ごめん、こっちの方が重要性低いっぽいわ
「えーそれでは、ただいまより、王族パーティ、ならびに新任王族戦士着任式を開始いたします。はじめに、我が王、レクナス王より挨拶!」
そう言うのは、執事のドゴール。これから、初めて貴族達と対面する俺は、それはもう、会議のときの五倍くらいにはガッチガチだった。
「皆さん、おやようございます。本日は王族パーティにご来場いただき、誠にありがとうございます。それでは、さっそく、パーティをお楽しみください!」
そして始まった。大宴会が。貴族達は酒やら肉やらを食い、王はすこし若い青年と話をしている。王子かな?
「にしてもドゴール、あの王、なんかだらけてる感じするよな。」
「確かに、失礼ではありますがねぇ・・・。あれも、もう王をやめるからなんですよ。」
「まじか!?やめちゃうの!?」
「隣で話している青年をご覧ください、彼が王子です、来年の誕生祭のときに即位することが決定しております。彼の即位が決定してから、レクナス様はあのような感じで。彼が王になる前は、この世で最強の戦士といわれたのですがね・・・」
「そうなのか・・・。」
まぁ、そりゃ王だって、役目を終えるときは来るしな。それでも、やっぱだらけすぎだと思う、うん。
「俺、魔法ちゃんと打てるかなぁ?」
「魔法の前にせめて貴族の前ではその言葉づかいを改めなさい。」
「私・・・でいいのか?」
「まぁよいでしょう。魔法に関しては、この前出来たじゃないですか。」
――それは、三日前のこと。あってるよね?
「よし、撃つぞ。」
「ヒュールディ!」
あたり一面、真冬のような寒さになる。成功のようだ。でもこれ、どうやってもどすの?
「おぉ、やりましたね、サティア様。いますぐ部屋に戻りたいくらいです。」
「それはよかったが、どうやって戻すんだ?っていうか俺、全く寒く感じないんだが。」
「そりゃ水・氷特化の属性なんですから、寒さに関しては余裕ですよ。」
「で、戻し方についてですが、中級炎魔法が必要ですね。あなたには扱えないですから、待つことしかできないようです。」
いやドゴール、そんなに震えて最初から気温低下魔法の練習ってわかってるんだったら、上着来て来いよ。
「それってどのくらい待つの?」
「・・・ざっと二時間です・・・」
「まじで!?反対呪文とかないの?」
「ありますが、すべて炎属性の技です。・・・でも、新任剣士の一人に、炎属性の人がいますね。」
「剣士にも属性ってあるのか!?」
「はい。その属性に合った剣で戦うと、スキルが使えるんです。炎属性なら、それこそ温度上昇は楽勝ですね・・・」
そう言うドゴールは、悲しげな表情だった。
――パーティ前日――
「ちょっと、この服どうにかなんないの?」
「いや、それが戦闘服なので、気にすることはないと思いますが。」
「でもパーティってあんたみたいな服で行くもんでしょ?」
「いや、王族戦士はそのままが恰好いいんですよ。」
「そうかなぁ?」
「そうだ、暇ならほかの王族戦士に会ってきてはいかがでしょう?」
「あぁわかったよ行ってやるよ!それと、おととい言ってた剣士って誰?」
「名をウィストミメといいます。転生者で、あなたが来る五か月ほど前に来たそうです。」
「先輩かぁ~」
「いや、意外とそうでもなかったりしますよ?」
「なんで?」
「会ってみればわかりますよ。」
ドゴールは、なんかこう、お前もだよ的な笑顔を浮かべていた。