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光の勇者と闇の処刑人 ~天才の弟が頼りないので、凡人の私が暗躍しなければならない~  作者: 結城 からく


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第39話 孤独な調査

 闇に覆われた洞窟。

 その最奥にて、私は無数の魔族に囲われていた。

 代表らしき山羊頭の魔族が、高らかに笑いながら偉そうに発言する。


「ぐわははははははぁっ! 我らの城に単騎で乗り込むとは、命知らずもいたものだ。名乗れ。特別に許可をやろう」


「…………」


 私は無言で視線を返す。

 端から会話に応じるつもりはなかった。

 今考えているのは、魔族の規模と戦力だ。

 どうすれば効率よく始末できるのか。

 それだけに尽きる。


 ところが魔族は勘違いしたらしく、ますます調子に乗っていた。

 挑発的な言葉と表情で畳みかけてくる。


「何だ。早く名を言え。あまりの恐怖で舌が回らないのか?」


「……るせーよ」


「ん? 聞こえぬな。もっと声を張れ」


「うるせーって言ってんだよダボがァッ!」


 怒りが限界突破した私は、叫びながら大地を蹴る。

 音を置き去りにする速度で山羊頭も魔族に突進し、手刀で胴体を切り裂いた。

 迸る血飛沫を浴びながら宙返りし、だらしない顎に蹴りを食らわせる。


 仰け反った魔族は、苦痛と驚愕で顔を歪ませながら睨んできた。


「ぐぁ、貴様っ!?」


「さっさとくたばりやがれ」


 闇を纏った私は、初撃の数倍の速度で拳をねじ込む。

 その一撃は、魔族にとっては過剰な威力だったらしい。

 瘴気を内包する巨躯が爆散した。

 木端微塵になった血肉が周囲を汚し、仲間の魔族に降りかかる。


 魔族達は呆然としていた。

 予想外の事態に頭が追い付かず、自分達の頭領が崩れ落ちる様を傍観する。

 やがてまだ眼前に敵がいることに気付いて、反撃に移ろうとした。


 その時点で、洞窟内の魔族の八割が死に絶えていた。

 奴らが間抜けな顔をしている間に私が殺したのだ。


 何も難しいことではない。

 光の届かない洞窟内は、闇魔術の領域である。

 つまり私の独壇場だ。

 闇は魔族側にも良い影響をもたらすが、それ以上に私の利得となっていた。


 仕上げに残る魔族を叩き潰せば、洞窟内の制圧は完了だ。

 血みどろになった私は、手頃な岩に腰かけて休憩する。


 今ので殺した魔族は総勢三十体ほどだ。

 傘下の魔族を加えると五百体程度だろうか。

 こいつらは人間の街にほど近い渓谷に潜伏し、密かに侵略計画を進めていた。

 その情報を掴んだ私が、迅速に壊滅させたというわけである。


 現在、私は王国各地を巡り、魔族殺しの旅を続けていた。

 様々な策略を潰し、人間側――より正確に言うと勇者リュースが有利となる盤面を組み上げている最中である。


 弟の邪魔は誰にもさせない。

 そのためならば、茨の道でも突き進む覚悟があった。

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