いや序盤からヒロインが出てくると思うなよ?(登場します)
あれから一週間、魔法の練習を続けた。しかし、全く上達しなかった。なんかもう、転生しないほうがいい生活送れたんじゃね?俺を線路上に突き落としたやつ、呪ってやる。
「サティア様」
「あと五分・・・」
「起きてくださいーい!」
「あと十分っつってんだろうがぁぁ!」
「申し訳ございません。」
俺のさりげない詐称をスルーして俺を叩き起こしたのは、最近若干下手に出なくなってきた執事のドゴール。なんでも王の執事だから、俺の下手にでる必要はないそうな。
「で、何の用だ。」
「まずは女性らしい言葉使いを身につけなさい。それと、今日は町に出る日ですよ。」
「中身は男なんだからしょうがないだろ。で、町か。なにか買うのか?」
「え?私は行きませんが?」
・・・は?
「一人で行って、何をしろと?」
「町の人々との交流を深めるのです。」
なんかめんどくさいこと言われて、屋敷追い出されたんだが。ってか町の人の前に王に会うべきじゃないの?
「っと。ずいぶんと広い町だな~。でもビルとかないし、圧迫感がなくていいなぁ。」
そこからはお察しの通り、だ。青果物店、八百屋、バー的な何か、なんかうまそうな香りがする店、それはそれはもう・・・って鍛冶屋とかないのーーー!?
「あ、病院はあるのか。」
食べ物屋ばかりのこの町の中心部にあるのは、でっかい病院。それはもう、慶○大病院なんか比じゃないってレベル。
・・・そして横にある薬局・・・ではなく、研究所?とにかくあやしい雰囲気だ。
「ま、とりあえず入ってみっか。」
入ると一瞬で警報が鳴った。え?立ち入り禁止の看板とかなかったよね?
「おい、誰だ!」
「あ、王族直属の魔女です」
「だったらこっちも王族直属の科学者だわ!」
「あ、まじすかすんませんしたぁ!」
「ま、おなじ王族直属ならいいよ。そんで君、転生者?」
ようやく姿を現したその人は、なにかを知っている口調でそう質問した。
「ええ、まぁ。あなたも転生者なんですか?」
「そうだよ、元はイギリスに住んでたな」
「そうなんですか、ところで、名前は?」
「名前か・・・無いぞ」
「え?」
話を聞いてみれば、彼女はイギリス人の大学生だったそうだが、彼氏と別れたところその彼氏に恨まれ、その男に殺されたそうな。うっわ、そういう彼氏こっわ、まじ。
そしたら転生して、ここに来たと。彼女の代から科学者がはじまったそうで、転生してきたはいいものの、職業が見つからず、あたらしい武器を作ると言って王に雇ってもらったそう。しかし、名前をもらえるのは、剣士や魔法使いなど、最前線で戦いをする人のみ名前が与えられるそう。
「ところでなぜ転生者だと?」
「魔女に関しては、この帝国に魔法族がいないから、転生者が頼みの綱なんです。」
「魔法族に頼めばよくね?」
「この帝国にいないんですよ。ほかの帝国にいるんです。」
「なるほどー。」
「魔女は私が殺しちゃったあと、十年くらいいなかったんだよね~」
・・・は?今すごいこと言わなかった?