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Survivor   作者: 神田竜人
6/8

⑥My Sister

TVが国境近くの基地で敵特殊部隊が全滅と報道していた。


あの日俺はすぐに帰ってシャワーを浴びたのだが、それを見ていたケイに怪しまれていた。アカリはさっき帰って来てシャワーを浴びていた。


「タケル、基地に行ったわね」ケイの質問に行ってないと目を合わさずに答えたが、すぐにばれてしまった。嘘はかなり苦手な方だった。


「あの基地でこんなこと出来る人タケル以外居る訳ないでしょ」

問い詰められごめんなさいと白状した。アカリには言わないでくれと懇願もした。


「タケルは自分の意志で軍人を辞めたんでしょ。だったらもうこんなことは止めてね。帰りを待つ人のことも考えて」というケイの言い分は正しいのではいと言った。関係ないことだが最近はケイフォルダを使って自慰してたので、彼女が近くにいると意識してしまう。


話が逸れたが、ケイの目が赤くなっていたので本当に申し訳ないと思った。基地とはもう無縁なのだから関わるのはよそうと思った。それはそうと今度二人で出掛けないかと言うとケイは二つ返事でOKしてくれた。前に反故にしていた約束を守らないといけないという思いと、他にも確かめたいことがあった。


国立図書館や古い城を案内してもらい公園で休むことにした。ケイが早起きして作ったというサンドイッチを芝生の上で二人で食べた。美味いと言うととても喜んでくれた。


二人きりになって初めて分かったのだが、ケイは明るく順従な女の子だった。いつもはアカリに対抗するため少々きつめに見えただけだった。また生粋のお嬢様なので気品もあった。


最近調べたのだが、俺とアカリが幼い頃あの街に居た日本人は、アカリの両親だけだった。そして俺は親の最後を知らない。なんらかの理由で俺が行方不明になり、基地に引き取られていたとしたらいろいろと説明が付いた。そして俺には三つ離れた妹がいたことも微かに覚えていた。


「なんなのタケル、何か悪いことでも思い出したの」

いつの間にか俺は泣いていた。それでケイはびっくりしてハンカチで俺の目を拭いてくれた。


俺は最低だった。もしもアカリと結婚出来ないならケイでもいいと思っていたからだ。前にケイが二番目でもいいと言ってたことを思い出したが、それは嘘に決まっている。その言葉に俺は甘えようとしていたのだ。


「どうせアカリのことでしょ。隠してもわかるわよ」


嘘も苦手だが分かり易い男でもあったようだ。でもこれは知られてはいけない。散って行った仲間たちを思いだして泣いていたと嘘を付いた。もしバレてしまったらケイは俺とアカリのことを調べるだろう。それだけは避けたかった。帰りの車の中では二人とも言葉が少なかった。


「楽しかった?デート」

アカリは何気なく聞いてきた。俺はこれはデートじゃなくただ二人で出掛けただけ、と説明したがアカリは不思議そうな顔をした。男女で出掛けたらでデートというのがアカリの見解らしい。それならとケイにこれはデートだったと言うと彼女の顔が明るくなった。最低の男過ぎて自分自身に吐き気がした。


俺は日系人だとずっと思っていたが、どうも違うらしいと知ったのは最近だった。この国に戸籍に名前がなかったのだ。日本に行けばいいのだが本能がそれを拒んでいた。


人生を捧げたいと思うほど愛した女を、実は兄妹だから諦めなさいと言われても納得は出来ない。だがそのまま行けば不幸になる。あかりがいつか知ってしまうかも知れない。でもそんなことはどうだっていい。二人でどこまでも逃げればいだけだ。


ある日シャワーを浴びた後でケイに言われた。


「タケル、今日はアカリをじっと見ていたけどちょっとキモかったわ。暫く見るの控えてたくせに」

またケイにばれた。兄妹だから性的対象としてみるのを諦めようとしてたが、もう吹っ切れて妹でも構わないと思った、とは絶対に言えないから返事に悩んだ。


「兄妹でもいいかどうかアカリに聞いてみればいいじゃない。ダメだったらあたしが居るんだし」

ケイは知ってる?それともヤマカンなのかは分からなかった。知っていたとしても聞きたくない。

「勘よ勘、でもあんな田舎で危険な街に血縁のない日本人が二人も居たらおかしいのよ」ケイはそう言った。俺はちょっとホッとしたが真実を聞かされたみたいでまた心が沈んだ。



