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獣ヶ森でスローライフ  作者: ふーろう/風楼
第十二章

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夏の掃除



 本日は夏の大掃除の日。


 大晦日の大掃除とは違って、家具は動かしはしないけども、いつもよりは気合を入れて掃除をしていく。


 たとえば廊下掃除。


 まずは掃除機、次にクイックルなので拭き掃除、それから次亜塩素酸水スプレーでの消毒を行って……少し待ってからまた拭き掃除。


「にーちゃん、その次亜塩素酸水ってなぁに?」


 俺を手伝うためか、割烹着にマスク姿で足元をちょろちょろしていたコン君が問いを投げかけてきて……俺は拭き残しのないよう、丁寧に拭き掃除をしながら言葉を返す。


「消毒殺菌用のものだね。

 普通に市販されていて、値段もそんなに高くなくて……消毒力は抜群。

 特にノロウィルスの中毒の時とかに使うものかな、ノロに感染した人が吐いたり、トイレをしたりしたら、その後をこれで徹底的に掃除するんだ。

 そうすると他の人への感染を防げるという訳だね。

 ……で、今なんでそれを使っているのかというと、買い置きがそろそろ古くなってきたから、そろそろ使い切って買い直そうかと思ってね。

 我が家では今のところ食中毒騒動とか起きてないから、ほとんど使ってないんだよねぇ」


 ほとんど、であり、全く使っていないという訳ではない。


 ノロではなくても誰かが吐き下した時には使うようにしているし、大掃除の際にもこんな風にして使うようにしている。


 次亜塩素酸水はノロにだけ効く訳ではない、様々なウィルスにも効く訳で……気付かないうちにそこにウィルスが残るという事態を避けるためだ。


 他にもテチさん達が狩猟をしてきた際には、服や道具、解体場所の殺菌をすることもあるし、調理に使った道具に使うこともある。


 まぁ、台所製品にはそれ専用の洗剤を使うようにしているので、中々使いはしないが、たまーに使うこともある。


「我が家には由貴がいるから、出来るだけ衛生には気をつけているんだけど、これを口に入れちゃうのはそれはそれで危険だから、殺菌消毒が終わったらしっかり拭き取るのを忘れずに、だねぇ。

 しっかり消毒、綺麗に拭き取り……たまにしかしないけど、たまにはこれくらいの手間をかけるのも良いかなって」


 と、そう説明するとコン君は、ふんふん言いながら頷き、拭き掃除を手伝い始めてくれる。


 コン君が持つのは小さなクイックル。

 

 主にタンスとかを掃除する用のものだけど、コン君の体格で持つにはそれがちょうど良く……二人で丁寧な拭き掃除をしていく。


 廊下が終わったら各部屋の拭き掃除、窓も拭いてタンスやドアノブなど、手が触れる場所も綺麗に拭き上げて……それが終わったなら窓をしめて周る。


 掃除中は窓全開、これは我が家の基本で……窓を締め終わったらすっかり暑くなってしまった家の中を冷やすため、クーラーをオンに。


 今日はテチさんと由貴、さよりちゃんが由貴の定期検診ということで病院に行っているので、家にいるのは俺とコン君だけ。


 そういう訳で男二人でシャワーを浴びて、コン君の毛皮の手入れもしてあげて……終わったなら居間での休憩タイム。


「……コン君、今日は何食べたい?」


 と、コン君に声をかけると、


「ん~~……にーちゃんって1人の時、何食べてたの? たとえば朝とかどんなご飯?」


 なんて答えが返ってくる。


「ん? それは色々だよ。

 今まで作った料理とか、冷凍食品、カップ麺だって食べていたし……忙しい時は手抜きセットかな。」


「手抜きセット?」


「うん、まず納豆卵かけご飯、茹でただけのブロッコリー、トマトを丸ごと、スーパーで買ってきた千切りキャベツにコールスロードレッシングを混ぜたもの……以上のセットだね」


「……それってご飯なの? えっと、栄養とか足りてるの??」


「んまぁ、足りてない部分もあるけど、朝はそんなものかなって。

 あとは通勤中に飲むヨーグルト飲んだりして……仕事中にミックスナッツを摘んだりもしているから、そこまで悪い栄養バランスじゃなかったんだよ。

 それに納豆も生卵も栄養価は悪くないからねぇ……それがただ混ぜるだけで良くて、他のもそこまで手間がかかってない。

 トマトもブロッコリーもキャベツも、手に入りやすい割に食べやすくて体に良い栄養素たっぷりだから、悪くないんだよ。

 ……コン君も大人になったらどんなに忙しくても一日1個のトマトと、納豆と生卵辺りは忘れないようにすると良いよ」


「……そっかぁ。

 まぁ、どれも嫌いじゃないからいーけど……忙しくてもカレーくらいは食べたいなー」


「レトルトならそれもありかもね。

 自作は……ついついこだわっちゃうから時間かかっちゃうんだよねぇ。

 あとはしっかり冷凍しとかないと食中毒の心配とかもあるから、そこの管理も気をつけないとね。

 ……コン君なら美味しいカレーを作れるだろうから、週1くらいで作るのは良いと思うよ。

 やっぱり美味しいご飯を食べているとそれだけやる気が出るし、元気にもなれるからね」


 と、俺がそう言うとコン君がお腹を押さえながら「ぐ~~~~」という盛大な音を鳴らす。


 どうやらカレーという言葉に食欲が刺激されてしまったようだ。


「……じゃーお昼はカレーにしようか?

 いつものポークカレーが良い? それとも他のカレー?」


「ポーク! いつもの! にーちゃんの! お肉おっきいやつ!!」


 俺がそう声をかけるとコン君は、元気いっぱい声を張り上げて……俺の返事を待たずにカゴを持って倉庫へと駆けていく。

 

 どうやら倉庫に保管してある材料を持ってきてくれるつもりのようだ。


 そういうことならと俺は台所に向かい……まず炊飯ジャーの確認をする。


 カレーとなるとコン君はかなり食べるからなぁと、大きめのジャーで追加のご飯を炊き、カレールーや福神漬、ラッキョウの在庫も確認、問題なし。


 サラダに使える野菜もあり……よし、これならいけるとカレー作りの準備を始める。


 そうして準備をしているとまずコン君が、倉庫の冷蔵庫の中の大きな……俺でも運ぶのが大変な大きさの豚バラ肉を持ってくる。

 

 ……2人でこれを食べきるつもりなのだろうか?


 いや、まさか……と、思いつつも覚悟を決める。


 それから豚バラ肉を処理しているとコン君は、カゴに山盛りのジャガイモ、ニンジン、玉ネギを持ってきてくれて……それを見た俺は覚悟を決めて我が家一番の大鍋の準備をするのだった。



お読みいただきありがとうございました。

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大食いリス王決定戦開幕!(ソロ) 今回のメニューは、お肉ゴロゴロポークカレーだァ! 野菜もあるよ!
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