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光の勇者と闇の処刑人 ~天才の弟が頼りないので、凡人の私が暗躍しなければならない~  作者: 結城 からく


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第17話 暗躍する姉

 濃密な鍛練を経て、リュースの戦法もようやく定着した。

 以前までは剣と盾という無難な装備だったが、現在は杖と盾というスタイルで戦うようになっている。

 剣は腰に吊るして、いざという時の副武器になった。

 咄嗟の際は使うものの、基本的には頼らないという方向だ。


 代わりに主な攻撃は、杖による光魔術の行使となっている。

 反撃は盾で防ぐという形だ。

 アイニスは、リュースの勇者としての部分――すなわち光魔術の制御を優先したいと考えた。


 魔術を鍛え上げれば、格上の魔族だろうと優位が取れる。

 術式次第で防御にも使えるため、最終的には盾すら必須ではなくなるだろう。

 汎用性で考えると剣士スタイルより優秀である。


 私個人としては、まずは剣術の基礎固めをしたかった。

 身体能力を底上げする機会にもなり、恐怖心を殺すための訓練にもなる。


 ただ、それが上手くいっていないことも自覚していた。

 リュースは落ちこぼれの傭兵として扱われていたのだから。

 長い目で見て同じ方針を続けてもいいが、せっかくアイニスに出会ったのだ。

 ここは彼女のやり方に頼ってみるべきだと思う。

 とにかく、リュースは勇者として着々と成長しているのだった。


 彼の飛躍に伴って、私もようやく自由に動ける。

 今まではリュースの補助で手一杯だったが、そこはアイニスが担当になった。

 以降は影に徹する私にしかできないことに着手していきたい。


 具体的には、勇者に敵対する勢力への攻撃だ。

 たとえばこの街の領主は、表向きは善良だが裏では魔族と繋がっている。

 勇者暗殺に賛同し、密かにリュースの命を狙っているのだった。

 何らかの情報筋からリュースの素性を知ったのだろう。


 向こうにとっての誤算は、その計画を私が知っていることだ。

 この辺りのことは機密騎士隊が調べ尽くしていた。

 王国内の反乱分子として警戒していたらしい。


 領主がリュースの敵となるのは明白だった。

 ここは先に動いて叩き潰すのが賢明であった。

 そして、功績をリュースに預けるような形に運んでいければいい。


 別にやれないことはないだろう。

 暗躍は私の得意分野だ。

 リュースも徐々に成長してきたので、大きな功績を貰っても大丈夫だと思う。

 むしろ、その過大評価を乗り越えるくらいの気概でいてほしい。


 数日後、私はアイニスに相談した。

 そして計画を実行に移すため、二人のもとを離れるのであった。

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