表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

星をつけ栞を挟むこと

作者: まめめめ

 作品を書き始める前。


 誰もが漠然と「こんな物語を書きたい」という思いを持っている。

 あるとき、何かのきっかけで感情が高まって書き始める。


 そして書き始めるうちに、どうしてもこう考えるのだ。

「私が書きたかったのは、本当にこの作品だったのか?」

 技術がないというのもある。

 学校では、物語の書き方など習わなかった。こんなのは、誰かが書いた作品の模倣でしかない。

 読み返すほどに、稚拙に感じられる。

 あんなにも輝いていたアイデアさえも、よく考えたらなにが面白いのか。

 珍しいだけ……いや、そもそも既存の作品にも同じアイデアは取り込まれている。

 珍しくもなく、面白くもない。ならばこんなものを書き続けることに、なにか意味があるのだろうか。


 コンセプトは?


 強み、弱み。機会と脅威は何がある?


 聞かれたときに、答えることが出来ない。

 違うんだ、価値がないはずがない! こんなにも面白い私の作品が、路傍の石と同じなど、認めるわけにはいかない!

 だけど……それはなにが違うのか。

 なにもわからない。暗闇に包まれたかのように。

 前後左右が失われる。

 書く前の、全てを見通していた感覚が失われた。

 真っ直ぐに進めば良いのか。横道にそれるべきか、あるいは引き返すべきなのか。

 白杖をつきながら何もない空間に取り残される。

 苦行だ。恐怖だ。逃げ出したくなる。閉じこもりたくなる。


 そんなとき、一筋の光が差す。

 おそらく何気なくつけられたであろう、たった一つのブックマークに。

 それは「読んでいるよ」という合図であり、同時に「続きを読みたいよ」という言葉でもある。


 星一つであろうと、星五つであろうと、それは「評価に値する」という証拠である。

 まあ、個人的なことを言わせてもらうなら、星一つ(さいていひょうか)をつけるやつはサイコパスだと思うけど。

 もちろん、読者が勝手なルールで「普通だと思ったら星一つ」とするのを、禁止することなどしない。

 だけど、それは作者に対して「おまえの作品は、星二つをつける価値すらない」って伝えているわけだからね。

 作者がなにを考えようと俺には関係ない? まあ、そうでしょうね。そうやって『他人を理解しない人』のことを、一般的にサイコパスと呼ぶわけです。

 つまり貴方はサイコパスだ。

 Q.E.D.


 まあともかく。

 つまり読者方が本当に何気なくつけている評価というのは、それほどまでに影響力を持っている。

 いやもちろん、読者方の健全な読書を阻害しようなどとは考えておりません。

 だけど、低評価をつけられたり、ブックマーク数が減るというのは、作者にとって衝撃が大きいのです。


「ああ、これは読者が求めている作品ではなかったのか」


 小さな数値の変動で、そんなことを考えてしまうほど。作者にとって世界は暗い。

 道なき道を、直感だけを信じて進む。


 何より怖いのは、評価されないことではない。

 書こうと思っていた理想からいつの間にか離れ、得体の知れない黒歴史が生まれてしまうことが、何より怖い。

 そんな作者を救うのは、結局のところ読者しかいないのだ。




 なんて、そんな考えもあるのかな。

 私にはよくわからないけど。

ご意見あるかたはご感想ください

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 確かにものを書きながら「あれ、これって面白いのかな……」とドキドキしてしまうこと、あります。 投稿してみた時にも、大丈夫だろうか……と不安になったり。 そんな時、評価やブックマークをしてくだ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