表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Survivor   作者: 神田竜人
3/8

③二番目の女

今日はアカリには屋台を休ませる。亡くなった元隊長の部屋に引っ越すことになったからだ。


元々荷物はお互いほとんどない。だが彼女が干す洗濯物のなかに同じ下着が出て来る回数が多いので、街に行って買い物に行こうと言ってアカリを連れ出した。二人の初デートかも知れない。


ジープでここから30km離れた街に行った。

アカリが食材店ばかり見てるので、それはうちの街でもある程度は手に入るので、時間が余ったら行こうと提案した。


さっき二人の初デートと言ったが、俺にとっては人生初のデートだった。可愛いのにぼろきれのような服を着てるので、可愛い服を見繕ってくれと店員には言った。俺にはわからないから丸投げだ。


スイーツ屋があったので二人で入った。タルトってやつが美味そうなので二人分頼んだ。アカリはレシピを聞いていたので自分の店で出す気なんだろう。


この街は我々のそれと大きく離れてる訳ではないのに少し平和の香りがした。買い物が終わったので特にあてもない散歩をしていると、一人の少年からサインをねだられた。無敵のスナイパーにして軍隊の隊長としてそれなりにここで有名らしい。死神タケルではなくちょっとした英雄扱いが嬉しかった。この街の


平和は俺の軍隊が守っていると感じた。太陽の位置が高くなって来たので家に帰ることにしたが名残が惜しかった。


新居は部屋が二つとシャワー室ではなくジャグジーがあった。広さは地下豪にしては申し分がなかった。ジャグジーに入っているアカリを想像して変な気持ちになったのは相当やばい。水着姿を想像して欲情するのだから相当溜まっている。アカリが来てから自慰する回数が極端に減ったせいだろう。


「シャワーじゃないから一緒に入れるね」とアカリが無邪気に言ってきた。

邪気が相当混ざるがそれでもいいのかと思った。


部屋が二つあるから一つづつ使うことにした。一緒に寝れなくなるのは残念だがアカリものんびり出来るだろう。アカリの言うとおり二人でジャグジーに入った。青のセパレートの水着はけっこうフリルが付いていた。ずっと舐めまわすように見てたことにアカリが気付き顔を真っ赤にしていた。


リビングと呼べる程は広くないがソファーを置いた。アカリが座りながら寄りかかって来たので、これが新婚気分というやつかも知れないと思った。


夜自室に入りアカリの水着をおかずにして自慰することにした。童貞なんてそんなものだろう。


そういう行為をしていたらドアをドンドンと叩かれた。一人じゃ眠れないのでこっちの部屋で寝たいという。仕方がないのでまた一緒に寝たが、行為を途中で中断したので眠れやしない。


アカリ本体がぴったりとくっ付いていたのでもはや拷問に近い。部屋を出てソファで続きをしようと思ったが、たぶん居ないことに気が付いて起きてくるだろう。仕方がないので素数を数えて寝ようとしたら、アカリが抱きついてきたので努力の甲斐もなく勢いよく出てしまった。


アカリがそのパンツを手洗いしていた。頭を抱えながらソファに座っていると洗濯を終えたアカリが座って顔を覗き込んで来た。たまらず抱きしめながらキスをした。


仕切り直してまた二人でベッドに入った時にアカリが言った。


「ジープで攫われてタケルが助けに来た時スカートをめくったでしょ。あの時そういうことされちゃうんだと思って泣きそうだった」と。


あれは被害がないかどうかの確認でそういうつもりは全くなかったと説明した。

「今はそれがちゃんとわかるよ。すごく大事にされてるのが分かるから」

だから我慢しなくていいよと、俺の手をアカリは自分の胸に押し当てた。どうしようもないくらい抱きたい自分がいたが拒否した。

「アカリの様な子供は抱かない」子供に興奮したくせによく言うよとアカリが言って長い夜が終わった。



ケイは今日もアカリの屋台を手伝っていた。何もしたことが無かったお嬢様にしては頑張ってると思う。もう調理も任されており今日は弁当担当だと言う。ピラフと水餃子を買った。ケイも若干だが無国籍料理っぽかった。アカリがケイは明日休みだから今日はもう上がっていいと言った。


「タケルは明日休みなの?隊長だから適当な理由作って休みなさい。そしてあたしの用事に付き合うのよ」ケイが勝手に話を進めるのでアカリを見たら頷いていた。スポンサーの娘さんだ、無下に断ったらなにか良からぬことを父上さんに言いそうなのでOKした。


そんな平和な話をしていたら警報が鳴り軍から放送があった。同盟国からの情報で敵の爆撃機が30分後にここに来ると。我が国の軍も戦闘機が迎撃に飛んだが間に合うかどうか。


「ケイは走って自分の家に帰れ。我々も安全な場所に避難する」と伝えた。


ケイは首を横に振った。自分だけ頑丈なシェルターに逃げ込むのは卑怯だと言って。仕方なく今すぐ俺の部屋に行けと言い鍵を渡した。アカリもすぐに続けと言い、俺は外に出てる住民に避難を促す放送を基地に行って防災部に流させ自宅に急いだ。


