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お留守番

 暗い神社の中でゆかりを待っていたきりは少しがっかりしていた。


「今夜は色々あったなぁ、でもここに住むのかぁ。

前のお部屋のほうが暖かかったな。

ゆかりさん、かみさまなんてできるのかなぁ。

なんか不安。でもわたしが頑張らなきゃ。

しんし? だもん。

ここってどんなところにあるんだろ。ちょっと周りを調べたほうがいいよね」


半開きの扉を頭で押し開けて外へ出た。

濃い植物と山の冷たい空気が混じった匂い。


(空気が美味しい。外にはお医者さんに行くときぐらいしか出られなかったからすっごいわくわくする)


いきなり目の前をふさぐ大きな箱があり、よけて進むと、頭上に太い綱がぶら下がっている。


「わーい! ひもだー!」


鈴に繋がる鈴緒へ飛びつき、爪を立てる。


ガランガチャン! ゴンガランガランガラン


「きゃーーーっ!」


錆び付いた大きな鈴が落ちてきて、盛大な金属音を立てた。


「びっくりしたー!!! 壊しちゃった?」


「コラッ! なにやってるんだ! うるせえぞ」


「ひっ! 誰っ? だれかいるの?」


間髪入れずに怒鳴り声が聞こえ、きりはすくみ上がった。


「おまえどこから来た? お社を壊すんじゃねぇ! 喰っちまうぞ!」


いつの間にか目の前には、立派なたてがみを持った大きな猫族が立ち塞がり、私を見下ろしている。


「あわわわわ、ごめんなさい、ごめんなさい。壊すつもりじゃなかったの」


「一体なにごとですか、おや? これはただの猫じゃありませんね」


わたしは背後から首の後ろを咥えられ、ぷらんと持ち上げられてしまった。


「いやあああ! 食べないでぇ! ごめんなさいー」


ぽいっと放り投げられ、地面に落ちる寸前、身体をひねって脚から着地した。

箱の前に巨大な猫族と、額から角の生えた大きな犬が立っていた。


「おまえ、なんなんだ? 中から出てきたろ」


「猫が入ってゆく様子は無かったのですがね」


二匹の猛獣に問われるが、わたしが何かと問われれば答えはひとつだった。


「しっ、しんしですっ!」


「神使だと? 狛犬、聞いてるか?」


「いや、山の神様からはなにも」


二匹は私に警戒しながら神殿をのぞき込む。


「おまえの言ってることは嘘だな」


「うっ、うそじゃありません、本当ですっ。

ひきつぎをするって言って二人とも出て行っちゃいました」


「ん!? 獅子よ、あれを見ろ」


「お、山神様が姿を現されとる。うーむ、なにかやってるのは確かなようだな」


御山には半透明の白蛇が巻きついていた。


「とにかく、動かないでください。私たちより山神様に見つかったほうがただじゃ済みませんよ」


この二匹より、山より大きな蛇がすぐそこにいる恐怖にきりの身体は益々硬直してしまった。


面白そうではないか。我に続きを読ませるが良い。という神様。

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