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獣ヶ森でスローライフ  作者: ふーろう/風楼
第七章 レモネード、梅干し、そして栗

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熱中症防止


 翌日。


 朝食を終えてテチさんを畑に送り出して……昨日出来ていなかった分の家事を終わらせて、昼休みに戻ってきたテチさん達と冷やし中華を食べて、午後。


 夏バテに関しては今の所問題無さそうなので、次は熱中症対策をしようかと、スーパーへ買い出しにいき……戻ってきたなら早速作業にかかる。


 まずは保存瓶を水たっぷりの鍋に入れてコンロにかけて……しっかりと煮沸消毒をする。


 それが終わるまでの間に、ちょっとお高い国産の良いレモンを洗い……丁寧に何度も、流水で洗い逃しの無いように何度も何度も、しつこいくらいに洗う。


 レモンに限ったことではなく、柑橘類の皮にはカビにとってごちそうとなる、人にとっても有用な栄養成分がたっぷりと含まれているらしい。


 そのためカビが生えやすく、ぱっと見カビが生えていなくてもカビの胞子がたっぷりと付いていたりもするそうで……チーズ作りなんかをしている人は、発酵に関わる作業をする際は、カビの胞子を体に付けてしまわないようにと柑橘類を一切食べなくなる……らしい。


 あくまで聞いた話なのだけども、カビやすいのは本当で……火を通さないと本当にもうあっという間だ。


 その胞子が洗ってどうにかなるのかは……正直分からず、気休めかもしれないけどもそれでも丁寧に洗って……洗い終えたならしっかりと水を切って輪切りにしていく。


 輪切りにしたなら今度は爪楊枝で種を丁寧に……出来るだけ果肉に傷をつけないように取っていって……それが終わったなら棚の奥の方にしまっておいたハチミツの瓶を引っ張り出す。


「あら、固まってるな」


 ハチミツは時たま、瓶などの中で固まってしまうことがある。

 ゼリーのようにというか、寒天で固めたみたいになってしまって……このままだと使い辛いことこの上ないのだけど、実は40~50度くらいの温度で湯煎すると、すっと溶けてくれて元通り、味なども変わらないのでそのまま楽しむことが出来る。


 この際入れ物がガラスなどならそのまま湯煎しても良いのだけど、プラスチックなどの場合は溶けてしまう場合もあるので、注意が必要で……長期保存するつもりならプラスチックから瓶に移してしまうというのもありかもしれない。


 とまぁ、そういう訳でコンロに鍋をもう一つ用意し、弱火で湯煎にかけ……後は煮沸と湯煎が終わるのをゆっくり待つ。


 煮沸が終わったなら保存瓶を取り出し……輪切りにしたレモンを入れていって、レモンを入れきったなら溶かしたハチミツを流し込み……しっかり蓋をしてから冷蔵庫へ。


 後は1日待てばハチミツレモンが完成となり……レモネードやレモンパイなどなどに使える便利アイテムとなってくれる。


 中には冷蔵庫に入れず常温で保存する人も居るみたいだけど……ハチミツレモンは結構カビやすかったりする。


 ハチミツ単体ならカビないのに、レモンとレモンの水分が入ったことによりカビやすくなり……油断するともうあっという間だ。


 ハチミツも国産レモンも安いものではないので、カビてしまうとお財布的なダメージが尋常ではなく……それを避けるための即冷蔵庫という感じだ。


 一度作ったならなるべく早く使っていくことも必要で……とりあえず今日は早速これでテチさん達にレモネードを作ってあげるとしよう。


 レモネードの作り方はすごく簡単、ハチミツレモンを冷やした水に溶かせば良いだけ。

 炭酸水でも良いし、ミントなんかを入れても良いし……ちょっとだけ塩を入れて塩分補給が出来るようにしても良い。


 水分と糖分と、塩を入れれば塩分と、それとクエン酸が取れるレモネードは熱中症対策として中々悪くなく……それでいてとても美味しいのだからもう最高だ。


 ジャムのように肉に塗って食べるのも良いし……魚との相性も、サーモンなどなど種類次第では悪くない。

 

 市販のパイ生地を買ってきて雑に乗せてオーブンで焼くだけでレモンパイになるし、レモントーストでも悪くないし、サーモンとハーブと挟んでのサンドイッチなんかもかなりの美味しさだ。


 中にはポテトサラダに混ぜてアクセントにする人もいるそうで……そこら辺も今度試してみるとしよう。


 ……と、そんなことを考えながらしっかりと蓋を閉めた保存瓶を冷蔵庫にしまっていると……ある袋が視界に入り込み、まるで自分達のことも忘れてくれるなとばかりにガサリと揺れる。


「あー……そうだね、そろそろ時期だったねぇ。

 天気予報をしっかり確認して、晴れが続くところ狙ってやらないとねぇ」


 なんて俺の独り言は冷蔵庫の中で漬けられている梅の実に向けたもので……シソの葉の色を吸い上げて真っ赤に染まったその実は、いい感じに仕上がって後は太陽の下に干されるのを待つだけの状態となっている。


 真夏の、雲ひとつない青空の日の太陽の下に干して、たっぷりと旨味と酸味を作り出してもらって……また漬け汁に戻せば梅干しの完成で、干したことによってうんと強くなった旨味と酸味がご飯をどこまでも美味しくしてくれる。


 夏場の弁当に入れれば長持ちしてくれるようになるし、塩分の塊だから熱中症対策にもなるし……これまた色々な料理に使えるし……何よりそれ相応のお金と手間をかけたものでもあるので、良いタイミングを逃さないように気をつけなければいけないなぁ。


「夏は夏で、やることいっぱいだねぇ」


 もう一度独り言。


 暑くて湿気が多くて、何もかもが腐りやすくカビやすく……保存食作りには向いてない季節ではあるのだけど、それでもやることはいっぱいで……特に太陽に干す系はこれからが本番。


 作ってみたい保存食はまだまだあるし……時間はたっぷりとあるんだから色々と挑戦してみるかなと、そんなことを考えた俺は……とりあえず、今日の夕飯のための下拵えをし始める。


 今日の夕飯はゴーヤチャンプル。


 豚肉と豆腐と卵とゴーヤ。


 これらも夏バテや熱中症予防に良い食べ物であるらしい。


 問題はゴーヤの苦味をコン君達が受け入れてくれるかだけど……そこはもう出来る限りのことをするしかないと、ひとまずゴーヤの苦味を塩もみと湯通しをするとこから始めるのだった。


お読み頂きありがとうございました。

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