来年から大学に通うことになった。

学費や生活費を考えて行かないとケイに言ったが、将来のために行きなさいと説教された。アカリもお金は出すから行っておいでと言う。


今日はアカリとその大学を見に来ていた。落ち着いたバロック建築で、白っぽい学舎は歴史を感じさせた。だが俺には選ばれた者が通う場所に見え、少々落ち着かなかった。


親の死で学校にあまり通っていないアカリはテーマパークに見えると言っていた。学問に関するそれと言ってしまえば合っている。

中庭の芝生に二人で座った。アカリの顔に手を伸ばしてキスをした。


「タケル最近よくアカリにキスするね。嬉しいけど何か悩み事でもある?」

と聞かれたので否定した。二人に関係することだが共有できる悩み事ではないから知らなくていい。

教会に行こうと誘いそれぞれ願いを祈った。前に俺がどこかの教会でディスったメシア像の前で。


大学を出るとしばらく街を散歩した。二人を見ている人々にはどう見えただろうか。カップル、または兄妹のどっちに見えているのだろうか。真夏で太陽が高かった。


「最近タケルがアカリに隠し事してると思うんだ。ケイは何か聞いていない」

ケイはどう答えていいのか悩んだ。タケルだけ知っててアカリが知らないのは不公平な気もした。だけどこれはタケルから伝えなきゃいけない問題なので知らないと答えた。


ジャグジーで足をぱしゃぱしゃさせてるアカリは、年齢以上に幼く見えてあと二年少しで結婚できる様になることに違和感を感じた。


「銃を持つことしか知らなかったタケルが勉強をして知識を付けた。考えることも多くなったんじゃないかしらね」ケイは無難な回答をした。


「ケイもアカリに隠し事してる。アカリだけ除け者にされてるんだ」

ケイはアカリにそう言われカッとなった。あれだけアカリとの将来のことを考えてるタケルが可哀そうだった。なのでタケルとアカリが兄妹かも知れないことに悩んでいるのよと言ってしまった。


アカリの目から光が消えたように見えた。


上の書斎で勉強してた俺は一段落したのでリビングに降りた。そこには黙り込んだままのアカリとケイがいた。

アカリはやがて俺の手をとり最上階のシャワー室に連れていった。普段は裸を見ない様時間差で脱衣場に入るのだが、この日は手を引かれるがまま一緒に入ってしまった。

すぐにアカリはパンツ以外全て脱いで俺の方を向いた。普段なら絶対に目を背けたがこの日はそうしなかった。出逢った頃より少し大きくなった胸を見れて嬉しかった。直接見るのは初めてだったが、想像はたくさんしていた。


アカリの乳房を優しく触った。我慢出来る気がまったくしなかったので、唇を合わせアカリの身体をいろいろ触った。押し倒そうとしたところでケイが割って入った。

「お楽しみ中のところ悪いわね。タケルは反省しなさい」と言ってアカリの脱いだ服を拾い、二人でリビングに行ってしまった。


アカリが服を着ようとしないのでケイが着せてあげた。タケルと何をしようがアカリの勝手、と言ってまたアカリが飛び出そうとするのでケイはアカリの頬を叩いた。泣いているアカリをはたくのは可哀想だけど今許す訳にはいかないとケイは思った。


リビングに戻るとアカリは部屋に籠って鍵を掛けてしまっていた。

アカリを泣かせたことでケイに酷く怒られた。あのまま流されて抱いてしまったら、傷物になるのはアカリだったのでケイに感謝をした。


「アカリを抱きたくなったら代わりにあたしを抱きなさい。そのくらいならしてあげていいわ」

どこまでも妾のスタンスを崩さないケイ。だが俺がそうしないことも知っているはずだ。


その夜アカリの部屋のドアを叩いたところ俺を入れてくれた。

劣情に流されそうになったことを詫びたがアカリは何も言ってくれなかった。


「今まで言えなくてごめん。でも俺の目にはいつでもアカリだけしか見えてない。隠してた事は謝っても許されないが、愛してる事だけは信じてくれ」

アカリは俺を抱きしめ何度もキスをせがんだ。だが今度はブラのホックは外してくれなかった。


「ケイはアカリが屋台で育てたから根性があるよ。彼女の気持ちに応えてあげてタケル」思ってもいない事をアカリが言っている。首を大きく振ってアカリがいいと俺は言い続けた。


忙しい夜はまだ続き、自室に戻るとノックする音がした。開けるとケイが居たので入ってもらった。今日は性欲が酷い。すぐに帰らないとケイをレイプしてしまうから帰ってくれると助かると言った。構わずケイは俺のベッドに腰掛けた。レイプと言うのは同意のない性交渉で、同意があるあたしとならそうは言わないと彼女が言った。


俺からケイにキスしたのは初めてだろうか。分からないが気持ちが良かった。ケイはまったく拒むことなく唇で受け止めてくれた。

俺が胸を揉むのを躊躇っていると彼女から手を取って押し当ててくれた。そのままケイを押し倒し下半身に手が伸びそうだったので根性で止めた。アカリを触れた手で触っていいはずないからだ。


部屋を出て滅多に行かない屋上に出た。

銀河の中心が良く見えた。英語ではミルキーウェイと言うのかなとかどうでもいいことを考えた。

ケイは黙っていた。だが俺がケイを見ると優しい微笑を湛えて返してくれた。宇宙はきっと俺たちの悩みを些細なことと思っているだろう。


アカリを抱いてはいけない理由なんて実はないのかも知れない。種の個体強化のために動物を作った誰かが勝手に決めたルールだ。

戦争にルールがあるのもおかしい。最大火力でダメージを与えて、その結果人類が滅びたらそれはそれでいいはずだ。俺たちは幾重もの理不尽なルールと戦っている。


結婚しようとケイにその夜言った。
























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