俺って、いくつ異能あるんスカ・・・
「・・・」
「・・・スヤァ」
ここは・・・ただの田舎道。出発して十時間ほど、あたりはすっかり暗くなり、ベルは寝てしまった。そんなベルの寝顔を見るべく・・・ではなく、ベルを守るべく、隣に座っている。にしても食料生産都市。畑と食品工場ばっか。
で、どうやって議会に向かうのかというと、かの科学者が開発したという、車っぽいなにか。彼女いわく、この世界で電気の取り出し方をまだ発見できていないから、代わりにマナを消費して運転できるようにしたとか。今回は俺のマナを消費しているから、二日に一度休まなければいけない。そして、運転手はその休み以外運転しなければならない。お疲れ様です。
「・・・俺も寝るか・・・。」
ちなみに俺が寝ると、マナの回復と消費が同時に行われてプラスマイナス0になる。どこの植物だよ。
「はぁ・・・」
乗ってるだけなのに疲れる。やっぱマナ消費がぁ・・・。
次の日。
俺とベルは起き、外の風景を眺めている。
「わぁ!きれいな湖!」
「そうだな!」
うん。ベルの笑顔が今日一番の絶景だよ。
「あそこに動物もいっぱい!・・・あれ、あそこの動物だけ雰囲気が違います・・・。」
「うん?・・・ほんとだ。あの辺はなんか、この前の魔物みたいだ。ちょっと止めてくれ。」
「承知いたしました。」
車(?)を止めてもらい、外に出る。
「あの集団、こっち来てない?」
「そうですね。逃げたほうがいいんじゃないですか?」
「いや、なんとかする。」
あっでも、多いな・・・でも、ベルにいいとこ見せなきゃ!
「あっヤベ・・・」
その数は相当だった。これはあの異能とか?でも魔法が使えるようになったせいで、術式を唱えないといけなくなったらしい。知らねぇよそんなもん。
「くそっ・・・お前たちは逃げろ、俺が全員倒す!」
「はい!」「承知。」
とりあえず二人は逃がした。あとは俺が・・・。あっでも俺、攻撃魔法習得してねぇや。
「うわっヤベぇ!」
と俺が身構えた瞬間、バンッという衝撃音がした。
「・・・え?」
顔を上げれば、そこにはもう魔物なんていなかった。
乗り物に戻ったあと、ベルは状況解説をしてくれた。
「サティアちゃんが構えた瞬間に、まわりが強い光で満たされて、魔物が消滅したんです。念のため持ってきていた魔術全書にはない魔法でした。」
「そうか・・・ありがとう。」
全書ってやつにもないのか。だとしたらこれは異能か?
* * *
「到着です。」
「おぉ、ここが帝国議会領か・・・。って、でっかい建物三つで、それ以外なんもねぇな!?」
あのあと何事もなく二日。くっそ広いレクナス領を抜けたら、今度はくっそ狭い帝国議会領。バチカン市国といい勝負だと思うよ。
「帝国議会領には、議会メンバーの家となる建物と、議会場の建物、来客者用の建物しかありません。」
「そうなのか。」
その建物の一つの来客者用の建物へ行くと、まぁ古めの洋館だった。
「議会での会議は明後日、それに出席します。」
「わかった。」
「こちらの部屋です。運転手様はこちらへ。」
案内人が案内してくれた部屋はまぁまぁ豪華で、ベッドがダブルベッドだった
女と女ということだになってるから、ベルと一緒の部屋まではわかる。でもダブルベッドが聞いてない!そんなに俺を殺したいのか!?
「やったぁ!サティアちゃんといっしょに寝れる!」
「そうだな!」
・・・こうは言ったが、やはり緊張とその他もろもろで死んでしまう。
その日の夜。豪華な夕食(これがまたうまくて、シェフにお礼を言いに行った)と風呂(さすがにベルと入ると死んでしまうので、一人ではいった)も済ませ、これから寝るとこ。
「じゃ、お休みなさーい!」
「おおおおお、おやすみ・・・」
隣でベルが寝てる・・・死んでしまう・・・。
それでも紳士な俺は、なにもせず寝ることにした。ん?この言い方はよくないな。俺は、寝た。よしこれでいい(迷走)。
次の日。俺は暇だったからくっそ狭い議会領の城壁の上を案内人と探索していた。
「南にあるのがレクナス領、来たに見えるのがシャルジュ領で、シャルジュ領は現在唯一女王が治めている国です。」
「そうなのかー。東は国が広がっているみたいだけど、西はなにがあるんだ?」
「西は・・・何もないです。でも、奥に山が見えるでしょう?あの向こうに闇の魔術を扱う魔王軍があります。十三年前の戦争を最後に消息は途絶えましたが、まだ存在しているはずです。」
「なんでわかるんだ?」
「魔物は見たことありますか?魔物はすべて魔王軍の影響を受けて動物が変化したものです。つまり、魔物がいる限り魔王軍は倒れていないということです。」
「そうか。」
「ん?さっそくきましたね、魔物。うちの設備は最新のものですから、故障でもしない限り・・・」
あぁそんなフラグ発言は・・・。
「大砲が故障したぞーー!!」
混乱する兵士たち。ほら言わんこっちゃない。
「これは・・・マズいですね。そういえば、あなた魔女でしょう?ちょっとその魔法で倒してみてくださいよ。」
「えぇ・・・まぁ、わかりましたよ。やれるだけやってみます。」
俺は城壁の外へ行き、魔物を迎え撃つ準備をする。
「大丈夫かな。またあの異能みたいなのが起こればいいけど・・・」
来た。魔物たち。
「くらえぇーーー!!!」
とりあえず左手を突き出してみた。
「あれ?」
すると左腕から黒紫の魔気のようなものがでてきて、魔物たちを襲った。当たった魔物たちは見えない刃物が刺さったように血が吹き出し、倒れて行った。
「おおおぉぉぉおぉぉぉ!」
俺は魔物を倒し続けた。ほとんど殲滅したところで、声がした。
「もういい。やめろ!」
「ん?」
魔法を止めて声のして方向を見ると、そこには女性がいた。
「魔女か・・・闇の魔術を操り、転生魔女ときたか・・・戦争が始まるな・・・。」
「・・・?どういうことですか?」
「今は気にしなくてよい、後々、いや明日全て分かる。」
金髪のロング。凛々しく、大人びた顔立ち、それでいてとても若くみえる。いや実際若いのかな?
そして、彼女が言った言葉。俺が闇の魔術?色はそんな感じだったけど、まさかねぇ・・・?
「明日の会議はここ十年で最も重要になるな・・・。」
彼女は、どこかむなしい、誰かに別れを告げるような表情だった。




