RPGゲーム 魔王を倒そう 3
「ひたすら森でモンスターを殺し続けること……ですかね」
そう此先暁人は語った。
(お馴染みプロな人たちの曲)。
クソ、どうでもいいこと考え始めるくらいには飽きてきた。流石にきついか。
精神的にしんどくなってきたな。終わりのない作業だよ、全く。いや大体のゲームの末路ってそんな感じだけど。
やり込みなんて人によっては疲れるだけってやつだし。クリアしたが最後売りに出す人種も珍しくない。
まあ、俺がやってるのは無限ループの仕事みたいな感じですが。工場勤務の人ってこんな感じなんでしょうか。
……俺がやってるのはゲーム的なのをアクションにしてなおかつVRにしたかのようなやつだけど。
絶対に売れないぞこれ、作りが雑すぎる。
あーあー。思考がとっちらかってきた。
「流石に村に戻って本格的に休むか」
村に行ったところでやれる遊びもないからな。
寝るしかやることがない。
この世界に来てからというもの俺は人間的な感覚を失いつつある。主に空腹に眠気といった生理現象を感じないのだ。
この疲労だって精神的な疲労でしかなく、脳みそが疲弊した結果のような疲労とは違う。
なんというか……本質的には疲れてない感じである。
この精神的疲労すら一定時間で引っ込むくらいだ。
飽きているという感覚もほっとくと同じように引っ込む。
「何なんだろうな、この世界。そして俺の体に起きてることはさ」
そんなことをつぶやきながら村に戻る俺。
そして自宅らしい家に帰り、ベッドに寝転ぶ。
目をつむり、意識を落とす。
眠気はなくても寝れる。さながら眠るのは嗜好ですと言わんばかりの感覚だが、意識を落とすのは割と後のパフォーマンスに好影響だ。
感覚的にそこそこの時間をそうしてまた森に突撃しレベルを上げる。この繰り返しをもって、森を突破することとした。
理由はレベルが五十になったこと。
そして新しい魔法を覚えたことだ。
エクスプロージョン、デリュージュ、メテオストライク、テンペスト、アブソリュートゼロ、ゴットパニッシュメント。
火、水、土、風、氷、雷。その上位互換……過ぎないか。中間がなさすぎる……
サンクチュアリ、ホーリー、リザレクション。の光。
サンクチュアリは……まあ。聖域、アンデット特攻であり聖水の効果を持つ。
戦いの最中も戦い以外の場面でも使えるような……いやどうだ?
ホーリー。アンデット特攻の魔法ですね。はい。光のレーザーを落とす……いや下から放出?
物理的攻撃もあるからアンデット以外にも使える。でもアンデット以外は普通の魔法でいいだろ。
リザレクションは誰に使うの。仲間って存在がいないんですけども。
自分に? 死んだあとに使えるかよ。
カース、ディスペル、シャドウランス。の闇。
カーズは呪い。まんまだな。効果は大量のステータスデバフを与え、かつ呪いによるダメージと動きに阻害を与える。
……いやエゲツねえな。ポイズンとパラライズで完封できね。ただでさえデバフ耐性下げるっぽいのに。
ディスペルは相手の魔法やらバフやら消し飛ばす。以上。
シャドウランスは影が槍が如く貫いてくる魔法。
太陽が空にあるときは使い勝手悪いっすね……
夜はエゲツねえけどな、四方八方からでさ。
あとは新属性の無。
テレポートとかインビジブルとかある。
……インビジブルって何に使えばいいんですか。姿見えなくして。テレポートに至ってはいける場所が二箇所しかねえ。
他にもあるんだが……なんかエラー吐いてんだよな。
文字が後半すごいバグってる。理由はわかりません。
だからあるっていうよりは、あるみたいというべきだなこりゃ。
ともかくここまでくれば何も怖くない。いや怖い。
まあいいやと森を抜けると広大な平原。見飽きた光景だ。
そして向こうにホワイトカラーの城の建物があるミニチュア。
王国ってやつかな? 人のある空間はこれで二つ目!
レベルを五十まで上げてか!?
……まあともかく、いざゆかん!
ダァー! 敵! 空気読めよ!
そして最初の平原と森の2Pカラーみたいなの来た!
RPG特有の色違いという名の使いまわしだ!
そのくせして面妖な技使ってんじゃねえ! 死ね!
なんでお前らはそんな多彩な魔法使ってんだ!
俺はそんなに魔法ねえぞ!
さてさてそんなこんなで王国に入りましたが。
「きな臭え……」
物語である何かあるやつ的なアレだ。
さてさて、人の話を聞きましょうね。NPCだから本当に無機質だな。気持ちが悪いでございます。
ベタベタ触っても反応ないし。顔を引っ張るだ、軽く弾くだ、なにしてもよ。なんでこれゲーム感全開なの。
さて、話を聞いて結論はわかったぜ。国、乗っ取られてますね。
王道だね、じゃあ殺しに行きましょうね。
ダイジョブダイジョブ。この手のゲームはなぜが主人公は王城にズカズカ入れるから。そして勇者らしいじゃん、俺。殺れる殺れる。
そうして王城の入り口に入ればやっぱり思った通り。
俺も何故か勇者だと理解されてるから兵士も止めねえぜ。
さあ、王妃様、ぶっ殺されましょうね。
『勇者様ではありませんか。ここまでご足労頂いて……』
はぁ……
『勇者は王妃が魔物であることを見抜いた。勇者の目を誤魔化すことはできない!』
ナレーション? というか、地の文ェ……
そして勇者そんな力あるの?
いや、そのね。たしかに王妃を見てる段階で朧気に魔物の姿見えてたけど。
『く、そううまくは行かぬか! 死ね、勇者!』
朧気だったそれはガッツリと魔物の姿に変わる。
お、専用モデル。いや、本当に専用か? この後に使い回されたりしない?
ともかくこのモンスターはラミアっすね。森で出てこなかった種類ですね。
「んじゃま、死ねぇ!」
中ボス如きが! 一応レベル五十で、種のアイテム使って全ステータス五百近えんだよ!
ステの暴力で殴ってくれる!
覚えたばっかのクソ強魔法のオンパレードを喰らえ!
カースで弱らせてからの全力アタックじゃあ!