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獣ヶ森でスローライフ  作者: ふーろう/風楼
第十二章

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カボチャ料理


 

 と、言ってもカボチャグラタンの作り方は凄く簡単だ。


 まず種をしっかり取ったカボチャにラップをかけてレンジへ。


 熱め長めでしっかり加熱、その間に玉ネギとベーコンを薄く切っておいて、レンチンが終わったら玉ネギとベーコンをフライパンで炒める。


 オリーブオイルとバターでじっくり、塩コショウで味を整え、一口サイズに切ったカボチャを投入、しっかり火を通したら牛乳を入れてカボチャが溶けてとろとろになるまで煮込む。


 この際カボチャを潰してしまうと食感が悪くなるので潰さないようにし……カボチャ色のクリームのようになったら耐熱皿へ。


 それからたっぷりとチーズを乗せて予熱したオーブンへ。


 あとはじっくり焼いて、乗せたチーズに焦げ目がつけば完成。


「寒くなった頃とかハロウィンに食べるのにちょうど良いかな。

 あとは嫌がる人もいるかもしれないけど、ご飯に乗せても美味しくなるね、カボチャグラタン丼」


 人数分のグラタンを用意しながらそんなことを言うと、いつもの椅子に座ったコン君が言葉を返してくる。


「あー! にーちゃんってカボチャご飯好きだよね。

 由貴ちゃんにも結構食べさせてあげてるよね」


「ああ、うん、由貴もカボチャご飯は好んで食べてくれるからねぇ」


 甘いカボチャならそのまま茹でるかレンチン、そうでないカボチャなら甘じょっぱく煮て味付けをして。


 ホクホクのものをご飯に乗せて混ぜて……それで完成カボチャご飯。


 普通に美味しいと思うし、カボチャは栄養も豊富、体に良い栄養がたっぷりなので日常的に食べておきたい野菜の一つだ。


 実は種やワタと呼ばれる部分、皮も栄養たっぷりなのだけど……流石にそこまでは由貴が食べてくれないので、出来るだけ除外するようにしている。


 普通に本体を食べるだけでも栄養的には十分だしねぇ。


「カボチャグラタンに使うカボチャは、甘さがないカボチャでも良いけど……甘いカボチャでやるとより美味しくなるからオススメだねぇ。

 カボチャ、ニンジン、トマトは栄養価が凄く良いから一人暮らしするようになったら積極的に食べると良いよ」


 そう言葉を続けるとコン君はメモをし始め……さよりちゃんもアゴに手を当てて「なるほどー」なんて声を上げている。


 更にヤノハちゃんも俺の隣に立っての見学モードで……何を思ったか手を伸ばしてまだ火を入れてないカボチャを掴んで大きく開けた口に入れようとしてしまう。


 慌ててその手を掴んで止めた俺は、カボチャを取り上げながら更に説明を続ける。


「……基本的にカボチャは生で食べないようにね。

 消化しにくいからお腹を壊しやすいんだよ……獣人ならもしかしたら平気かもしれないけど、美味しいものではないから無理に食べる必要はないと思うよ。

 生で食べて良いっていう品種もあるにはあるんだけどね……それでも火を通すのが一番かな。

 ニンジンなら生でも良いんだけどねぇ……そうすることで摂取しやすくなる栄養もあるし。

 すりおろしたりすると消化しやすいから尚良しだね」


 するとつまんなさそうに口先をすぼめたヤノハちゃんは、台所の隅に置いてある、野菜を入れた段ボール箱に目をつけて……そこからニンジンを一本掴み取り、食べようとしてしまう。


 俺は慌ててそれも取り上げ……綺麗に洗ってあげてからヤノハちゃんに返し「どうぞ」と声をかける。


 するとヤノハちゃんはにっかりと笑ってポリポリと食べ始める。


 御衣縫さんの畑で採れたそのニンジンは生でも甘くて雑味がなくてとても美味しい。


 すりおろしたならジュースかと思う程の味になってくれる代物で……ヤノハちゃんもニッカリと笑って楽しんでいる。


 ……多分、まだ料理に興味を持てず暇だったのだろう、だからイタズラとつまみ食いをしたくなったという所かな。


 まぁ、うん、ある意味で子供らしい。


 コン君達のように素直で良い子な方が珍しいのだから、このくらいは仕方ないと思わないとなぁ。


 とりあえずヤノハちゃんはニンジンを齧ることで落ち着いたのでカボチャグラタンを仕上げていく。


 途中コン君達がヤノハちゃんを羨ましそうに見始めたので、コン君達の分のニンジンも用意してあげて……焼き上がったグラタンから居間へ持っていって食べてもらう。


 帰ってきたテチさん、由貴、それからヤノハちゃん、さよりちゃん、コン君、そして俺の順番で。


 自分のグラタンと茶碗を持って居間に向かうと、皆カボチャグラタン丼にして食べていて……うん、すっかりと俺の趣味が広がっているようだ。


 まぁ、そうだよなぁ、台所を預かる人の趣味に染まっちゃうよなぁ、どうしても。


 そんな様子を見ながら「いただきます」と声を上げたなら丼にして、ホクホクあつあつなのをゆっくり食べていく。


 トロッとしていて甘くて、チーズの香りと味がたまらなく、飽きることなく食べ進めることが出来る。


 下手に混ぜたりはしないで、それぞれの味をしっかり楽しみ……うん、季節の味って感じだなぁ。


 今はまだそこまで寒くないけど、真冬となるとこれがたまらない味になってくれて……こたつに入りながら、ストーブの熱に当たりながら食べるとまた最高なんだよなぁ。


 由貴もヤノハちゃんも気に入ってくれているようで、スプーンを激しく動かしながら食べ進めていて……結構な量にしたのに、あっという間に無くなりそうだなぁ。


「にーちゃん、カボチャうまいよ! オレ、元々嫌いじゃなかったけど、これだともっと好き!

 ボサボサしてない!」


 と、コン君。


「あー……味は好きだけど食感が嫌いって人は多いかもねぇ。

 その場合はグラタンまでいかなくても塩コショウと牛乳でポタージュにすると楽しめるかもね。

 食感がどうしても気になるなら、布でこしたりするとより滑らかになって舌触りがよくなるよ。

 まぁ、俺は多少食感が残るくらいが好きだけども……。

 後はカボチャプリンとかのお菓子系にするとかかな。

 まぁでも、ポタージュかグラタンくらいがご飯に合って良いかもね」


 俺がそう返すとコン君は、そっちも食べてみたいと目を輝かせるが……流石にほぼ同じ味付けを連続は飽きてしまうはず。


「また今度ね、美味しいポタージュの準備しておくから」


 と、そう言うことでコン君を納得させた俺は、何はともあれ今は目の前のグラタンだと、スプーンを構えてあつあつグラタンを口に運ぶのだった。



お読み頂きありがとうございました。

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