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獣ヶ森でスローライフ  作者: ふーろう/風楼
第十二章

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コン君ノート


 脂のハムは大好評で、長森牧場でも試作が始まるようだ。


 そこまで手間がかからず美味しく、お手頃価格で売れる特産品になるということで、長森さんもかなり気合が入っているようだ。


 更には他の家畜の脂でも試作をするとかで……かなりのやる気を出しているようだ。


 テチさんやコン君達にも好評で、毎日食べたいってな勢いだけども、カロリーや塩分の関係で毎日は流石に……ということで遠慮してもらっている。


 そんな訳で翌日の昼過ぎ、居間でゆったりとしながら食欲をうならせている皆にどんな夕食を食べさせたものかなと考えていると、由貴のベビーベッドに張り付いて寝顔を眺めていたコン君が何か思いついたことでもあったのか、ベビーベッドから飛び降り、自分の座布団へと座りながら声をかけてくる。


「そう言えばにーちゃん、にーちゃんにとって最高に美味しい料理ってなに? 何が一番美味しいと思う?」


「それはまた……難しい質問をするなぁ。

 好きな料理じゃなくて美味しい料理かぁ……一番、一番かぁ、難しいねぇ」


「オレはなんだろうなー……にーちゃんのバーベキューかじーちゃんの栗か悩むなぁ」


「栗は料理なのかな……? しかも一番が2つ……まぁ、気持ちは分かるけど。

 俺はなんだろうなぁ、美味しいと言われると、ブイヤベースとか? 美味しいうな重も美味しいと思うし……ああいや、以前作った本格デミグラスソースも中々……。

 ああ、そうだ、以前作った本格デミグラスを使ったハヤシライスも良かったよねぇ。

 獣ヶ森食材を使いまくってあれを作ったなら、最高の料理と言っても良いんじゃないかな?」


「あー……! あれ美味しかったー! 最高ってのも分かる気がする!

 ……その分だけ手間かかったけど、メモ取るだけですっごく大変だったけど!」


「……まぁ、あのレベルは中々ないからね。

 それなりの手間で美味しいとなると……これまた以前作ったポークカレーとか?

 豚繋がりならカツ丼も中々……しっかりこだわると驚く程の美味しさになるからねぇ。

 でもシンプルにステーキも美味しいし……味覚っていうのはその時の気分で変わったりもするから、難しいね」


「……オレ、アジフライも好きだったなぁ、出来立てだと最高に美味しい!

 あとあとクルミのとか……美味しいのたくさんだなぁ」


「そうだねぇ……なんで急にそんな話を?」


「えっとね、にーちゃんに教わった料理がたくさんになってきて、ノートもいっぱいになってきたんだ。

 オレのノート……かーちゃんもちょくちょく見てくれていて、参考にしたいから美味しい順とかにまとめてほしーんだって。

 整理してほしーとかで……じゃぁ一番最初にする最高の料理って何なのかなーって」


 なるほど……?


 つまりコン君がメモしてきたレシピとかを、一冊のまとめた本にしたいから、その表紙というか、一番目玉にする料理を何にするか考えている……と。


 おそらくそれはコン君のお母さん以外にも、お母さんの友達とか親戚とか、料理に興味がある人が見るのだろうなぁ……そしてその表紙にする料理かぁ。


 ……そうするとカレーかな? なんてことも思うけど、カレーは家庭ごとに違った味があって、それが一番って料理だからなぁ。


 俺は俺の作るポークカレーが大好きだけど、それが世界で一番美味しいなんてことは思わない、それぞれの家庭に一番のカレーがあるはずだから……カレーは相応しくないだろう。


 それなら王道に美味しいブイヤベースか、デミグラス料理……? うぅん、どちらも手間が物凄いからなぁ。


 表紙にしてしまうと、他の料理も同じくらい難しいのかと思われてしまいそうだ。


 そうすると肉料理……? いや、あれはあれで手間がかかるし、素材によってクオリティに露骨な差が出てしまうからなぁ。


 ……そうすると素材に関係なく美味しくてある程度手軽で、食べてみたい、作ってみたいと思える料理……か。


「よし、そういうことならアレ作ってみようか。

 今までも何度か作っていたけど、改めてしっかり作り方教えるよ」


 と、そう言って俺は台所に向かう。


 するとコン君と静かに見守っていたさよりちゃんも来てくれて……そして俺は大量のパスタと野菜、自作ベーコンとチーズを用意してから料理を始める。


 ……と、言ってもすごく簡単な料理であれこれ語ることもないんだけども……。


「まずパスタを茹でる。

 塩を入れて、野菜の破片とかあったらそれも入れて、袋に書いてある茹で時間よりも1分長めがコツかな。

 そしたらフライパンでまずタマネギを炒める、ある程度炒めたら切り分けたベーコンを入れて、タマネギが透明になるまで炒めたらピーマンと、砂糖を入れる。

 砂糖を入れると砂糖が野菜をコーティングしてシャキッとするのと旨味と水分を閉じ込めるから、美味しく仕上がるんだよね。

 そしたら別のフライパンでケチャップをグツグツになるまで炒めて……炒めたケチャップを投入、しっかり野菜と絡めたら茹でたパスタを入れて、ケチャップとバターを追加。

 ずっと強火で炒めていって……出来上がったと思ったら皿に盛り付けてチーズを振りかける。

 これで完成ナポリタンの出来上がりだね」


 ナポリタン、人によってはパスタ料理じゃないと言うけども、個人的にはこれが一番のパスタ料理だと思っている。


 パスタの美味しさと野菜の美味しさ、ベーコンとチーズと、ケチャップをこれでもかと味わえる組み立て。


 旨味と甘みと酸味がガツンと来て、いくらでも食べられる……子供の頃から好きだったけど、大人になっても飽きない味だと思う。


「簡単、コスパも悪くない、美味しいと、文句なしの料理だと思うんだよねぇ。

 ……コン君達も好きでしょ?」


 と、俺がそう言うと、いつの間にか食器棚へと移動していたコン君が、フォークを取り出しながらコクコクと頷いてくる。


 どうやら配膳の準備をしてくれていたらしい。


 少しでも早くナポリタンを食べたいからとの行動だったようで……俺がコン君達の皿に大盛りナポリタンを盛り付けると、待ってられないとばかりに自分で居間へと運んでいく。


 由貴は寝ている、テチさんも休憩のため自室で昼寝をしている。


 そういう訳で俺達は3人で、出来立てナポリタンをこれでもかと堪能するのだった。


お読みいただきありがとうございました。

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