僕の頭のねじ、知りませんか?
頭のねじを、どこかに落としてしまったらしい。いや、冗談とかじゃなくて、本当に、落としちゃったみたいなんだ。自分でも一生懸命探してるし、友達にも手伝ってもらってる。あのねじがないと困るんだけどなぁ……
いつ、落としちゃったんだろう。学校の帰りかな。それとも、お使いの帰りに寄り道した公園かな?くしゃみとかした時に、落ちちゃったのかな。もしかしたら、前から緩んでいたのかも。
失くしてから、何日経った?ああ、三日か。大変だ。もうそろそろ見つけないと、僕がおかしくなっちゃう。どうしよう、頭の中身が出てきたら。僕がいきなり倒れたりしたら。誰か、助けてくれるのかな。先生だって、前に「頭のねじは特に緩みやすいので、日ごろから気を付けてください。」っていってたのに。
ああ、僕が悪かったんだ。最近体調管理を怠っていたから。「毎日確認、異常なし」が約束のはずなのにな……
「おーい、F18号、お前の頭のねじって、これか?」
友達がそういって見せてきたものは、まさしく三日前に外れた僕のねじだった。
「ありがとう、J9号。」
「なーに、良いってことよ。だって俺たち、友達だろ?」
次の日。今日の授業は歴史からだ。えーと、なになに……?
「今からやく1500年ほど前、私たちの先祖を作り出したニンゲンは、愚かな争いを幾度となく重ね、滅亡しました。今はもう、一人の生き残りも存在していません。数百万年生き物の頂点に近い位置に座っていたニンゲンは、自分たち自身で滅んだのです。そして、あとには私たちロボットと、破壊しつくされた生命の惑星、チキュウが残っただけでした。」
ふーん、なんだかめんどくさそうだな。
「じゃあ、授業を始めるぞ。」
担当の先生が入ってきた。
「まず初めに、ニンゲンとロボットの違いをおおまかに説明しよう。一番大きく異なっているのは……」
先生が話してるけど、今はなんだか入ってこない。そう考えていたら、
「おい、F18、お前頭のねじ失くしたばっかりなんだから、メンテナンスしとけって言っただろ。授業中にボーっとするんじゃない。全く。」
先生の話を聞いていくうちに、僕もニンゲンに興味がわいてきた。ニンゲンは、頭のねじ、無くならないのかな?