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22,魔の森


 隊を決めるのは総括部。それぞれの特技や力量を加味して決められる。



 浄化はできずとも治癒だけは出来る治癒師は魔術師団にいるから彼らを3つの隊に満遍なく配置するとかシンプルな結界を張ることができる結界師を配置するとかなんとか。


 カイリお兄様は治癒もできるし結界も張れる、私も似たようなことはできる、ロルフは結界なら張れる、シサーカも結界だけ。


 これを踏まえてシサーカはカイリお兄様の隊に配属された。ロルフよりも強いからな。


 だからシサーカはカイリお兄様を背にのせて戦うことになる。飛べない魔物からは守られるし飛ぶ魔物はシサーカが氷漬けにする。カイリお兄様は浄化や結界に集中できるとのこと。


 今のバークレイ領も辺境の方で魔物の被害も充分あり得るのでセイや竜夫妻が単独で守る。騎士団は新人と総括部以外の全ての隊の行き先がウィルバイツ王国方面なのでそのために竜を置いてきたのだ。


 騎士団の制服は濃紺。シサーカに作った騎士風の服をロルフにも贈った。魔物と間違えられて狩られでもしたらシサーカも私も死ぬ。


 絶対にセイと結婚するからここではまだ死ねない。これフラグとかじゃなく、マジで。また刺繍とかするのは大変だったが死ぬよりはマシだ。


 カイリお兄様は第三騎士団長なのでシサーカは第三部隊、ロルフは第二部隊、私が第一部隊だ。第一部隊が先頭、第三部隊が一番後ろになっている。


 怪我人も無事目覚め、謎の呪いに困惑したところで夜明けと共に出発する。1日はおいたし呪いは皆解けた。いつ奇襲攻撃をかけられても良いように剣は腰に差し、弓は背負った。竜騎士ではあるがいつもと違い、シサーカは貸し出し中なので今回は愛馬だ。人型になれる子。


 魔物がうようよいる魔の森というものがある。国境を決めるのに使われてることが多く、ウィルバイツ王国とティアバルト王国の国境にもある。


 奥に行くほど魔物は強くなるため魔の森の真ん中付近は強い魔物の巣だ。ウィルバイツ王国の方には既にロルフと同程度くらいの魔物から上位種まで進行しているそうだ。


 だが警戒するに越したことはない。



 「セレーネって結界張れるんだよな」

 ふと隣を走っていた

 同僚のクルーレスが確認してきた。


 「ああ、それがどうした?」

 「結界を全体じゃなくて個人個人に張ることは出来るか?」


 「あー。できるな。その方が安全性はあるか。だが結界は私よりも強い種、黒竜クラスになるとその効果は発揮できない。氷竜とロルフくらい、だから最上位種以下の魔物なら大体守れる。そうするか」



 ついでに結界に直接魔力付与しよう。労力はかかるが私は誰も死なせたくない。誰も傷つけたくない。綺麗事だと言われるかもしれないけどこれが本心だ。


 結界がある限り落下死、燃死、溺死などは避けられるが万が一ということもある。一応、全てのダメージをほぼ無効化する【耐性】、全ての身体能力を増加させ、与えるダメージを最大限にする【身体強化・ダメージ増加】を付与しよう。



 「ありがとう、クルーレス。自ら要らぬ死人を生んでしまうところだった。やってみるよ」

 「こちらこそだ。生きて帰ろうな」

 「ああ、当然だ」


 コツンと拳を合わせて誓い合った。


 魔の森の夜の移動は危険だ。どこに崖があるかわからないし魔物は夜の方が活発になりがちだ。かと言って昼が安全かと言えばそうではないが。


 結界師が結界を張り、その中にキャンプを作る。なぜ私が張らないかって?体力と魔力を温存しろとの意向だ。私が所属している第一騎士団長の。


 「レウクルーラ団長、少し相談があるのですが今よろしいですか?」


 キャンプを作り終わってから私は第一騎士団長に声をかけた。一見すると女性のような名前だがゴリゴリのマッチョだ。


 「セレーネか。どうしたんだ?」

 私は乗馬中にクルーレスと話したことを伝えた。個人に結界を張るというアレ。



 「個人個人に結界を張ることに加えて魔力付与など…。お前の負担が大きすぎる気がするのだが体力的にも魔力的にも平気なのか?魔力枯渇を起こせば最悪の場合死ぬぞ」


 「魔力に関しては私が致命傷を受けない限りは平気です。結界師と治癒師には魔力枯渇防止の効果を付与します。体力的には…気合いでなんとかします」


 致命傷、例えば上と下がサヨナラするとかそういった場合、拒絶魔法に魔力を持っていかれるから魔力枯渇を起こしやすい。


 体力は騎士団の中でもある方だが常に上位魔法を使うので普段の走り込みとは勝手が違う。だがここは気合いだ。帰ってくる途中で倒れたとしてもシサーカとロルフを死なせたりしなければそれでいい。そして、騎士団も皆生きて帰れるなら。


 「気合いって…。まあ騎士を失うのは俺としてもあまり良い気はしないしお前の好きにしたらいい。

 

 だがな、間違っても自分を犠牲にしようとは思うなよ。他の隊員が死ぬと死者蘇生の魔法が使えるお前でも絶望するだろ?逆も同じだ。自ら死を選ぶな。それが上位魔法を使い続ける条件だ」


 「わかりました。連れのこともありますので死には気をつけます」


 許可は取った。


 朝、レウクルーラ団長がその旨を皆に話してくれるそうなので今日のところはご飯を食べて寝よう。幸い、騎士団全隊員の中で13歳の私は最年少だ。


 最年少なので先輩隊員達が餌付けをしてくれるのだ。甘やかされてる…気がする。悪い気はしないので先輩達には素直に甘えている。


 翌日朝。キャンプを片付ける。ここからはキャンプを使わないのでテントなどキャンプ道具は荷馬車に積んで先に帰宅する。半円状の結界も張ったのでよっぽどのことがない限り生還できるだろう。


 キャンプを片付けたら朝礼。その際に私は全員分の結界を張った。落馬事故もしてほしくないので馬にも。


 戦う騎士には【耐性】と【身体強化・ダメージ増加】の結界。結界師、治癒師には魔力枯渇を防ぐ【魔力再生】の効果を付与する。


 自分の結界にはそのどちらも付与する。でないと拒絶魔法で自分を治せなくなるなんてこともある。【魔力再生】の結界は魔力が多い人間でコツがわかっている人なら誰でも張れるので消費魔力はあまり多くない。


 騎士に使う結界に比べれば問題ない。流石に効果の三重付与は無茶苦茶すぎる。弓を使えば相手の魔力を奪い取れるしそれで凌ごう。


 怪我が治せなくなるまでなったら致命傷の応急処置くらいに留めてあとは幻影魔法で見えなくしよう。看破のスキルはこの国では持ってる人いないので。




 あとは領地に残してきた私の大切な人達が死なないことを祈る。

今回の登場人物

・セレーネ・バークレイ(13)

・クルーレス

・レウクルーラ団長


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