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獣ヶ森でスローライフ  作者: ふーろう/風楼
第十一章

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備え


 翌日。


「そう言えば実椋さん、実椋さんって保存食に詳しいんだよね?

 災害とかの備えって缶詰以外にどんなのがあったらいーの?

 あ、実椋さんみたいに手作りじゃなくて、そこらで買える感じのやつで!」


 と、居間でまったりとしていた所でフキちゃんがそんなことを言ってきて、俺は首を傾げながら言葉を返す。


「ん~……災害の備えに限度はないと思っているからなぁ、色々になっちゃうけど、食料に限って言うなら……まず缶詰、次にレトルト食品、そして羊羹などになると思っているかな」


「……レトルト? あれって保存効くの?」


 そう言われて俺は立ち上がって台所に向かい、地下収納にしまっておいた長期常温保存可能のレトルト食品を取り出し、居間へと持って行く。


「これがそのレトルトだね。

 パウチ型で常温保存可能で、賞味期限は3年、もつ煮込み、筑前煮、鶏もも大根、肉じゃがと色々な種類があって栄養も悪くなくて美味しいから飽きずに食べられる。

 美味しいとは言えないけど温めなくても食べられるし、湯煎が出来れば美味しくなるし……パックご飯なんかがあれば普通の食事と変わらない感じで楽しめるんじゃないかな。

 これ以外にも種類はたくさんあって、最近ではジュースなんかも常温・長期保存可能なのが出ているから、そういうのがあっても良いかな」


 そう説明しながらそれらを見せていくと、手にとって裏面などをしっかりと確認しながらフキちゃんが言葉を返してくる。


「へぇー……普通に美味しそうだね。

 でも手間かかるのアレじゃない? 災害の時やってらんなくない?」


「それはそうなんだけど、缶詰ばかりじゃどうしたって飽きてしまうからねぇ。

 多少の手間がかかるんだとしても、こういった普通のおかずが食べられるっていうのも大事なことなんだよ。

 栄養的にも毎日缶詰は良くないだろうし、災害時の保存食でも美味しく、バランス良く楽しめるのが大事なんじゃないかな。

 さっき羊羹をあげたのも同じ理由で……あまーい甘味っていうのはそれだけで心が満たされるから、栄養以外の面でとても重要になってくるんだよ。

 羊羹は美味しくて保存が効いて、カロリーしっかりあって……それでいて食物繊維豊富だったりもするから、災害時には凄く良い保存食だと思っているよ」


「へぇ~~……なーるほど。

 缶詰とレトルトと羊羹、かぁ……確かにそれだけあれば飽きない、かも?

 あとはジュースもあるといい感じで……他にもなんか、オススメある?」


 そう言われて俺は再び立ち上がり、今度は銀色パックに入ったものを持ってくる。


「それならこれかな、水を入れるだけで美味しく出来上がるお餅のレトルトパック。

 きなこ、あんこ、しょうゆ味があって5年保存可能。

 水を入れるだけで柔らかくて美味しいお餅が食べられるのは悪くないねぇ。

 ……それとこれ、レトルトスープセット。

 ポタージュスープとかのセットで、食欲がないとか、病気をしているとか、そういう人がさっと食べられるようになっているもので……このハイカロリーゼリーもあれば最高だね。

 これは介護現場で使うやつらしくて、少しの食事でしっかりカロリーが摂れるから、食欲がない時にとすごく良いんだ。

 カロリーって普段は憎まれ役だけど、災害などの環境下では、命を守ってくれる大事な栄養だからね。

 同じ感じでおかゆのレトルトセットとかもあっても良いかな、あれも色々な味があるから飽きずに楽しめて良い感じだよ」


「……あ、そっか。災害んときはそういうのも考えなきゃなのか。

 ん~~~、そこら辺揃えた上で、水とかトイレットペーパーとかラジオとかも揃えるんだよねぇ。

 やっぱりお金がかかるなぁ」


「まぁ、そうだけども……いざ災害となったらお金があっても、という状況になるから、ある程度の踏ん切りは大事かな。

 それに皆がしっかり備えておけば、それだけ物資を運搬する必要が減って、人手が他に回せてインフラ復旧が早まったりするから凄く大事なことなんだよ。

 テント寝袋、モバイルバッテリー、携帯トイレ、ラジオにウェットタオル、体温維持用のアルミホイルポンチョ、防災頭巾に上履きやスリッパ、懐中電灯などなどなどなど。

 備えるべき物はたくさん……なんだけど、まぁフキちゃんのとこなら、ある程度は省略出来るかもね」


 と、俺がそう言うとフキちゃんは小首を傾げて、その表情でもって「なんで?」と問いかけてくる。


「いや、以前ちらっと見ただけではあるんだけど、牧場に井戸あったよね?

 それと厩舎の屋根にはソーラーパネルもあったし、あとはガソリン式の発電機もあったはず。

 牧場の近くに温泉施設があって、肉の処理施設があるのだからそこである程度の食料も用意出来るし……そういった牧場の設備を流用するだけである程度の生活は維持できるんじゃないかな?

 もちろん家畜のこととか、色々考えなきゃいけないことはあるんだろうけど、長森さんなら必要な備えをしていそうだし……そこまで神経質にならなくてもいいと思うよ」


「え、あ、そっかー……そっかぁ、牧場のを使えば良いんだ。

 たーしかに皆のことは考えないとだけど、そこまで深く考えなくても良いのかー。

 ……いや、なんかうちでも保存食とか作れないかな? って色々調べて、そしたら色んなのが出てきて、不安になっちゃってたんだけど……そーだよね、身近なものを使えるなら使った方が良いんだよね」


「そうだね、キャンプ趣味の人なんかはそれがそのまま災害の備えになったりするし、俺達一時生産者はいざとなったら売り物を食べるという手もあるし……何事もやり方次第、考え方次第ってことだね。

 それでも備えておくことは大事なことだし、使わずに余ったのだとしても平和で良かったと笑い飛ばせば良いんだし……無理のない範囲での備えをしておくと良いよ。

 フキちゃんの場合、スマホをよく使うみたいだからバッテリー系とか、普段使っている消耗品、肌とかのお手入れ品を備蓄するとかになるかな?」


「え? 化粧水とか? そーいうのは別にいらなくない?」


「もちろん必須ではないけど、あればいつも通りに過ごせる、余計なストレスを抱えずに済むっていうのは大事だよ。

 ああいうのも使用期限は長めだったはずだから、多すぎない備蓄は悪くないはずだよ。

 ……普段の自分の生活を見直して改めて必要なものを考えてみると良いかもね」


 と、俺がそう言うとフキちゃんは「なるほどー」とそう言ってから考え込み……思いついたものをスマホに入力し始める。


 そうやってメモしておいて後で買うつもりなのだろうか?


 そんなフキちゃんを見てコン君やさよりちゃん、テチさんまでもが真似をし始めて……まぁ、うん、テチさんやコン君達の分は俺が用意していたりするのだけど、あえて何も言わずにそれを見守り……そして改めて自分も、何か見逃しがないかと思考を巡らせるのだった。


 


お読み頂きありがとうございました。

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