「この地下はわりと深く恐らく爆撃には耐えられる。だが地上に暮らしてる人もまだ大勢いる。彼らは迎撃が間に合わなかった場合、命の危険があると両横に居る二人の少女に伝えた」


特に震えていたのはケイだった。肩を抱いてやっているが震えが止まらない様子だった。迎撃とかしないでいいのと聞かれたので、性能の悪い高射砲しかなく隊員を危険に晒すことになるから出さないと伝えた。ケイは戦乱でも要塞とも言えるシェルターの中で安全に過ごしてきたのだろう。この街の危険さを知らなかった。


やがて爆撃が始まってガタガタとここも揺れたがすぐに止んだ。迎撃戦闘機が間に合ったのだろう。交戦が終わったようなので地上の戦車が無事か見て来ると言ったらケイも付いて来た。アカリは震えていたのですぐに戻ると言って部屋に残した。ヘルメットとか飾りだからな。後は自分のことは自分で守れと言って地上階行きエレベーターに乗った。


「タケルは落ち着いてるけど怖くないの。あたしは震えが止まらないわ」ケイが言った。


「これよりずっと危険なことをやってるから慣れちまってる。明日にも死ぬかも知れないしな」


ケイは切なく感じた。いつ死ぬか分からないのに部隊を纏めてアカリの面倒を見ているタケルを憐れに感じた。それよりも別の感情もあるけど、言えそうもない自分に腹が立ってケイは泣いてしまった。


「怖いなら付いてくることはない。部屋に戻ってろ」

と言われた時タケルにキスをした。



「現存保有兵器に変化なし。爆撃機の残骸が多くみられ敵は全滅したと思われる」と隊員に事務的な連絡をした。


地上部隊だけで離れた友軍からの戦闘機支援だけの現状に焦っていた。せめて高度と精度がある地対空ミサイルがあればこんなに無力感を感じることは無かった。


今日は作戦がないので最近入った新兵の訓練は任せて、スポンサーとの会食があると嘘を付き帰ることにした。


ケイはアカリの屋台でまだ働いている。もう十分に花嫁修業の一環は終わったと思うんだが。この仕事に愛着でも持ったのかなと思いながら珈琲を頼んだ。するとケイが速足でこちらに近づいて来た。そして俺の隣に座った。


「あたしの初めてを奪って置いて無視とはいい度胸ね。信じられない」と言うのでちょっとケイと話があるとアカリに伝え散歩して来ると言った。


俺の家に呼びきちんと話をしてくれとケイに頼んだ。俺はモテるタイプとは真逆だしケイの気の迷いか何かかなと思ったと言った。ケイは暫く黙ったあと話し始めた。


「タケルが今のあたしより小さい頃、大人たちに混ざって出撃するのを見たの。今よりも全然暗い顔で平然とジープに乗り込んでるあなたを見たら胸が苦しくなった」

それとキス関係あると聞いたら蹴られた。


「要はタケルが初恋の人なの。だからうちのパパに会いに来るって聞いた時は嬉しくて前の晩から眠れなかったわ。それなのにもう左手の薬指に指輪をはめてた。相手がアカリって分かったら絶対に負けてやるもんかって思い今でも頑張ってるの」頑張りの理由が俺でかなりびっくりした。


「好きになってくれてありがとう。でもアカリ以外は考えられない。だからごめん」

パパにあれこれ言って手を引かせようかな、スポンサーの話し。とケイが言うので卑怯すぎるぞと抗議したが無視された。


「この間は保護にされたけど次の休みにデートに連れてって。それであたしが満足したら手を引いてあげるわ」

余りにもケイは強引だったが俺は受けることにした。アカリのためにも。



「高射砲で爆撃機の野郎を撃ち落してやりたいですね」

唐突にハーランドが言った。

一番危険な任務だぞ。爆弾喰らったら間違いなく死ぬ。あと最新の高射砲がうちに配備されることになったと俺は言った。

「それならやります!命なんて投げ捨ててなんぼでしょ」訳のわからないことを言う男だ。



「欲しい物届いたでしょう」ジープの横でケイが唐突に言った。今日はデートの日だった。彼女を満足させるための。


「高射砲のこと?お父さんが政府に働き掛けてくれたの」と言うとケイは頷いた。


とんでもない国際企業の社長とは聞いてたけどそこまで出来るとは思ってなかった。ケイの実家恐るべし。なんでこんな辺鄙な場所に住んでいるのかちょっと理解が出来ないが。


「あたしといれば願いが叶うよ。だから恋人になるべきよ」


「言いたいことは分かった。じゃあ俺の好きはどうなる。アカリを好きなままケイの元へ走れってことになるぞ」


アカリとはスカート捲りあげたことで最初は強姦魔に見られてたみたいだけど、今は信頼を勝ち得てる。ケイは頑張り屋で凄い子だなと尊敬はしてる。だが恋愛対象には見ていない。


「アカリを好きなままでいいよ。あたしが頑張って振り向かせる」

傷つくのはケイだからやめろと忠告した。俺のこと好きだと思ったのも出撃行動による吊り橋効果だと伝えた。

「わかった、あたしは二番でいい。だから妾にさせてもらうくらいいいよね」お父さんが悲しむことを平気で言うケイ。この子の負けず嫌いは底なしだ。












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