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獣ヶ森でスローライフ  作者: ふーろう/風楼
第十二章

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カボチャデザート



「そう言えばカボチャを冬至に食べると風邪を引かないって話があったよな」


 皆でカボチャを楽しむ中、テチさんがそう声を上げる。


「あるね、カボチャは栄養豊富だから、自然とそう言う話が出来上がったんだろうねぇ。

 ……カボチャには他にも色々ジンクスみたいな話があって、人差し指を向けると指が腐るとかカボチャが腐るとかも言われていたらしいよ。

 だから四国の方では指ではなく拳を向けてカボチャを数えていたとか、あとは大きなカボチャは不幸を招く、だったかな。

 だけど皆で分けて食べたら皆で幸せになれるとか。

 昔から美味しくて栄養たっぷりってことで知られていたから、そういう話が生まれていったんだろうねぇ」


「おー、カボチャ凄い!」

「凄いですねぇ」

「すごい!!」

「すごーい!」


 コン君、さよりちゃん、由貴、ヤノハちゃん、子供達もそう続いて、皆笑顔でカボチャを楽しむ。


 今までも何度もカボチャを食卓に上げてきたけども、今日は特別楽しんでくれていて……美味しいカボチャだったというのもあるけども、皆で楽しめているのも大きいのかもしれないなぁ。


「……カボチャはご飯としてだけじゃなく、カボチャプリンやカボチャパイといったデザートとしても美味しいから、今度はそっちで楽しんでも良いかもね。

 まぁ、デザートとして食べる場合は俺よりもレイさんに任せた方が美味しいのを楽しめるとは思うけども。

 今度レイさんに頼んでカボチャデザートパーティでもしてみる?」


 俺がそう言うと子供達の目は一気に輝く。


 そして大盛りあがり、今たっぷりとカボチャを食べたばかりだというのに、もう今すぐにでも食べたいといった勢いだ。


 食事を終えたら食器を片付けて歯磨きをし……しかしワクワクとソワソワは止まらず、こちらをチラチラ見てきたりもする。


 それに根負けした俺はスマホを取り出して、レイさんのお店に電話をする。


 そしてカボチャデザートパーティのことを伝えてから、スピーカー通話にし、スマホをテーブルに置いてレイさんにそれを伝える。


『カボチャデザートか、ならまず王道のプリンだよな、甘くて濃厚でココナッツミルクで作っても美味しいんだぜ。

 そしてチーズケーキ、カボチャとチーズの相性って凄く良いんだ、どっちも濃厚で溶け合うようで、濃厚なチーズな程美味しくなるんだ。

 あとは焦がし気味にして風味を出したベイクドケーキも良いし、カボチャ羊羹なんてのもあるな。

 あとはガトーショコラ風のガトーカボチャとか……カボチャデザートパイ。

 カボチャチップスとかもオレは好きだが、皆が求めてるデザートじゃないよな』


 そんなレイさんのプレゼンで子供達は大盛りあがり、食べたことはないけども子供達なりに味を想像して口の中でうじゅると音を立てる。


 これはもう止まらないだろうなぁ。


『あっははははは! 皆夢中っぽいな!

 どれも楽なデザートだから、夕方には山盛り作って持っていってやるぞ。

 ただし、それだけのデザートが食べたいなら元気いっぱい、体を動かさないとな。

 ちょうど雨も上がったみたいだし、お手伝いでも鍛錬でもなんでも良いから体を動かして待ってな。

 実椋、なんか他に注文はあるか?』


「あー……アイス系を一種類お願いします。

 あとはレイさんにお任せします」


『カボチャアイスとはセンス良いなぁ、分かった用意しとく。

 んじゃまた夕方にな』


「まってるー!」

「おまちしてます!」

「まってるー!」

「まってるよーー!!」


 すると子供達は元気いっぱいな声を上げて……そしてそれからすぐに外行きの準備を始める。


 肌寒くなってきたので上着を羽織って、鍛錬用の棒も用意して……準備が終わったら庭に出ての大暴れ。


 いつもの鍛錬とか遊びの勢いではなく、本気の大暴れ……余程カボチャデザートが楽しみなのだろう、その勢いが衰えることはない。


 そうして子供達は夕方まで目一杯遊び周り……その監督をテチさんがし、その間に俺は家事をこなし、お茶やら子供達の着替えやら、汗を流すためのお風呂も用意しておく。


 ヘトヘトになるまで遊んだ子供達はテチさんの手でお風呂に連れていかれ、汗を流し毛並みを整え……着替えが完了したなら居間で待機。


 そうこうしているとレイさんの配達車がやってきて……子供達は駆け出し全力でのお出迎え。


「時期は全然ズレているが、ハッピーハロウィーンだな!

 カボチャパーティだからまぁ、同じようなもんだろ!

 ほら、これがデザートだ、皆で持っていきな!」


 と、エプロン姿のレイさんが、色々なケースを子供達に渡していって、子供達は元気いっぱい居間まで運んでくれる。


 わざわざ由貴用に小さなケースまで用意してくれたようで、由貴も参加してのデザート運搬だ。


 それが終わったなら皆で席について……大人達で淹れた紅茶の香りを楽しみながらケースを開封していく。


 さっき電話で言っていた品々は、俺が予想していた以上のクオリティだった。


 いやまぁ、プロの仕事なんだから当たり前なんだけども、ただのカボチャデザートじゃなくて猫や犬、カボチャの幽霊なんかを模した細工が乗せてあるし、クリームで絵が描いてあったり、練り物? の人形があったりと、凄まじい出来の良さだ。


 よくこんな短時間で作ったものだと驚かされてしまって、唖然としているとレイさんはウィンクをし、俺はプロだぜとでも言いたげな顔。


 いや、うん、本当にプロの仕事を見せてもらえたなぁと敬意しかない。


 そして……子供達と一緒に食べ始めると、その味でも驚かされる。


 興味を持ってカボチャチーズケーキを食べてみたのだけど濃厚で……チーズもこれかなり手をかけてとろとろにしているようで、カボチャとチーズ2つの濃厚さがくっきり分かれているのが、なんとも面白い。


 食べた瞬間二種類味わえて、噛んでいるとそれが混ざって新しい味になって……本当にプロの技なんだなぁと感心するしかない。


 子供達も同じようで皆無言で夢中で食べていて……それからしばらくの間、カボチャパーティは、思っていた以上に静かに進むことになるのだった。



お読みいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
おやつなら、カボチャチップスもおいしいよね。
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