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光の勇者と闇の処刑人 ~天才の弟が頼りないので、凡人の私が暗躍しなければならない~  作者: 結城 からく


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第10話 勇者と傭兵

 リュースとアイニスは街を出て草原に移動する。

 街の近くなので魔物や盗賊も滅多に出てこない場所だ。

 たまに近くを仕事帰りの傭兵や行商人が通りかかるくらいだった。


 私はそばに生えた樹木の影に潜んで観察する。

 闇魔術を習得すると、どこにでも隠れられるようになる。

 ひとまず両者のやり取りを見守ることにした。


 リュースとアイニスは一定の距離を取って対峙する。

 アイニスは手招きしながら発言した。


「まずは試しに攻撃してみて」


「で、でもそれは危ないんじゃ……」


「君の剣なんて当たらないから大丈夫。遠慮なく仕掛けてきてね」


 アイニスは挑発的に言うも、不思議と悪意はなかった。

 純粋にリュースの実力を確かめようとしているのか。

 油断や慢心はなく、むしろその目は冷徹である。

 勇者の戦いを見極めようとしていた。


 真面目な雰囲気を悟ったのか、リュースも静かに剣と盾を構えた。

 防御重視の型を保ちつつ、姿勢を低く落とす。


「……では、いきます」


「うん、どうぞ」


 アイニスが答えた瞬間、リュースが前進した。

 カウンター狙いの突進だ。

 相手の初撃を防いで、確実に反撃を当てにいくつもりらしい。


 リュースにしては好戦的な判断だが、やや軽率な行動であるのは否めなかった。

 格上が相手ならば尚更である。


(防御を崩されれば押し切られるぞ……)


 私は懸念しながら観察する。


 リュースの突進に対し、アイニスは両手を持ち上げて構えてみせた。

 武器は持っていない。

 計十本の指を緩く開いて迎撃の型を取っている。


(格闘術か)


 アイニスは腰に短剣や棍棒を吊るしている。

 変則的な剣士かと思いきや、どうやら早とちりだったらしい。


 そこにリュースが攻撃を仕掛ける。

 突進の勢いを乗せて盾の殴打を見舞おうとした。


「甘いよ」


 アイニスが微笑し、振るわれた盾を手の甲で受け流す。

 力の流れを読んでずらしたのだ。


「うわっ!?」


 リュースは大きく前のめりになる。

 あまりにも隙だらけな姿だった。


 そこにアイニスの膝蹴りが迫るも、鼻先に当たる寸前で止められる。

 彼女は微笑を深めて言う。


「これで私の一勝ね」


「くっ……」


 リュースは悔しそうに剣と盾を下ろす。


 それを見たアイニスは、軽々と跳躍して再び距離を取った。

 彼女は先ほどと同じく格闘術の構えを作る。

 まだ鍛練は序の口ということらしい。


 気合を入れ直したリュースは、果敢にも攻撃を仕掛けるのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 第10部分到達、おめでとうございます! [気になる点] リュースが自らの弱さを克服できるか否か。 [一言] 続きも楽しみにしています!
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