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光の勇者と闇の処刑人 ~天才の弟が頼りないので、凡人の私が暗躍しなければならない~  作者: 結城 からく


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第15話 旅の供

 三日後。

 いつもの鍛練が終わったところを見計らって、アイニスが行動に出た。

 彼女はリュースの仲間になりたいと本人に申し出た。

 傭兵として名を挙げたいという建前だった。


 無論、実際の素性は機密騎士なので違う。

 王国の利益になると考えての志望している。

 ただし、そのようなことをリュースが知るはずもない。

 彼にアイニスは、ただの親切な傭兵だった。


 仲間希望についてリュースは大反対した。

 危険な旅にアイニスを巻き込みたくないと考えたのである。

 それだけ大切に考えているのだろう。

 親身になって鍛練に付き合ってくれる彼女に、多少なりとも行為を抱いたのかもしれない。


 加えてリュースは自分が半人前であることも理由に挙げた。

 弱い自分がアイニスに頼りすぎることを危惧したのだ。

 確かにそこは考えるべき点と言えよう。

 単独行動の方が大変な局面は多く、自然と鍛え上げられることも多い。

 アイニスがいることで苦労は確実に減るだろう。

 故に己のためにならないとリュースは考えていた。


 ところがアイニスも折れない。

 何度も説得しては、リュースを篭絡しにかかった。


 この点において彼女は強かった。

 機密騎士は様々な技能を習得している。

 アイニスの場合は話術や交渉術も得意としているらしく、反対するリュースの意見を残らず捻じ伏せた。

 そして最終的にリュースが押し切られる形で仲間となった。


 見事と言う他あるまい。

 素人のリュースが勝てるはずもなかったのだ。

 これには同情してしまいそうになる。


 そして現在。

 二人は傭兵酒場で受けた依頼を実行中だった。

 隣町まで遠征し、地元の兵士に混ざって森の魔物を駆除する仕事を受けたのである。


 道中、アイニスは水筒を持ってリュースに話しかける。


「リュース君、喉は渇いてない?」


「大丈夫です。ちゃんと予備の水も買ってありますし」


「さすがだねぇ。準備万端じゃん」


「勇者になって旅の支度は上手くなりました。剣術はまだまだですが」


 リュースは自虐的にぼやく。

 するとアイニスは彼の頬を手で挟み、真剣な顔で語りかけた。


「前も言ったけど、君の戦い方はこれから考えていく段階なんだ。焦らずに色々試してみるべきだよ」


「そうですよね……ありがとうございます」


「気にしないで。わたし達、もう仲間じゃん!」


 アイニスは胸を叩いて笑う。

 それに釣られてリュースも笑顔になった。


 一方、二人のやり取りを樹木の影から見下ろす私は、少し釈然としない気持ちになる。


(なんだか距離が近くないか……?)


 しかし、アイニスの助けは大きい。

 彼女のおかげでリュースはさらに成長できる。

 二人の距離が縮まることに異議を唱えたいが、これもすべて勇者稼業のためなのだ。

 私情を優先して仲を壊すべきではないだろう。

 どこか誇らしげに私を一瞥したアイニスを睨んで、そう思った。

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