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神社を活性化させよう会議

 早速私たちは『山の神神社 活性化計画』に取り組むことになった。


「それではみなさん。活性化計画会議を始めます。


獅子と狛犬に聞きたいんだけど、昔はこの神社にも人がたくさん来てたんでしょ?

その頃の事をなんでもいいから話してくれない?」


私達は拝殿に座布団を敷き、四人で向かい合って座っている。


獅子はあぐらをかき、狛犬は正座だ。全員人型なのでいかにもな村の寄り合い風景に見える。


「おぅ、祭りばっかりだったよな」


「ええ、お祭りのたびに山神様が降りてきて、あぁ、そもそも山神様考案の祭りが多かったですね」


祭り。


それは神社と氏子を繋ぐ活性化案としては当然必要なものだ。


「どんなお祭りをやっていたの?」


思い出すままを発言してもらい、きりが筆で書き留める。


季節ごとに並べてみると本当に祭りが多い。


冬、雪祭り


春、芽吹き祭りと神楽と巫女舞。


続けて田植え祭りに神楽。


夏の暑いさなかに夏祭り。


秋には収穫祭と巫女舞。


少し肌寒くなると落葉祭りに奉納相撲大会。


大晦日には大祓。


「なんなの雪まつりって?」


「村の連中は雪合戦って言ってましたぜ」


神社と関係あるのだろうか?


「これは誰の考案?」


獅子に向かって聞いてみる。


「無論、山神様ですね。あ、多かったと言うより、大祓以外は全部山神様が言い出しました」


「なんでこんなに? ていうか山の神様はなにも言わなかったの?」


「いゃあ、お二人とも祭りの時は人間の姿で酒が呑めるって楽しんでいらした」


「獅子よ、おまえも毎年相撲大会で優勝していただろうが」


「いいじゃねぇか、おらぁ下戸だから賞品の酒は神様方に奉納してたんだからよ」


獅子は見かけによらず、お酒は飲めないらしい。

獅子が獲得したお酒をカツアゲする神々を想像するとモヤるが。


「たしかに神様仕事でお酒が呑めるチャンスは祭りだけよね。

でも今の状態では絶対無理な話だねぇ。

ところで例大祭っていつだったの?」


神社では由緒ある日に祭りをおこなう。それが例大祭だ。

山の神神社の由緒を考えると、古すぎて建てられた理由すら不明なのだから例大祭の日付は期待出来ないのだけれど。


「神無月でしたが無くなりました。一番大きな祭りでしたが、内容が内容なだけに、な」


「そりゃあまだ封じられてもいない山神様を退治したっていう神事だものなぁ。

始めてからしばらくは続いてたんですが、白蛇の人形をヤマトの神様が真っ二つにするっていうのをやってお怒りに」


「御山以外の山が同時に鉄砲水を起こして村の半分が流されました。

次の年から例大祭は取りやめとなったのです」


「そりゃあ怒るわ。でもなんで神無月に? 

山の神様って国津神だったんでしょ、大国主様主催なら呼ばれるはずじゃないの? あ、いいや聞かない」


「そういゃ噂でそんな神の寄り合いがあるとかなんとか。どうして山の神様は行かなかったんでしょうかねぇ」


「考えちゃ駄目よ」


前任の山の神思いの獅子は鈍感で良いのだ。

呼ばれない会議の時に例大祭を決めたのもおそらく前任の山の神だ。

寂しさが伝わってくる。

そうだ、たぶん分霊が出席してたんだ。うんそうだとも。


「それにしても、山神様って本当に怒らせちゃ駄目な神様なんだね」


「山神様は神代(かみよ)に生まれ、国中で災いを起こしたと、山の神様がおっしゃっておりました。

豊葦原の元となった水は山神様が呼び込んだとか」


「縄文海進の原因とか怖すぎる」


「とはいえまた祭り三昧のあの頃みたいにならないもんですかねぇ。


わたしゃあの賑やかな頃が懐かしくてねぇ」


「獅子は祭り好きだったみたいね。

でもこれからみんなで頑張ればまたできるかもしれないよ。

ところで大晦日の大祓(おおはらえ)は誰がやってたの?」


「宮司です。代々その者の家系は神社の(はふり)でしたので、神事はすべて取り仕切っておりました」


「有能ねぇ。残念だわ。宮司のご親族はもうこの村にいないの?」


獅子と狛犬は顔を見合わせてから、少し考え込むように目を伏せる。


「狛犬、どうよ、あいつだよなぁ?」


「そうですね。村長です。私腹を肥やすことが好きな男ですが、一応宮司の親戚筋です」


「あなたたちが言い淀むって事はかなり問題ある人なんでしょうけど。

村長が動いてくれないと神社の再建は難しいわ。

村長と交渉するのが一番かもね。早速交渉してみるわね」


「あ、お待ちください。交渉なら話が早いのは妻ですぜ。

村長より信心深い人間ですし」


獅子は意外と村人の性格を見抜いている。村長の妻、一度会ってみるべきだろう。


「ふぅん。信心深いか。いいね。よし! それじゃ解散!」


面白そうではないか。我に続きを読ませるが良い。という神様。

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