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光の勇者と闇の処刑人 ~天才の弟が頼りないので、凡人の私が暗躍しなければならない~  作者: 結城 からく


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第5話 勇者の現状

 盗賊の森から村人達を救出して数日後。

 僕は街の傭兵酒場に来ていた。


 ここは仕事の斡旋施設として機能しちている。

 日々、様々な依頼者と傭兵が訪れて、両者を引き合わせるのが店の役割だった。


 それなりの仲介手数料を差し引かれるそうだが、傭兵酒場は国営だ。

、問題が起こった際は中立的な立場として対処してくれるため、ここを利用する者は多かった。

 活躍次第では騎士団への勧誘もあるため、傭兵達も嬉々として利用している。

 小遣い稼ぎの場としても最適なのだ。


 僕は勇者と呼ばれている。

 ところが現在は国からの支援もなく、その実態は傭兵に等しいものだった。

 だから生活費の確保と鍛錬を兼ねて、人助けになるような依頼を探さなければならない。


(明日はどの依頼を受けよう?)


 僕は室内の壁に設けられた掲示板を確かめる。

 ここに依頼内容の記された紙が貼られる決まりだった。


 現在もいくつかの依頼がある。

 それぞれに概要や報酬や期間、要求される技能等の必要事項が記載されていた。


 傭兵達はこれを参考に仕事を選ぶ。

 基本的には得意分野の依頼をこなすのが定石だった。


 護衛や魔物討伐が圧倒的に多数だが、たまに暗殺依頼も紛れ込んでいる。

 そういった類は隠語を用いられており、一見すると分からないように工夫されていた。

 目印になるのは、簡単そうに読める依頼内容と、異様に高く設定された報酬金額である。


 国も暗殺を黙認している。

 傭兵酒場には、無法地帯としての側面もあるのだった。


 もっとも、僕はそういった怪しい依頼を受けないようにしている。

 これでも勇者なのだ。

 犯罪になりかねない仕事はやりたくない。


 だから普段から選ぶ依頼は、通常の魔物討伐がほとんどだった。

 本当は護衛依頼もできると嬉しいけど、今の僕の実力ではそれも難しい。

 臆病な性格のせいで、まともに戦うことができない。


 訓練と同じ力を発揮できるなら、もう少しマシなのだった「。

 まずは心の弱さを克服しなければならなかった。


(光魔術も上手く使えるようにしないと。これじゃあ魔王は倒せない)


 僕は世界に選ばれた勇者なのだ。

 選ばれた以上はその責務を果たす必要がある。

 光魔術の習得は急務であろう。


 いつか魔族との戦いで切り札になってくるはずだ。

 しかし、僕は未だに光魔術がほとんど使えない。

 魔力不足はないのだから、単純に精神力が欠けているはずだ。


 あらゆる面で弱さを、痛感せざるを得ない情けない男。

 それが僕の自己評価であった。


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