So You Want to Live the Slow Life? A Guide to Life in the Beastly Wilds Vol. 5 発売記念SS
英語版書籍第5巻!!
我が家にはいくつかのドライフードストッカーが置いてある。
簡単に口が開いて傾ければそこから出てきて、皿への盛り付けも簡単、口を閉じればしっかり密閉するというものだ。
元々はペットフードのドライフードなんかを入れておくケースなのだけど、素焼きのナッツやドライフルーツを入れる用も最近は増えてきていて……我が家ではクルミや、ミックスナッツ、ドライフルーツミックスなどを入れて、台所や居間に並べておいてある。
基本的には食べ放題、乾燥剤を入れて湿気ないようにしてあるので、一週間二週間そのままでも全く問題はない。
中身が空っぽになったら綺麗に洗い、しっかり乾燥させてから再補充……と、衛生にも気をつけている。
そんなドライフードストッカーの中身は、まぁー……一週間を待たずになくなるのがほとんどだ。
早いときには2日で空になる、酷いときには当日だ。
逆に4・5日補充をしていないと、何かあったのかと心配になってしまう。
特に居間のは減りが早い。
棚に綺麗に並べてあるのだけど……時々とんでもない減り方を目にすることもある。
それはある日のことだった。
台所で料理をしていた俺は、ふとトイレに行きたくなって料理を中断、台所を後にした。
台所からトイレに行く場合は、一旦居間を通る必要がある。
台所、居間、廊下、トイレの順だ。
そういう訳で居間に向かった時に、ストッカーが視界に入り込んだ。
この時、ストッカーの中身は大体半分残っていた……クルミが半分まで入っていた。
居間にいたのはテチさん、コン君、さよりちゃん、特に何をするでもなくテレビを見ている。
特に何か言うでもなく廊下に出てトイレへ。
トイレを済ませて洗面所で綺麗に……これから料理を再開させるので、特に丁寧に神経質なくらいに洗い、消毒もしっかりやって……水気もしっかり拭き取る。
大体2・3分だったと思う。
それを終えて廊下を通り、居間に戻った時だった。
ストッカーが完全に空になっていたのだ……さっきまで半分は入っていたはずなのに。
慌ててコン君達の方を見ると、コン君とさよりちゃんと……テチさんまでが頬を膨らませていた。
頬をこれでもかと膨らませてもぐもぐもぐ……テレビを見ながら口を動かしている。
「えぇ……」
別にそれは、悪いことではない……食べたいなら食べてくれと置いているのだから、問題はないのだけど、あまりにもあまりにで……俺はそんな声を上げてからしばらくの間、何も言えなくなってしまう。
それから俺は一旦台所に戻って、クルミ入りの袋を持って居間に戻り、ストッカーの補充をする……と、同時に他のストッカーが空になっていることに気付く。
さ、さっきまで、さっきまで7・8割は入っていたのに……。
「えぇー……」
また声を上げた俺は再度台所に戻り、再度補充をするために袋を抱えて居間に戻ったのだけど、またクルミのストッカーの中身が減っていて……皆のあまりの食欲っぷりに、しばらくの間、呆然としてしまうのだった。




