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獣ヶ森でスローライフ  作者: ふーろう/風楼
第十二章

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BBQを終えて


 レイさんが作ってきてくれたスムージードリンクと、デザートの組み合わせで由貴のご機嫌は一気に回復した。


 何しろプロが獣ヶ森の果物で作ったものなのだから、その美味しさは抜群で……味覚に優れた由貴ならば当然の結果と言えるだろうなぁ。


 そうして由貴はレイさんに懐き……いや、元々おじさんだからと懐いてはいたのだけども、今回の件で親密さが一気に増したようだった。


 それからのデザートタイム、由貴はレイさんに張り付き続けることになり……テチさんはそれを引き剥がそうとしたのだけども、さっき笑ってしまったからかテチさんの言うことに従うことはなかった。


 そして皆でレイさんのデザートを食べたなら宴は終わりの時間……何度か一緒に食事をした子供達はそのことをよく理解していて、スムージーとプロの作ったデザートを堪能したなら、自主的に片付けをし始めてくれる。


 中には面倒な油汚れでいっぱいの食器や、BBQグリルなどの片付けをしてくれる子もいて……炭の処理など、どこで覚えたのか完璧にこなしてくれる。


「実椋がやってきたのを覚えているのだろうな」


 一緒に片付けながらテチさん。


 ……そう言えば片付けの時、子供達が興味深げに覗き込んでくる時があったっけ。

 

 その時には料理の時のように細かく説明してあげていて……どうやらそれをしっかりと覚えていてくれたようだ。


 洗い方も炭の処理も文句なく完璧、子供達に完全に任せてしまっても問題ないようだ。


 そうやって片付けている間、


「いやいや、美味かった美味かった。

 本気で作った肉料理ってのも悪くないもんだ」


 と、御衣縫さん。


「うちの牧場の肉があそこまで美味しくなるなんてねぇ……あれは最高級って訳じゃなかったんですけどね」


 と、長森さん。


「めっちゃ美味しかった! お酒飲めるようになったらビールとかと一緒に楽しみたいな!」


 と、フキちゃん。


 尚、この発言の直後、フキちゃんは長森さんに睨まれることになった。


「今回は遅刻気味だったから、次回は早めに来るぜ! 肉大好きだしな」


 と、レイさん。


「さいっこーにうまかった! もっとお肉食べたい!」

「バーベキュー料理、また食べてみたいです! 他にも色々あるみたいですし!」


 コン君とさよりちゃん。


 皆それぞれ楽しんでくれたようで、そんな感想を口にしてから自宅へと帰っていった。


 他の子供達ももちろん喜んでくれて……お土産入りタッパーを大事そうに抱えてかえっていって、いくらか余ったお肉を家族と楽しむようだ。


 そんな感じで皆を見送っての夕方。


 ベビーベッドの中で大の字となって膨らんだ腹を天井に向けてすーぴー眠る由貴を見ながらのまったりタイム。

 

 ワインにビール、肉料理もたっぷり楽しんでご機嫌のテチさんは……ベビーベッドの隣に敷いたマットで熟睡モードに入っていた。


 多少は二人の時間になるかな? なんてことを期待していたけど……ま、まぁまぁ、仕方ない。


 久しぶりにたっぷり楽しめたのだから、今日はゆっくりさせてあげよう。


 そういう訳で二人を起こさないように家事をこなしていく。


 皆には任せられない片付けや洗い物なんかをこなし……その間、ワイヤレスイヤホンをして料理の解説動画なんかを聞き流す。


 そうやって夕飯はどうしようかな……なんてことを考えていると、ランダムな連続再生が、おかしな動画にたどり着いたらしく、ただの作業音だけを流してくる。


 有料プランに入って細かい設定をして、料理動画しか流れないようにしたはずなのだけど、一体?? と疑問に思い、一段落ついた所で手を止めて、ポケットの中のスマホを取り出す。


 流れていた動画は、海外の女性のものだった。


 どこかの農園で暮らしているのか、牧歌的な風景を背景に、様々な作業をしている。


 パンを作ったりジャムを煮たり……何を話すでもなく説明するでもなく、ただただ淡々と作業を続けている。


 カメラワークや編集がかなり洗練されていて、恐らくはプロが絡む企画なのだろう……そのまま見続けてしまう魅力がある。


 ……そしてそんな背景に映り込む獣人の姿。


 どうやら俺と似たような環境にある女性が動画の主のようだ。


 ……そう言えば以前、我が家からもコン君の動画が配信されたんだっけ。


 そういった点でもこの女性は同じような状況にあるようだ。


 再生数は……うわ、どれもこれも10万以上じゃないか、かなりの大人気なんだなぁ。


 ……うお、この大鍋でジャム作る動画は物凄いなぁ。


 よくこんな大鍋で焦がさずにジャム作りができるもんだ……大人2人がかりで運ぶような大鍋を、簡易かまどで煮込んで、それでいてしっかり完成させている。


 ……うぅむ、凄まじい。


 技術も経験も桁違い……コンロとホーロー鍋で楽をしている俺には真似は出来無さそうだ。


 まぁーうん、俺はそれくらいで良いのだろう、趣味レベルでよし……ここまでの技術も量も……うん、技術はいらないかな。


 量に関してはなんとも言えない。


 これから由貴が大きくなっていく訳だし、2人目ができる可能性だってある訳だし……そうなったら一体どれだけの食料が必要になってくるやら。


 2人目3人目が出来た日には、こういった大鍋でも使わないといろいろ間に合わないかもしれないなぁ。


 ……あまり考えたくはないけども、そうなったら食費はとんでもないことになるだろうなぁ。


 今のところ、家計は黒字だ。


 畑の収入がかなりのものだし、花応院さんのおかげで副収入もある、貯金だってたっぷりあるけども……何も考えないでいる訳にはいかないだろうなぁ。


 畑を増やすか、収入を増やすか……焦る必要はないかもしれないけども、今から何か考えておくとしよう。


 なんて感じで考えをまとめたなら家事を再開させる。


 そしてしっかりと終わらせて……そうしたなら居間に戻って、二人の寝顔を堪能する。


 スピスピ眠る由貴に、すやすや眠るテチさん。


 そんな二人の寝顔をじっくりと堪能したなら、夕食を……BBQ後だからと野菜多めの夕食を作るために台所へと向かうのだった。


 


お読みいただきありがとうございました。

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