しなくてはならない。隠れてる敵まで爆撃機は殲滅できないからだ。

我が隊はその地上部隊の中心だった。


新型戦車はレーザー砲を搭載し、命中精度と破壊力が格段に上がっていた。歩兵はあまり変わらない装備だがレーザーライフルが半数を占めてスナイプ能力は向上していた。


最後の爆撃作戦が終わると同時に我が隊も進軍を開始した。まだ敵兵は残っているはずで慎重に進まねばならない。命は投げ捨てるものと言ったハーランドだが俺は隊員の生命を守りたかった。


病院や民間施設に潜んでる敵も相当数残っていたが敢えて戦車砲で強行突破は控えた。爆撃機の再攻撃が検討されたが責任者の俺が必要ないと断った。


その代わりSNSを通じて投降を促した。投降した者への協力資金を軍から取り付けた。ケイの社長からも俺の部隊に投降した者についての特別資金の出資を取り付けた。

愚かな戦争に駆り出された俺たちは国境を越えてだたの被害者だ。要は国が悪いんだから戦いはもうやめようというメッセージを発信した。弱腰の俺を政府を通じて軍が解任した。

部下には出来る限り戦闘は避け生きろと伝え俺は部隊を去った。



解任された俺は街に戻った。まず訪れたのはハーランドの病室だった。

「随分と軟弱な作戦でしたね。心境の変化すか」ハーランドの質問に頷いた。そしてこれはお前のお陰だと言った。

「ハーランドがやたらと死にたがるから天邪鬼の俺は逆をしてみただけだ」

そういうとハーランドの顔が笑顔になった。発想が柔軟過ぎて凄いとの感想をもらった。

見舞いに来ていたケイに一緒に帰るぞと言った。

後ろ髪引かれる思いで彼女は俺と一緒に病院を後にした。

「ハーランドの生き様を見せてもらおう。死に様ではなく」独り言のように俺は呟いた。


その後二人でアカリの屋台を訪れた。

ケイはすぐに手伝おうとしたが今日は客でいいよと言いアカリにお任せ注文した。すると刺身とタルトとサラダが出て来た。

生で魚は無理と言っていたケイだったが、食べて見たら美味しかったようで満足していた。

「二人ともニュースで知ってると思うけど軍を首になったよ」と伝えたら彼女らは微笑んだ。



地上部隊侵攻から一か月後敵国が降伏した。


アカリ、俺とケイは元の家に戻った。

俺は大学生となりゴシック調の校舎で勉学に勤しんでいた。性格は丸くなったが友達はまだ居なかった。アカリは都市の店を再開した。学校が早く終わる日は俺も手伝った。

ケイも学校に慣れ学友と良くどこかに出掛けていた。それとハーランドと連絡を毎日取り合っていた。

来月、俺とアカリは16才で結婚出来る国で挙式を上げることになっていた。


俺の両親は死んだのではなく育児放棄だった。蒸発した両親に代わりアカリの両親が俺を引き取ったのだが、養子縁組は簡単に出来ないの非合法で養子にしてこの国に来たのだった。三年後実娘としてアカリが産まれ四人家族となったが20年戦争の最中で俺は誘拐された。

親は死んだと言われ俺はそれを信じてしまった。戦争激化に伴いアカリの身を案じた両親は日本に一旦帰った。


それでも俺を家族として引き取ったアカリの両親は、死ぬ一年前からこの国戻って俺を探していた。


血液検査の結果でも俺とアカリは親族関係にはなかった。先にその結果を知っていたアカリは戦場から戻ったら結婚しようと言ってくれたのだった。


半分以上妹と決め付けていた時期があったので照れ臭かった。妹と思ってた時期にも愛していたので正しい結婚だと思いたい。親族が居ない俺たちはケイとそのご両親だけ呼んでひっそりと式を挙げた。結婚指輪にキスをしてそのまま唇にもキスをした。作法がよくわからないので適当だった。格好もアカリは白のウェディングドレスだったが俺はジャケットとデニムパンツと滅茶苦茶だった。



