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獣ヶ森でスローライフ  作者: ふーろう/風楼
第十一章

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シードルとか


 今回作ったのはリンゴがかなり多めのアップルパイだ。


 美味しさどうこうとかバランスを無視して、とにかくリンゴを楽しむための、リンゴまみれパイ。


 リンゴが崩れないよう仕方なく薄いパイで包んでいるってくらいにしてしまって……焼き上がったそれを居間に持っていくと、フォークとナイフを両手に持って待ち構えているコン君とさよりちゃんと……テチさんの姿が視界に入る。


 三人仲良く同じような笑みで待ちに待ったと言う様子で……そんな三人の前にアップルパイが乗った大皿を置いたなら、お茶を……淹れたてのリンゴ茶を出す。


 このお茶はお茶っ葉を一切使っていない、リンゴの身と皮だけで作られたもので、カフェインなどなどを気にしないで良いものとなっている。


 それでいて栄養豊富、体の良い成分もたっぷり入っていて……普通に淹れても水出しでも美味しいという、ありがたいお茶だったりする。


 それらを皆の前に出したなら自分の席につき……、


『いただきます!』


 と、皆で声を上げたなら、早速アップルパイを切り分け、皆の皿に乗せていく。


 パイ部分が少ないので途中でボロボロリンゴが落ちちゃうけど気にしない、お皿の上に乗っているのなら食べられるんだから気にしない。


 それ単体で食べちゃったらアップルパイでも何でもないんだけど、気にせず口に運ぶと、リンゴの香りと甘みが口いっぱいに広がって……うん、シナモンなしにしてみたけど美味しく出来たなぁ。


「おいっしー!」


「甘くて良いですねぇ!」


「うん、以前のより美味しい感じだな」


 コン君、さよりちゃん、そしてテチさんはそんなことを言いながら物凄い勢いで自分の皿の上のアップルパイを食べ尽くし……それから大皿のアップルパイをそれぞれ勝手に切り分け、自分の皿に乗せていく。


 そうやって食べて食べて……俺が一切れを食べる間に、残り全てを食べ上げて、一応は満足出来たのか、ホクホク顔となってお茶をすすって……そうやって休憩してから、コン君が問いを投げかけてくる。


「にーちゃん、ジョニーさんのリンゴは酸っぱかったんだよね?

 じゃぁそれで作ったアップルパイも酸っぱかったの?」


「んー……これよりは酸っぱかったかもね。

 でも干して甘みを増させているはずだし、砂糖とかも使うはずだし、ちゃんと甘いアップルパイになっていたはずだよ」


「そっかー……そうしないと酸っぱすぎてダメだったのかなー」


「まぁー、現代人が食べるにはそうかもだけど……当時の人にはどうだったんだろうねぇ。

 酸っぱさもそれはそれで味だし、クエン酸で疲労回復もあったんだろうし……なんだかんだシードルにして貴重な水分として扱われていたみたいだしねぇ、発酵するくらいの甘さはあったんだと思うよ」


 シードル、リンゴを発酵させたお酒。


 リンゴの品種が様々ある関係でその味の様々で……甘くて炭酸が爽やかで、それでいて酸っぱくて、飲みやすいものも多く……個人的には嫌いじゃなかったりする。


「そう言えば実椋がシードル風のジュースを用意してくれていたな。

 アレならコン達でも飲めるんじゃないか?」


 と、そんな会話をしているとテチさんがそんな言葉を挟み込んでくる。


 確かにお酒が飲めないテチさんのために買ってはあるけども……お酒風の飲み物を子供達に飲ませるのはどうなんだろうなぁ。


 確かノンアルコール飲料は子供に飲ませるのはいけなかったはず……。


「ノンアルじゃなくてシードル風ジュースなんだから問題ないだろう?

 子供に飲ませるな的な注意書きも特に無かったはずだぞ。

 このリンゴ茶も美味しいが……やっぱり子供には炭酸ジュースだろう」


 と、俺の考えを読んだのかテチさんがそう続けてきて……そういうことならと頷いた俺は、地下収納にしまってあったシードル風ジュースを引っ張り出し、氷を入れたコップに注ぎ、居間へと持っていく。


 そしてコン君達の前に置くと、コン君達はすぐに飲み始める……が、一口飲んだ時点で不思議そうな顔をして首を傾げる。


 見た目はリンゴジュース、炭酸の泡がシュワってるのもいかにもジュースなんだけど、そこまで甘くはない。


 程々に甘く苦みもあり酸っぱさもあり……発酵が進んで甘さが抜けたシードル風という感じだ。


 コン君達にとってそれは不思議な味だったのだろう、首を傾げに傾げるが……決して不味いものではないのですぐに慣れて、ごくごくと喉を鳴らして飲み始める。


 テチさんも嬉しそうに飲んでいて……アップルパイにリンゴ茶にシードルとリンゴ味まみれのメニューとなっていても全く不満はないようだ。


「うーん、シードルも美味しいね!」


「シードル風ジュースですよ、ジュース」


「コン達と一緒に酒が飲める日もそう遠くないのかもしれないなぁ」


「その時には俺達の子供も大きくなってるんだろうねぇ」


 コン君、さよりちゃん、テチさん、俺と、順番にそんなことを言ってのほほんとしていると、スマホの着信音がなり……確認してみるとレイさんからのメッセージが届いていた。


『そう言えば今日、アップルパイを作っていて思い出したんだが、シナモンは妊婦さんはとりすぎ注意だろ?

 だからアップルパイ食いたくなったら問題ないスパイス……コショウとかを試してみるといいぜ。

 スパイスはスパイスでアジアンテイストになって美味いからな、そういうアップルパイも全然ありだぜ!』


 なんというタイムリー。


 こちらの様子を盗聴でもしているんじゃないかってタイミングだけど……今はお店が開いている時間で、レイさんもそんな暇はないはずだ。


 そしてレイさんのメッセージの下部には、レイさんオススメのアップルパイに合うスパイスが羅列されていて……うぅん、ここらへんは流石にプロだなぁ。


 俺はシナモンをただ抜くことだけを考えていたけど、まさか他のスパイスと来たかぁ。


 ……コショウ、はどうなんだろうなぁ。


 他にはジンジャー、カルダモン、クミン……。


 うぅん、とってもカレー風味になりそうだけど……そもそもカレーとリンゴは好相性なのだから、悪くないかもしれない。


 全部混ぜると流石にカレーっぽさが増しそうなので程々に、少しずつ試してみるのも良いかもしれない。


 なんてことを考え流れ俺はレイさんにお礼のメッセージを送り……それからレシピをあれこれと考えてみるのだった。

 


お読みいただきありがとうございました。

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