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第4楽章 成長

第4楽章 <成長>



気持ちの良い朝日とともに目を覚ますと、お腹のあたりに痛みが走る。

昨日、アジリタに突進されたところがまだ完全に治っていないようだ。

いろいろと考えたいこともあり、今日は依頼をしに行くのはやめにした。



僕はベッドに横たわったまま昨日のことを思い返す。

アジリタに援護魔法をかけたあの人は、誰だったのか。アジリタの強化され方を思い返し、援護魔法が強化されるバリエシの可能性が高い。そして、何の目的だったのか。分からないことだらけだ。なんにせよ、僕の物理攻撃に対抗する方法がないことが露わになった戦いだった。昨日は、怜奈がいたから魔法で何とかなったものの、誕生日の日の真実を突き止めるためには戦いは避けられない。強くなるためには、自分が魔法を使えるようになるか、仲間を増やさなければならないと考えていた。



そんなことを考えていると、

「海空~、お客さんよ~。」

僕にお客なんて来るのかと疑問に思いつつ、玄関に向かう。

その途中におばさんに

「海空も隅には置けないわねっ。」

と肩を叩かれたが、僕は何の事か分からず向かうと、その理由が分かった。

「怜奈か、どうしたの?」

「昨日のお礼、できてない」

「昨日のお礼?そんなのいいのに」

「私がダメなの!」

そういって、ウルウルとした目で見つめてくる怜奈を断ることができるはずもなく

「じゃあ、魔法を教えてほしいかな」

「魔法?」

「うん、僕魔法使えないから」

「え!!そうなの?!あんなに強かったら、てっきり使えるのかと思ってた。」

「ちょっと訳があってね、、、ここじゃ魔法は打てないから広いところに移動しようか。」

そういって僕らは家を出る。




広場に着き、まず怜奈の魔法を見せてもらうことにした。

「ドッピオ」

詠唱の後、火の玉が飛んで行った。

ノイズもしっかりと聞こえ、「ド」の音だった。

怜奈がすごいでしょと言わんばかりにドヤ顔をしてきたので、一応褒めておきながら

僕も見よう見まねで何度かやってみるができなかった。

「驚いた。ほんとに魔法使えないんだ」

「パート無しなんだから仕方ないだろ」

「え!?海空ってパート無しなの!?どうして!?」

怜奈は勢いよく迫りながら問い詰めてくる

「どうしてってそう言われたんだから。そんなことよりも、魔法の続きお願い」

「そんなことって、、、」

とため息をつきながら怜奈は再開してくれる。





しかし、怜奈が何度丁寧に教えてくれても僕が魔法を打てるようにはならなかった。

「海空、ほんとにパート無しなのね。

 あんなに簡単に魔獣倒しちゃうんだから何かの間違いかと思ったわよ」

「あれは、ノイズが、、、」



「それだ!!」

僕はその時、ひらめいた。

そして、試してみる。

「ドッピオ」

すると、火の玉が手から放たれる。



「お~!できた。」

「できたわね、おめでとう!でも、どうして、、、、、、、、」

怜奈が話しかけていたが、それ以上に気になることがあった。

今まで、詠唱しても魔法が出なかった。でも、


頭の中で音を鳴らす、音を思い浮かべる


事で魔法が打てた。ということは、

「ねえ、聞いてる?」

と、尋ねてくる怜奈をよそに僕は右腕を水平に前に上げ、魔法の準備をする。

そして、イメージする。

「ド」の音と炎を

すると、さっきと同じように火の玉が放たれる。



「よしっ」



「「よしっ」じゃないわよ、よしっ、じゃ

 今なにしたのよ!!」

「何って魔法だけど?」

「そんなの見ればわかるわよ。いま海空、詠唱しなかったよね?どうやったのよ」

「どうって、言葉じゃ難しいなぁ」

僕が戸惑っていると、怜奈はまたため息をつく。

「まーいいわ、助けてくれた時から海空は普通じゃないと思ってたし。

 やっぱり、パート無しって間違いなんじゃない?」

「魔法が打てることが分かったし、パート無しでも問題ないかな」

「海空がそう言うなら、それでいいけど。

 無詠唱魔法なんて普通の人はできないんだから、人前であまり使わないようにしなさいね」

「怜奈、今日はありがとね」

そういって、僕は怜奈の頭を撫でる。

怜奈は少し頬を赤らめながら頷く。

「もう遅くなったし、帰ろうか」

そういって、僕らは家に向かって歩き始めた。

行きとは怜奈との距離が少し近く感じるのは気のせいだろうか。

それから僕は、怜奈を家まで送り届け、うちに帰り、そこからはぐっすりと眠りについた。





目が覚め、お腹の痛みがなくなっていたので今日から依頼を再開することにした。

一通りの準備をして、玄関の扉を開けると、そこには

怜奈が立っていた。

「おはよう、海空。」

「お、おはよう。なんで怜奈がいるの?」

「なんでって、私居ちゃいけないの?

 私、海空とクワイアを組むことにしたの」

「どうして僕と?」

クワイアとは冒険者同士でチームを組むグループのことで、依頼などを一緒にこなしたりする。

「海空は強いから、一緒に居たら私も強くなれるかな~って思って。」

「僕なんかでいいの?」

「海空だからだよ。」

「分かった、じゃあ宮殿に申請しに行こうか。」

「うん!」

そういって僕らは肩を並べ、宮殿に向かって歩き始めた。






「○○様、海空の始末失敗してしまいました。

 アジリタに強化魔法をかけたのですが、邪魔が入りまして、、、、」

「言い訳は要らん!!とっとと始末してこい。次はないからな」

「ははっ」

絶対音感の方がいらっしゃれば、この表現は違うとか指摘してくださるとありがたいです。

Copyright(C)2021-みっちゃん

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