我々が帰国した二日後ハーランドが自殺した。短銃自殺だった。



ケイは取り乱して数日間は泣きっぱなしだった。俺はその間ずっとケイの傍に寄り添った。

俺がケイにハーランドの見舞いを頼んだのは、生きることが苦手な弱い人間が居ることを知って欲しかったからだ。二人に恋心が芽生えてしまうことも予想していた。だから早めに引き離した。

それでも二人は連絡を取り続け関係は良好だった。

ハーランドは遺書を残さなかったので、ケイについてどんな感情を持っていたのかは分からない。だがケイにはハーランドを想う気持ちが有っただろう。


ハーランドは戦争には殺されず自分の意志で死んだ。きっとこれが彼の生き様だったと思う。

生き残った俺よりよほど強いと思う。未来を自分で選んだのだから。



俺とアカリは新婚旅行はしなかった。アカリが店を長く閉められないと言うのでそれに従った。俺に取っても大学に行きたい気持ちが強く意見の一致だった。

傷心のケイを置いては行けないというのも勿論あった。


ケイが高校に行っている間とアカリの店が休みというタイミングを狙っていた。シャワーを浴び俺はアカリの部屋で待っていた。

下着の上にバスローブを着たアカリがシャワーから戻って来た。

五分くらいベッドに腰を掛け、話をしてからアカリのバスローブを脱がせた。ブラの紐を下げ乳房が露わになるようにしてキスをした。今までお互い我慢してた分長くキスをしながら身体を弄った。

小さく聞こえた喘ぎ声が可愛かった。

優しく押し倒して下着を全部脱がし、痛くないように気を付けながら最後までした。



ケイは卒業したら俺と同じ大学に行く予定だと話した。

いくらなんでも結婚したアカリと俺にちょっかいを出すとは考えられないので、親しい友人として接すればいいだろうと俺は思った。


「ハーランドさんに少し心を奪われかけてしまいました。ごめんなさい」

ケイは俺に謝罪した。要らない謝罪だと俺は主張したが、これは精神的浮気なんでダメだと彼女は言った。浮気も何も付き合ってないから違うだろうと言っても聞いてくれない。


「ほぼ全部やったに等しい日もあったので90%は付き合っていたはず」ともケイは言った。

アカリの眉がぴくぴくと動いた。

「という訳で今後もよろしくお願いします」と言って彼女は話を締めた。

アカリに助けを求めたら自業自得だと言って拒否された。



久々に基地に三人で行った。戦争が終わっても新たな脅威に備えて基地は残る。

ケイの胸にはハーランドのペンダントがあった。

愛する者を亡くしてもケイは強くあり続けるだろう。

アカリはうなぎ料理を皆に振る舞っていた。彼女もまた強く自分で決断して生きて行く。


俺はどうだっただろう。

たぶん死神でも英雄でもなく普通の男だった。俺は決断などしたことが無く、流されながらずっと生きていただけだ。


それでも俺は生き残ってしまった。

だからと言って死んだ仲間の無念を背負って生きることはしない。俺にはそんな資格はないしそもそも出来ないからだ。


外に出るとアカリがいた。

俺がアカリ救出に使ったものを探し当てていた。

アカリに取っては辛いものだから破壊しておけば良かったがそのままだった。

「タケルはなんで危険を犯してアカリを助けたの」と言われたので、お前が好きだったからだと正直に話した。屋台で初めて見掛けた時からずっと好きだった。


だから助けるついでにえっちなことしたんだね。と言われ合ってるけど救出が目的だったからあれはついで、見逃がして欲しいと懇願した。

いいよと言いながらアカリが唇を重ねて来た。

結局この小さな女の子を助けたことだけが俺の戦果だった。


「アカリを愛してる」


それだけで俺はこれからも生き抜いて見せる。


















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