RPGゲーム 魔王を倒そう 1
あのあと俺を息子と呼ぶ女性のいる家から出て外を見てみれば。
……RPGゲームってのは嘘じゃあなさそうだな。
家の中の段階でわかっていたことだ。
どっからどう見ても日本っぽく無かったからな。
RPGの村らしいものが眼前に広がっていた。
……いやこれ村って言える? ゲームってそういうものだとわかってるけどさ、にしたって家少なくね。
四軒しかないんですが。限界集落ってレベルじゃないんですが。
あとは教会が一棟。井戸が一個。なんかちっちゃい畑が一個。
……飯食っていく覚悟あんの?
まあ、そういうもんだと割り切ったほうがいいか?
ゲームの中に入ったということで受け入れておこう。これがどんなゲームなのか知らねえけど。
でだ、俺は一体何をすることになるんでしょうね?
村人たちに聞いて回っかなぁ。
そして一人ひとりに聞いて回る。
『ついにか、お前には辛いこれからが待ち受けるぞぉ。決してへこたれることなく頑張るんだぞ』
『兄ちゃん、本当に行かなきゃいけないの? お兄ちゃん以外に勇者様はいないの?』
『魔王を倒す。それは勇者の仕事とはいえ……難儀なもんだな』
『血が覚醒してしまった。魔王が誕生した証拠だ。しかしなぜにお前が……』
などなどである。
……古臭えRPGだな。パチモン極まりねえ。しかもスタートの出の中身、スッカスカやんけ。
まるでパッケージにストーリーの始まり書いてるから省いてもいいだろみたいなやり方。完全に割愛ですらねえ。愛がねえもん。
一応の目的はわかった。でだ、所持アイテムはっと。
……この腰にあるマジックバックみてぇなのか。ウィンドウ見てなのが出てきたな。中身は……棍棒に木の蓋ぁ?
如何にもな初期装備じゃねえか。
どれ取り出して……どうやって?
出てこい! 出た! なら使えるな問題ねえぜ。
さーて! 村、出ますか!
外どこ。そこ……? 村の外ただの草原なんですけど。
町なり国なりの中から見た外はなんにも作られていない。
いかにもゲームらしいっすね……描画省かれてるところは。
この柵の間が出入り口か?
出入り口のラインがわかんねえんだけども。
【ザッザッザッ……】
SE……パチモンだぜ……
一瞬の暗転。そして……うわ。光景がガラリと変わりすぎ。
村の中から見たときと光景はなんだってんだよ。
どこにあったその山々は。そんなの村の中から見えなかったぞ。
そしてあっちに突如として生成された森はなんだ。綺麗に切り取られすぎてるじゃねえか。
森とそうじゃないところの中間みたいな交わったところがない。いきなりの森。
そして海。ちっか。なんだこの空間は。いやフィールドというべきか。縮小化されてるかのような……
村はどうなって、る!?
ミニチュアだ! ミニチュアのおもちゃみてえな感じになってる!
ゲームのあるある詰め込み過ぎでは?
まあいっか。とりあえずそこら辺うろちょろしてればモンスターなり出るかな。
ウロウロとしてなんか安っぽいBGMがなり始めた。
戦闘突入時みてえなやつだ。
出てきたのはイタチみてえなやつ、タヌキみてえなやつ、キツネみてえなやつ。
いきなりの三体は多すぎだろ……そしてそこは王道のスライム寄越せよ。
なんでモンスターっていうよりは獣なんだよ。
とりあえず棍棒持ってと。戦い方はコマンドかな?
……そんなふうに思っていました。
普通に三体揃って普通に襲いかかってきたのでした。
「……て、あぶねえ!?」
こええ!? いきなり来やがったぞ!?
「おいどういうことだ!」
俺は混乱しながら格好が悪いにもほどがある無様な動きで避け続ける。
ちょっと待て、俺はコマンドとか出ると思ってたんだが?
もしかしてこれコマンドバトルじゃないのか! アクション系かよ!
いや確かにそうですね! 俺普通に動いてますもんね!
悟ったからにはこのままでは非常にまずい。持っている棍棒を振るい、獣をぶん殴る。
『グべッ! ガギャ!』
よし、2ヒットで一匹!
いや何が一匹だよ。
クソ、アクションとか俺は運動部じゃねえぞ。インドアの帰宅部舐めんな。
そんなてんやわんやがありつつもなんとか他の二体も仕留めることに成功する。
「あ、倒したからかBGMが」
そしてレベルアップらしいSEが。これでレベル2ですか。
ステータスも上がってるな。よしよし。何がよしだよ。
……前途多難だ。