隠れBAR
今日もとある店の開店時間だ。
ここは人生相談に毎日数人のお客様が来る。
この店は知る人ぞ知る人生相談の「BAR」である。
今日も店に明かりが灯る。
カランコロン♪
今日一人目のお客様だ。
「お飲み物はどうされますか?」
店主がそっと聞いた。
すると客はボソッと小さな声で
「オールド・パルで」
そう答えた。
「かしこまりました。ですがなぜまたそのようなカクテルを?」
「何故って?」
「このカクテル言葉は「思いを叶えて」ですよ?何かしら古き友人の方に悩みでもあるのでは?」
「悩みですか、、、そうですね、。」
男はそっと語り始めた。
店主も静かに聞き始めた。
「僕の古い友人にとある女性がいまして、
その女性とは幼馴染でとても仲が良いんです。
でもいつの間にかその女性の事が好きになっていて、、、
でも幼馴染で好きになってはいけないような気がしてしまって。」
男がそう語ると店主はそっと呟いた。
「何故好きになってはいけないのですか?男女の友情や仲の良さなどを超えた先に
色恋沙汰があるのでは?ただその仲の良い期間が人によって長いか短いかであって
恋愛をしてはいけないという決まりはありません。」
「というと?」
「思い切ってその女性に気持ちを伝えてみては?」
「そうですかね、、、」
男はそう答えながらオールド・パルを飲み干した。
「こちらは私からの奢りとしましょう。」
その店主が最後に出してきたカクテルは
‘‘カシスソーダー‘‘だった。
「マスターこのカクテルは?」
‘‘カシスソーダー‘‘です。
このカシスソーダーのカクテル言葉は「あなたは魅力的です」という意味です。
自分の悩みに立ち向かって頑張るあなたはとても魅力的です。
どうか頑張ってください。
男はそのカクテルを飲みながら聞いた。
「あなたは一体、、、、」
「なに、私はただのしがない「BAR」のマスターですよ。」
どうかこの先お気を付けて。
男はそのカクテルを飲み終えて急ぐように店を後にした。
今日も「BAR」に明かりが灯る。